晩婚化と晩産化が増加中
日本で晩婚化が叫ばれるようになってから、もうかなりの時が経ちます。筆者の周囲でも、30代後半で初めて結婚する男女は珍しくありません。40代になってから初めて結婚し、子供を設けている夫婦もいます。
厚生労働省の人口動態統計『平均初婚年齢の推移』を見てみると、昭和22年の統計では、男性26.1歳、女性22.9歳という結果が出ており、今から考えれば、かなり若いうちに結婚する夫婦が多かったことがわかります。
それが昭和40年代後半頃からはじわじわと上昇し続け、平成19年には男性30.1歳、女性28.3歳と、男性の平均初婚年齢は30歳を越えています。
第一子出産年齢が30歳を越えている人が多数
晩婚化が進めば、それに伴って出産年齢が高くなるのは必然です。内閣府 平成26年版 少子化社会対策白書によれば、第一子を出産した母親の平均年齢は、2012(平成24)年の統計で、30.3歳。
この統計を見る限りでは、もはや20歳代で第一子を出産する女性のほうが、珍しくなっているのかもしれません。
妊娠・出産のタイムリミットは本当のところはどうなの?
一般的に女性が妊娠・出産できるのは、35歳くらいまでといわれています。大学などを卒業して社会人になり、ようやく一人前に仕事ができるようになったら、もう20代後半です。『でも妊娠のタイムリミットは35歳だというから、まだ大丈夫だわ。』きっと、こう考える女性たちもたくさんいることでしょうね。確かに、30代半ばくらいで初めてのお子さんを腕に抱いている新米ママの姿も、よく見かけるようになりました。
それどころか、40歳を越えてから初めてママになったと、喜びの報告をしてくれる友人や知人もいますし、彼女たちの周りにも、同年齢の新米ママがいたりします。
高齢出産の「高齢」とは、いったい何歳のことをさすの?
インターネットやテレビなどで、有名人の高齢妊娠や出産の喜びが伝えられることもたびたびあります。『今は妊娠治療も進んでいるから、かなり高齢になっても治療さえ受ければ、妊娠・出産することができるんじゃない?』妊娠できたから喜びの報告があり、笑顔で赤ちゃんを抱く映像が流れたりします。その陰で、妊娠に至らずに治療を諦めた女性たちもまた、たくさん存在するのです。そして彼女たちの多くは、妊娠治療をしていたことさえも発表しません。
35歳リミット説の根拠は?
日本産科婦人科学会では高齢初産を、「35歳以上の初産婦」と定義しています。そして一般的に、35歳を過ぎると卵巣の機能が衰えてくるとされています。40代になっても月経がある限りは妊娠できると誤解している女性もいますが、実際には30代後半頃になると、婦人科系の異常が発生しやすくなったり、運よく妊娠はできても、流産する可能性が高くなったりするのです。
女性は一生分の卵子を持って生れてくる。
最近は、妊娠力を低下をさせないように、若いうちから身体を冷やさない工夫をするべきとか、適度に身体を動かす習慣をつけましょうとか、無理なダイエットをしてはいけません、というようなアドバイスも見聞きします。
そのように身体を大切にすること自体は間違っていませんし、妊娠・出産を考えている女性たちにとって、大変良いことだ思います。しかし勘違いしてはならないことがあります。いくら妊娠力の低下を防ぐ努力をしていたとしても、ある程度高齢になれば、やはりどうしても、妊娠しにくくなっていくのです。その後も月経がくるたびに、1000個もの卵子が減少していきます。さらに30代後半頃からは減少のスピードも増し、40代に入ると卵子の数は、数千個にまで減少しています。絶対数が少なくなれば、いくら身体を労わったとて、妊娠力が下がるのは当然ですね。
「女性は一生分の卵子を持って生れてくる。」この事実を知らない、10代や20代の女性も多いようです。30代でも、まだまだこのことを知らない女性もいます。
女子会の際にでも、たまには妊娠力の話を話題にして、この事実を知らない人がいたら、教えてあげてください。妊娠治療などの妊活をすれば、何歳になっても高確率で妊娠できるという幻想は、抱いてほしくありません。