きちんと知っておきたい「相続人」の範囲と例外|トピックスファロー

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2015年2月17日
きちんと知っておきたい「相続人」の範囲と例外

相続税法では「法定相続人」と言って、亡くなった人の遺産を相続できる人は決まっています。そうでない人に遺産を相続させたいなら、遺言を残さないといけません。また、法定相続人であっても、一定の場合には相続させないこともできる規定もあります。

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
  

財産相続においての考え方

裁判

「人が死んだときのことを考えるなんて、なんて縁起が悪いことを言うんだ」と眉をひそめる方もいるかもしれません。

たしかに、それは一理あります。

なので、最初に謝っておきます。申し訳ありません。
でも、相続の話題には死がつきものです。

それは置いておいて、あなたはこんなことを思ったことがありませんか?
「自分が死んだら、自分が持っている財産はどうなってしまうんだろう」 とか
「自分の親が死んだら、どうやって財産を分けるんだろう」 とか。
誰だって一度はあると思います。

また、こんなことも考えたことがあるかもしれません。親の財産を食いつぶしたりなど、あまりにひどい家族がいた場合、「あいつにだけは財産はやりたくない」と思いませんか?
でも、そもそもそんなことできるのでしょうか?

そこで、ここでは「民法で決められている相続人(法定相続人)の範囲」と「どうしても相続させたくない人がいる場合の対処法」についてお話させていただきたいと思います。

法定相続人とは

最初に大前提を言っておきます。
相続では、遺言状がある場合は、基本的にその遺言状に従って相続を行います。
ですので、これからお話しすることは、「遺言状が無い場合」の話であることをまず頭に置いてください。

遺言状が無い場合、誰が相続人になれるのか、という判定は、民法の規定にゆだねることになります。その規定によって定められた相続人を「法定相続人」といいます。
では、亡くなった人(被相続人)とどんな関係にあった人が法定相続人になれるのでしょうか。

遺産相続 まず、常に相続人になれるのが「配偶者」です。 被相続人のご主人や奥様、ということですね。
ただし、配偶者の定義には「法的に婚姻している人」という規定があるので、事実婚や内縁の場合は、法定相続人にはなれません。

次に優先順位が高い(これを「第一順位」ということがあります)のは、被相続人の子供です。 被相続人に子供と配偶者がいた場合、法定相続人となるのは子供と配偶者ということになります。

被相続人に子供がいない場合、誰が相続人になるのでしょうか。
子供の次に優先順位が高いのが(これを「第二順位」ということがあります)、被相続人の親です。 被相続人に子供がおらず、親と配偶者がいた場合、親と配偶者が相続人となるということです。

では、被相続人に子供も親もいない場合、誰が相続人になるのでしょうか。
子供、親について優先順位が高い(「第三順位」ということがあります)、被相続人の兄弟です。 被相続人に子供も親もおらず、兄弟がいた場合は、兄弟と配偶者が相続人となるということです。

ここで気をつけて欲しいのが、相続の優先順位が高い親族がすでにいる場合、優先順位が低い親族は相続人にはなれないということです。
先の例で言えば、被相続人の子供と親が同時に相続人になることはありえない
、ということです。

どうしても相続させたくない人がいる場合の対処法 あってはならないことですが、「あんなやつには遺産を相続させたくない」という子供もいるかもしれません。
そういう場合、まずとることができる対策としては、「遺言状を残す」ことがあげられます。

その子供に遺産を相続させない、と遺言で明言してしまえばいいのです。
しかし、この方法も万全とはいえません。
遺言状の内容を知った子供が、法律上、最低限相続できる財産の取り分(遺留分といいます)を主張してきたら、遺言状の意味はなくなります。

では、遺留分も主張されないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
民法では次の2つの制度を設けています。
「相続欠格」と「廃除」という制度です。

相続欠格

これは、相続人が民法に定める一定の非行をした場合に、法律上当然に相続権を剥奪する制度です。
特別な裁判手続きや、意思表示は必要ありません。
民法においては5つの欠格事由が定められています。

故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたもの(民法891条1号)

被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者(民法891条2号本文)
※是非の弁別のない者の場合又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であった場合を除く

詐欺・強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者(民法891条3号)

詐欺・強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者(民法891条4号)

相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者(民法891条5号)

このうちのどれか一つにでも当てはまれば、その相続人は「相続欠格者」となり、当然に相続する権利を失うことになるのです。

廃除

「廃除」とは、被相続人の請求に基づき、家庭裁判所が審判または調停を行って、遺留分を有する特定の相続人の相続資格を剥奪する、という制度を言います。
「被相続人に対する虐待または重大な侮辱」もしくは「その他の著しい非行」があった場合に問題になります。

先に述べた「相続欠格」とは違い、こちらは少々面倒な手続きが必要です。
具体的には、家庭裁判所に申し立てをしないといけません。 また、遺言によってもこの手続きをすることはできます。 その場合、遺言執行者が申し立てをします。

まとめ

「家族でもなんでもないけど、お世話になった人に財産をあげたい」「正式に結婚していないけど、パートナーに財産は残してあげたい」そう思う人は、遺言状を用意する必要があります。 先にも書いたとおり、ほっておけば、法律上定められた人しか相続人になれないのです。

最初に書いたこととも関連しますが、「生きているうちに死んだあとのことを考えるのは縁起が悪い」と眉をひそめる方もいるかもしれません。
でも、考えるのは生きているうちにしかできないのです。 悩む暇があったら、まず行動しましょう。

著者:松沢未和

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
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2014年にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取得した兼業WEBライターです。もともと文章を書くことが大好きなので、この仕事を兼業として選びました。相続や保険の分野のお話をわかりやすくまとめてお話できればと思っています。これ以外にも、たくさん資格は持っているので、資格の取り方の話しもしたいところです。また、食べ歩きと旅行とコスメ研究が大好きです。日々の研鑽の成果!?を文章にぶつけていきたいです。至らない点がいろいろあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。