妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの10%がかかる病気
お腹の中に赤ちゃんが宿ること、つまり妊娠は女性にとって大きな喜びです。
しかし妊娠中の女性の身体は、その大きな喜びとは裏腹に、思わぬ病気やトラブルと隣り合わせの状態にあることを忘れてはいけません。
妊娠中に起こり得る病気やトラブルの1つに、妊娠高血圧症候群が挙げられます。
妊娠高血圧症候群は、数年前までは妊娠中毒症と呼ばれていた病気です。
略して妊娠高血圧症や妊娠高血圧と呼ばれることもあり、妊婦さんの約10%がかかるというデータもあります。重症化すると母子共に命を落としかねない病気ですから、決して他人事と侮ってはいけません。
しかし具体的にどんな特徴があるのでしょうか?
まずは最も気になる症状から見ていきましょう。
発症の原因やなりやすい人、自分で気付くための方法、予防方法や治療方法も順に紹介していきます。
症状は自覚しにくいのが難点
妊娠20週以降に高血圧が生じ、さらに尿たんぱくが加わり、分娩後12週までに正常に戻る状態の場合、妊娠高血圧症候群と診断されます。これら2つのほか、浮腫み(むくみ)症状が表れることもあります。
この病気の症状は本人が自覚しにくいのが難点ですから、いち早く発見するためにも定期健診の受診が重要です。
原因不明、でもこんな人は要注意
明確な原因は不明ですが、肥満、糖尿病、腎臓病の要素を持つ方は、リスクが高いとされています。
また慢性的な疲労やストレスを抱えている方も、発症しやすい傾向にあります。
他にも高齢出産や若年出産・罹患歴のある方も、やはり妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高いです。
発症に自分で気が付くためには
浮腫みはこの病気の定義症状ではありません。
妊娠中は身体が浮腫みやすいですから、浮腫みがあるからといって絶対にこの病気とは限らないのです。
しかしながら一晩寝ても治らなかったり、別人のように顔が変わっていたり、満足に手足を動かせないほど重症だったら要注意です。
1週間で体重が500g以上増加していた場合も、危険信号です。
予防方法は、ダイエットと同じ?
明確な原因不明とはいえ、この病気のリスクを回避することは可能です。
定期健診を必ず受ける、まめに体重チェックする、運動不足や食事内容に気を付ける、疲労やストレスをためこまない。
これらが妊娠高血圧症候群の有効な予防策です。
何だかダイエットにも通じていますね。
基本治療は食事療法ですが…
治療の基本となるのは食事療法です。
摂取カロリーと消費カロリーのバランスを考えた上で、栄養不足に陥らないような食事を摂るのが理想的です。
疲労やストレス、運動不足や睡眠不足の解消も重要です。
医療的処置として、血圧を下げるために降圧薬を用いることもあります。
いわゆる治療方法ではありませんが、食事療法などでは間に合わないくらい重症化してしまった場合、妊婦さんの命を救うべく帝王切開にて赤ちゃんを取り出すこともあります。