ネットとのコラボで集客する新時代の広告戦術「O2O」とは
1995年に発売されたWindows95とともに広まったインターネット。最初の頃は旧来のパソコン通信の延長上にある、「通人の趣味」でしかなかったものの通信速度の向上やパソコンの性能向上が進むにつれて、ネットの実用性は急激に上昇していき遂には「日常生活には欠かせない、あって当たり前」のものへと進化していきました。
しかし、ネットの発達・普及はいいことばかりではなくマイナス面もあります。その一つが町の本屋さんなどを含む中小規模の小売業の淘汰です。
ネットショッピングの普及によって、わざわざ実店舗で注文しなくてもネット上から在庫のない本を自由に取り寄せられる、レイアウトされたマネキンを見なくても色やデザインを確認できる、旅行しなくても各地の名産品を買えるというように、距離を限りなく0にしてしまいました。
そのため、常連客・新規客が減少し売上低迷に陥った中小の小売業者は店を畳まざるを得なくなったというわけです。
そして、これからの時代はネットを目の敵にするのではなくネットを味方に付けて、実店舗への集客と売上増大を狙う時代なのです。そして、その助けになるのが「O2O」という技術なのです。
O2O~オンラインからオフラインへ
「O2O」とは「オンライン・トゥー・オフライン」の略で、直訳すれば「ネット(オンライン)からネットの繋がっていない場所(オフライン)へ」という意味です。
ニュアンス的には「ネットから画面の外」というのが正しく、ネットショッピングと実店舗での買い物を連動させるというコンセプトを持った技術のことです。
O2Oはどんなことができるのか?
今、O2Oが持てはやされるのは、一頃流行った「ネットと対面販売の融合」だからというわけではありません。かつての「ネットと対面販売の融合」ができなかったことが出来るようになったからこそ注目されているのです。
では、O2Oではどのようなことが出来るのでしょうか?
GPS連動でチラシを確認
スマートフォンに搭載されたGPS機能を使って、使用者の居場所を確認し最寄り店の販売チラシをスマートフォンに表示する。新聞を取っていなくても売り出し情報を察知できる。
SNSを利用して発行されたクーポンを友達にも
MixiやFacebookなどのSNSでつながっている友達に、発行された商品クーポンをプレゼントできる。また、プレゼントしたクーポンは自分の手元にも有効なものが残るので、「あげるのがもったいない」とは感じない用にできています。
スマートフォン用アプリと連動したポイントカード機能
スマートフォンのおサイフケータイ機能、または専用アプリで店頭に設置されている端末にタッチして来店・購入ポイントを記録することが可能に。財布もかさばらず、アプリでいつでもポイントを確認することができる。
QRコードで食品トレーサビリティの確認
食品の値札などに表示されたQRコードを読み取ると、その食品の来歴や生産者の情報が表示される。
食のトレーサビリティが重視される昨今には重宝される機能。
なぜ今O2Oなのか
前述したように、「ネットと対面販売の融合」はそれこそインターネットが一定量普及した20世紀末から幾度となく試みられてきました。しかし、そのほとんどが定着せずに終わってしまったのには理由があります。
それは「すべての携帯電話へ平等にサービスを提供できなかった」ということです。
いわゆる「ガラケー」は、電話会社・機種・サービスが違えばネットに接続できなかったりアプリを利用できなかったりと差異があるのが当然でした。
しかし、iPhoneなどのスマートフォンが普及・定着したことによって状況は一変したといえます。
スマートフォンは携帯電話であると同時にパソコンに匹敵する性能を秘めた小型情報端末であり、ガラケーで培われてきた超小型カメラや非接触式センサーの導入など、O2Oに最適な機能が詰め込まれているのです。
今後も利用事例が増えつつづけるであろうO2Oは、おそらく最も成功した「ネットと対面販売の融合」になるのではないでしょうか。