「忙しい」という文字は、心を表す「忄(立心偏)」に、存在していたものがなくなる「亡」がついて、心を亡くすと書きます。
事実、あまり忙しいと、ちょっとした気遣いは後回しになったり、言葉がとげとげしくなったりと、気持ちに余裕が持てなくなります。
なぜ自分ばかりこんなに忙しいのか、心を亡くしてしまう前に、5つのポイントをキーワードに仕事の仕方を見直してみましょう。
芸能人でもないのに、芸能人並に時間のない私
万年「忙しい」わたしの毎日。
一つが終われば二つめが待っている。
二つめをこなしている間に急ぎの仕事が降ってくる。
ああっ、いやだこんな生活。
そんな生活を、あなたも続けていませんか?
仕事が忙しいあなた、忙しいのは、自分のせいではない!と思っていらっしゃることでしょう。わたしもそうです。
確かにやるべきことは多すぎます。
どれも期日があり、目標があり、担当者としての責任もある。だから個々の区切りはあっても終わりはない。
ひとつ区切りがつくと次の区切りに向けて、また頑張る毎日なのです。
でも、ちょっとしたポイントを見直すだけで、もしかしたら今までの仕事の仕方が格段に楽に早くなるかもしれません。
まず、作業と仕事は違うと認識してみる
自分では仕事と思っているものの、ほぼ90%は作業です。
必要な書類を書き上げ、回付したり、メール添付で配付する。
伝票などの記載事項を入力したり、チェックしたりする。
資料や書類をプリントしたり、コピーしたり、フォルダに格納したりする。
物品や書類を仕分けしたり、配送に回したりする。
一日の大半はそういった作業の繰り返しです。
では、仕事とはなんでしょう?
わたしが思うに、ただ作業を終わらせるだけでは仕事とは言わない。
・自分がもし突発的に休んだとしても、スムーズに作業が流れるように、
自分が今やっていることを周囲と共有できているか
あなたは自分しかわからないからと、仕事を抱え込んでいませんか?
全体の仕事の流れから見ると、それはマイナスポイントなんですよね。
まずはそのことを頭に入れて仕事に臨みたいものです。
仕事は「生き物」優先順位は毎日変わる
目の前にやることがいっぱいあると、目についたものから始めてしまいがちです。
昨日中断したことをまず終わらせてから、次の事に進むなど、自分が気にかかっていることから始めてしまうことも多いです。
でも、仕事はある意味、生き物です。
新しい仕事が毎日降ってきて、すべてが「至急」なんてこともあったりします。
「これは何時までに仕上げたらいいですか?」と訊ね、その内容によって優先順位を、今抱えている作業の順位と照らし合わせ、入れ換えます。
時間的に無理な場合は
「今、○○の作業をしていて、その作業が○時までかかりそうですが、そのあとでも大丈夫でしょうか」と確認します。
そして、仕事のできる人は謙虚です。
いつも仕事の全体像を頭に入れて、あくまでも自分の作業は、その中の「点」でしかないという事を、意識しています。
その作業が終わらないと、次の人の作業が始められないといった場合には、早く仕事を流すために、先に終わらせてあげるなど、全体の流れをいかに効率よく進められるか考えながら優先順位をつけているのでしょう。
段取りがキーポイント
それらを考えあわせて自分の作業の順位をつけたら、次に段取りを考えています。
全体の仕事を見て、これとこれは、内容が関連しているから、一緒に終わらせようとか、この書類はテンプレートの手直しで済むから、先にさっさと送付しておけば夕方までには回付が戻るだろうとか、段取りを頭の中で整理する。
作成文書は、クリアフォルダに仕分けしておいて、いちいち格納せず、最後に全部まとめてフォルダに格納するなど、最小限の動きで済むように考えます。
それだけでも効率的に仕事を終わらせられるんですよね。
でも、自分の中で段取りを決めていても、急ぎの仕事が入ってくることがよくあります。
仕事のできる人を見ていると、自分の段取りにこだわらず、フレキシブルに対応しています。
相手も自分と同じように忙しいという事にまで、気持ちが及ばないようでは、全体の仕事の流れを止めてしまっている可能性だってあります。
ちょっと手を止めて「どういったこと?」と訊ねることで、それがあとで対応すればよいものか、それとも今ちょっと答えれば、その後輩が仕事を先に進めることができるものか、それを判断するのに5分もかかりません。
訊ねてきた人も、あなたが忙しいのを知っていて声をかけてきているわけですから、その5分を惜しまずに対応できる。
わたしも見習って、そんな心の余裕を持ちたいものです。
全体の仕事の流れと、自分の仕事の段取りが頭に入っていれば、そういった余裕を持つことも可能なんですね。
簡単なことを後回しにしてしまっている
頭を使わずに、簡単に終わる作業は後回しにしがちです。でも、そういったものこそ、うっかり忘れてしまったりすると、大きなトラブルのもとになったりしますよね。
簡単なものは、先に処理してしまえば、あとの作業の効率が上がります。
やっぱり人間力を養うのが早道
どんなに仕事を効率よくこなす工夫をしてみても、仕事の絶対量は、厳然とそこにありますよね。
自分じゃなくてもできる作業は、手が空いていそうな人にお願いできると、ずいぶん楽になります。
でもそれには、快く引き受けてもらうことが必要です。
ふだんから周囲の人と助け合う気持ちで接していれば、そんな時、快く助けてもらえます。
自分のことで精いっぱいで、あまり周囲を見ない人は、周囲の人もあなたのことを見ていません。
人間関係は、基本的に「ギブ・アンド・テイク」です。
ギブしない人はテイクもできません。あくまでもギブが先に来るのです。
「何か手伝えることがあるならやりますよ」とひと声かけるようにしたいものです。
「今メールでお願いしたいことを送ったんだけど、手が空いたら簡単に説明するから声をかけてね」と言っておくだけで、相手も気持ちよく対応してくれます。
そういった風通しのいい関係を周囲と持つことで、本当に困ったときに気軽に手を貸してもらえるものです。
「忙しい」は「恥ずかしい」
あなたの周囲にも、いつも自分だけ忙しがっている人っていませんか?
簡単なことなら手伝うのに、と声をかけても、自分じゃなきゃできないからと仕事を抱え込み、手放しません。
そういう人はたいてい、自分がいかに忙しいかを自慢げに話すものですが、心を亡くすほど忙しいのは、はたして自慢できることなのでしょうか?
その人の仕事の仕方を見ていると、作業だけでいっぱいいっぱいになっていたり、段取りが悪くて、いつも上司や取引先から「あれはどうなっていますか?」と確認されていたり、簡単なことを軽く見て後回しにして、帰り際にあたふたしていたり、周囲といい関係を持てていなかったり・・・。
(これって、もしかして、わたしのことじゃん?!)
そういった類の「忙しい」は「恥ずかしい」という目線で見てみると、仕事の仕方が変わるのです。
いかに「忙しくなく」仕事を進めることができるか、自分なりの工夫をすることで、「作業」が一歩進んだ「仕事」になるのではないでしょうか。