パーフェクトペリオは歯周病予防の切り札になれるのか
歯周病はどんなに丁寧に歯を磨いていても、どんなに口の中を綺麗にしていても、気づかない内に発症し進行しているものです。なぜなら原因となる歯周病菌は口内の細菌環境に根付いていて、丁寧に歯磨きしていても完全に殺菌しきれないのです。
つまり、口内の細菌環境を叩くことが出来れば歯周病の予防が出来るはずです。口内の細菌環境に目を付けた、歯周病予防グッズが「パーフェクトペリオ」なのです。
パーフェクトペリオとは?
パーフェクトペリオは栃木の歯科医が開発した、口内洗浄用の水です。もちろんただの水ではなく炭酸水と食塩水を電気分解することで、「次亜塩素酸」という殺菌・消毒作用の強い物質を含有させた、口内の細菌環境を99%近くまで殺菌してしまうことが可能という、身体にやさしい弱アルカリ性の水なのです。
パーフェクトペリオの特徴は薬ではなく化学的に合成した溶液であるということで、薬や抗生物質のように使用を重ねるうちに細菌が耐性を持ってしまうことがないのが利点となっています。
パーフェクトペリオの効果とは?
パーフェクトペリオは、口内の細菌を原因とする歯周病・虫歯の予防に効果を発揮するとされています。
次亜塩素酸の強力な殺菌作用と細菌にとって不都合な弱アルカリ性の組み合わせによって10秒ほどうがいしただけで100%近くの口内細菌を殺菌してしまうのです。
パーフェクトペリオはどう入手できる?
パーフェクトペリオは普通に薬局などで売っているわけではなく、開発元であるパーフェクトペリオ株式会社と契約し、合成用の機械と材料を導入している歯医者でなければ手に入りません。
医薬品を扱う薬事法の縛りなどがあるため、このような変則的な手法での販売になっているようです。
パーフェクトペリオは本当に効くのか?
新しい治療法、未認可で研究中の治療法は世の中には数えきれないほど存在しています。
これらの治療法が医療機関で使われるようになるためには、治療法の提唱者が動物での実験や臨床試験を重ねてデータを集め、有効性があること・副作用の有無・危険性はあるのかといった科学的根拠(エビデンス)があることを立証しなければなりません。
パーフェクトペリオの場合、エビデンスの実証のための試験や専門機関による有効性の確認などは行っているようですが、歯周病専門の学会である日本歯周病学会の見解では「エビデンス以前にパーフェクトペリオが歯周病予防に効果があるとする研究結果自体が報告されていない」という、なんともお粗末なことになっていることが明らかにされています。
科学的根拠はなぜ大事なのか?
このような学会未承認の新治療法があると、「薬品会社が圧力をかけている」だの「既得権益を守りたい医師が承認しない」というような陰謀論と新治療法への期待が際限なく膨らんでいくものです。
しかし、治療法の効果は科学的な根拠に基づいて発揮されているもの。つまり科学的にどのような作用を起こしていて、どのように治療効果が出るのかを説明できなければ机上の空論でしかありません。
未承認の治療法や科学的根拠に乏しい治療法を推す人は、「科学では説明できないこともある」と口にしますが、科学で説明できないのならそれを「医療」として行うのは間違っているのです。
今は買えないパーフェクトペリオ
その有効性はともかく、2012年現在パーフェクトペリオを購入することは出来なくなっています。
なぜなら、開発元がある栃木県から「生成する機械を販売することは薬事法に抵触する恐れがある」との行政指導が入ったためです。
そのため、生成用の機械を導入しているデンタルクリニックに行ってもパーフェクトペリオを購入することはできないのですが、一部のクリニックでは未だに治療に使っていることがあるようです。
もし仮に、あなたの最寄りのデンタルクリニックで扱っていたとしても、効果が実証されていない以上はうかつに手を出さない方が無難でしょう。
インフルエンザ予防に効果あり!?
2009年に新型インフルエンザが猛威を振るったことは記憶に新しいところですが、パーフェクトペリオでうがいをすることで新型インフルエンザウィルスが殺菌され予防につながるという研究結果が発表されています。
日本ウイルス学会という、れっきとした学会での発表なので本来ならば信憑性の高い情報のはずなのですが、「発表者が誰なのか、どのようなタイトルで発表されたのか」がはっきりしていないまま流布されているようです。