実際、勘違い香水男はなぜ嫌われるのか?
あれは私が大学院に通っていたときのこと。夏休み前に「修士論文発表会」というイベントがありました。大学院生、先生(教授、助教授、講師)が集まって、修士論文の案について発表するというものです。事件はその時に起きました。私は椅子に座って、レジュメを見つめながら先輩の発表に聞き入っていたのですが、どうも鼻に違和感を覚えるのです。
もっとストレートな言い方をすると、「クサイ」のです。とあるブランドのとある香水の香りがぷんぷんします。しかも誰かの体臭が混じっている・・・。うげげ。
犯人はすぐわかりました。私の隣の席に座っていた男の先輩です。その香水自体は、完成度の高い、いい香りだとは思うのですが、先輩の体臭、そして、夏のうだるような暑さと相まって恐ろしい香り(匂い?)に変貌を遂げていました。
私はそのあとに待ち構えている自分の発表をどうしよう、ということでかなりテンパっていたのですが、そこにそんな悪臭(口さがなくてすみません)が、ということでますますおかしくなりました。許されるのならその先輩を廊下につまみ出してひっぱたきたくなりました。
現実的にそんなことが許されるわけないので我慢していましたが、せめて「香水、つけすぎじゃないですか?」の一言くらいは言いたかったです。この日から、私はどうもその先輩のことが信用ならなくなりました。そのおかげで、「とあるブランドのとある香水をつけている男=空気の読めないチャラ男」という図式が私の頭に刻み込まれることになりました。
その香水には罪がないのに・・・。ということで、「勘違い香水男」はそれだけで人間関係をぶち壊す破壊力を持っています。インターネットで「香水 勘違い」などのキーワードで検索してみました。その中で印象深いものを2つあげておきます。
1)オフィスで香水をアピールする男
会社の企業体質によって異なりますが、最近ではおしゃれの一環として香水をつけてもよい、という職場が増えてきました。身だしなみとしてはあり、ですが、先ほどの大学院の先輩のように「明らかにつけすぎ」な人も散見されます。
まるで香水の香りで自分がいることをアピールしているかのようです。
本人はよいと思ってやっているのかもしれません。しかし、これは、言い方は悪いですが「動物のマーキングじゃないのだから」と言われても仕方がありません。
オフィスで香水をつけるときは、あくまで「ほのかに香る」程度につけることを心がけましょう。
2)書類に香水をつける男
間違った自分のアピール、ということでもう一つ、オフィスでの話をします。オフィスでは書類のやり取りは日常茶飯事です。その書類を自分が提出したことがわかるように、と香水を書類につける人もいるとか。これ、絶対にやめたほうがよいです。なぜか説明しましょう。まず、香りというものは個人によって好き嫌いがあります。
ある人にとってはいい香りでも、別の人にとっては「何これクサイ」としか感じられない、ということもありうるのです。最悪の場合、それだけで気持ち悪くなってしまうこともありえます。後にも述べますが、
書類を受け取った相手が化学物質過敏症の人だった場合、生死に関わる事態に発展することもあるのです。
また、オフィスはあくまで仕事をする場所であり、自分の個性をアピールする場所ではありません。書類に香水をつける、ということは無駄な自己アピールをする、ということです。「そんな暇があったら仕事しろ!」と言われること間違いなしでしょう。
書いているだけで、消臭剤をかけてどこかにその人をしまいたくなるような話ですね・・・。ここまでの話を整理しましょう。
結局のところ、「勘違い香水男」は「香水をつける」から嫌われるわけではないのです。「香水をつけるにあたって、周囲の人のことを考えていない」から嫌われるのです。人間関係においては「周囲の人のことを考える」ことは基本であり、それを壊すようなことをやってはいけないのです。
では、「勘違い香水男」にならないためにはどうすればよいのでしょうか?香水のマナーについて考えてみました。
香水をつけてOKの場所、NGの場所
まず、香水をつけていってもかまわない場所とそうでない場所がある、ということは十分に認識しておく必要があると思います。香水をつけていってもかまわない場所は、基本的には「プライベート」に近い場所、と言ってもよいかもしれません。恋人や友達、家族と遊びに行くときは遠慮せずにつけていってよいでしょう。
特にデートのとき、
恋人が「これ好き」という香りをまとうと印象はアップします!好きな人からいい香りがする、というのは幸せなものです。
その場合でも、あくまでほのかに香らせる、ということは大事です。また、オフィスにおしゃれな人が多い場合でも香水は受け入れられる場合が多いようです。特に、ファッションに気を使うことが高く求められる職場(例:ブティック、デパートの服飾売り場などの小売業)ではむしろ香水をつけるのがマナー、ということもありうるでしょう。では、逆に香水をつけないほうがよい場所について考えてみましょう。
まず絶対にダメなのが、「冠婚葬祭」の「葬祭」。つまり、お葬式や法事です。このような場に香水をつけていくことはかなり失礼なことなので、気を付けましょう。
香りに耐えられない人がいる、という意味では、病院などの医療機関もダメです。自分は良くても、自分の香水の香りで具合が悪くなる人もいるかもしれません。実際、化学物質過敏症の患者さんがいた場合、香水の香料に反応して重篤な状態になる場合もあるので注意が必要です。自分が受診するときはもちろん、お見舞いに行くときにもこのことは頭に止めておきましょう。
また、和食など繊細な味付けの料理をいただく場所でも香水は避けたほうがよいかもしれません。
香水の香りが味わいを邪魔してしまうことがあるからです。もし、あなたがデートなどで「やばい、香水つけすぎちゃった・・・」と思ったなら、食事をする場所は和食のお店以外にするのが賢明でしょう。「あの人香水くさい」と言われないための香水のつけ方
ここで、「あの人香水くさい」と言われないための香水のつけ方についておさらいしましょう。まず、つける量ですが、せいぜい1プッシュ~2プッシュで十分です(スプレータイプの場合)。「え?そんな少なくていいの?」と思われるかもしれませんが、十分です。
あくまで、「すれ違った時にほのかに香る」程度が一番です。自分で「あれ?今日香水つけてきたっけ?」と思うくらいでちょうどいいのです。裏を返せば、自分でつけたことがはっきりとわかるようならつけすぎ、ということ。気を付けましょう。
つける場所にも気を使いたいところです。よく、「動脈が通っている場所に香水をつけると香りが立つ」ということで、手首や首筋、耳の裏につける人がいますが、「ほのかに香る」ということを考えると、あまりおすすめできません。
おすすめなのは、「腰骨」「膝の裏」など、服で隠れている場所。服がクッションの役割を果たしてくれるので、香り方もやわらかです。
また、よくデオドラント剤の代わりとして腋に香水をつけている人もいますが、絶対にやめましょう。香水はデオドラント剤の代わりにはならないし、腋から出る汗と混ざるとかなり印象が悪くなります。デオドラント剤と香水を併用したいなら、無香料のデオドラント剤を使いましょう。