入れ歯は便利なものですが…
歯がボロボロと崩れてしまうほど虫歯を悪化させると、言うまでもなく歯医者さんで抜かれてしまいます。
これが1本や2本で済めばよいのですが、懲りずに虫歯を増やす→歯医者で抜歯する、この悪循環を繰り返すとやがては歯が全て無くなってしまいます。そうなるともうなす術はなく、入れ歯決定です。あなたがどんなに若くても関係ありません。晴れて、おじいちゃんおばあちゃんの仲間入りです。
…こんなの悲しすぎますよね。
それとも、
「例え入れ歯をする羽目になっても、今はいいものがあるから安心!」
「CMみたいに、ポリグリップ使えば普通に食事できるんでしょ?」
「偽物の歯でも、自分の歯と同じように噛めるから問題ない」
こんな風に思いますか?
確かに、最悪のケースとして歯を失っても、対処法がないわけではありません。
今は歯科医療技術の進歩により、外見も機能的にも優れた入れ歯があります。しかし!入れ歯にしなくて済むならそれに越したことはありません。入れ歯は確かに便利なものですが、同時にさまざまな欠点があるからです。
歯科用語では“有床義歯”といいます
入れ歯の欠点についてお話する前に、まずは入れ歯とはどんなものなのかを説明しましょう。
入れ歯は歯科用語では“有床義歯”といいます。有床義歯には、全部床義歯と局部床義歯(いわゆる総入れ歯と部分入れ歯です)の2種類があり、それぞれに以下のような特徴があります。
有床義歯の特徴
全部床義歯
- 虫歯などにより全ての歯を喪失してしまった場合に使用される。
- 人工歯と人工歯の土台となる義歯床で構成されている。
- 義歯床には、健康保険が適用となるプラスチックでできたものや、適用外の金属・シリコンでできたものなど、さまざまな種類がある。
局部床義歯
- 虫歯などで数本の歯を喪失してしまった場合(残存の歯あり)に使用される。
- 人工歯・人工歯の土台となる義歯床・残存歯に引っ掛けて固定させるクラスプの3つから構成される。
- 全部床義歯と同様に、義歯床の材質にはさまざまな種類がある。
入れ歯にするとこんな苦労が待っている
入れ歯は使用者が装着したときに、できるだけ快適に過ごせるように工夫が施されています。飲み物が通過するように小さな穴がたくさん開けられていたり、歯茎へのフィット感を重視して作られていたり、軽量化にこだわっていたり等。昔の入れ歯と比べると、今の入れ歯の機能性は格段にアップしたと言えるでしょう。
しかしいくら機能性がアップしたからといっても、入れ歯はしょせん入れ歯。結局のところ偽物の歯でしかありません。どんなに進化したとしても、やはり自分の体から生えてきた本物の歯にはかなわないのです。入れ歯にすると、以下のようにさまざまな苦労がつきまとうのです。
有床義歯の苦労
全部床義歯
- 会話中や食事中に外れてしまうことがある
- しゃべりにくい
- 慣れるまで異物感や違和感がある
- 食べ物の味を感じない
- 咀嚼力が十分でなく食事に時間がかかる
- 洗浄剤や安定剤など、お金がかかる
- ケアに手間がかかる
局部床義歯
- 慣れるまで異物感や違和感がある
- クラスプをかけた残存歯に負担がかかる
- 口を開いた時にクラスプが見えてみっともない
- 洗浄剤や安定剤など、お金がかかる
- ケアに手間がかかる
それでも入れ歯がいいですか?
いかがでしたでしょうか?
ここまでを読んでみて、それでも入れ歯になっていい!と思えた人はいないはずです。入れ歯にすると、こんなに多くの苦労が待っているのです。入れ歯は決して良いものではない…ということが、お分かりいただけたかと思います。
既に歯の何本か、もしくは全部を失っており、入れ歯に頼るしかないという方は仕方ありません。
しかしそうでない方は、絶対に入れ歯まっしぐらの道を歩まないでください。
日ごろから歯磨きをしっかり行う、歯医者の定期健診を受けるなどして、虫歯予防や悪化防止に努めましょう。面倒臭いかもしれませんが、こんな地道な努力の積み重ねが、入れ歯道を歩まなくてすむ一番の方法なのです。