簿記とは何か?
多くの場合、『日本商工会議所が行っている日商簿記検定と、それを合格して得られる資格』の事を指します。
簡単に言えば企業の帳簿をつける能力
日商の説明によると、「企業を問わず、経営を整理して、企業の経営と財政を明らかにする技能」とされています。
強引に言えば『企業の帳簿を、家庭でいう所の家計簿をつける技能』といった所でしょうか。
このような事を言うと、経理か経営者にしか必要ないように感じるかもしれませんが、企業が簿記の取得者を求めているのには別の理由があるようです。
なぜ企業は簿記取得者を求めているのか?
企業が直接、経理や会計にかかわる人を求めている訳ではありません。
企業はビジネスの基本となる知識や基礎的な理解力、利益となる「数字」に嫌悪感を抱かずに管理できるのではないかと判断します。
つまり「コストを考えて仕事ができる人材」である事や、「取引先の営業状態を把握し、リスク管理もできる人材」ではないかと期待しているのです。
世界にお金を扱わない企業などありません。
簿記とは経理担当者だけでなく、全ての社会人にとって有益な資格と言えるのでないでしょうか。
簿記は2級以上が必要と言われる理由
簿記2級を持っていれば、『商業高校を卒業したのと同程度のレベルがある事の証明とされ、経理担当者としての知識を持っている』事の証明になります。
また、履歴書に記載して評価されるのもこの「2級から」と考えている企業が多いという事も挙げられます。
その為、一つの区切りとして2級の取得が推奨されています。
また受験者に取って、比較的取りやすい事も理由の一つでしょう。
簿記の合格基準は合計70点以上で合格という絶対評価を使用しています。また1回の試験による合格者の上限もありませんので、点数さえ取れれば受験者全員が合格する事も可能です。
簿記2級の平均合格率は約3割。楽して合格できる数字ではありませんが、諦めるほど低い数字ではありません。
資格取得校では、取得までのプログラム期間が半年以内という場合がほとんどの様です。
また簿記の知識が無い状態から始めても、200時間程度の勉強で取得できる例が多々あるようです。
簿記2級を持っていれば転職できるのか?
簿記を持っているから転職できるとは思わないでください。
確かに簿記は転職に有利な資格と思って間違いないでしょう。
しかしそれは『数字に強くしっかりとした基礎ができている』という以上の意味を持っていません。
企業は転職者が即戦力として働けるかどうかで判断します。
どんな資格を持っているかよりも、「どんな経験を積んできたか」「その資格で何を行ってきたか」を重視するでしょう。
面接の時でも、「資格がある事」をアピールするのではなく、「どんな時にその資格が役に立ったか」を話した方が、ずっと印象は良くなるはずです。
簿記を持っていても収入アップにはつながらない
転職を考える理由の一つに収入のアップを上げる人は少なくありません。
しかし、介護におけるケアマネジメントのように、資格を持っている事に対して給料がプラスされる企業は少ないでしょう。
また、求人に『簿記2級以上必須』とする企業も少ないのが現状です。
より高い成果を望むなら1級が必要になる
簿記1級の資格があれば、上場企業の経理すらこなせる実力があるとされます。
その為、有利な条件で転職できるチャンスも増えるでしょう。
また簿記からステップアップを望む人の多くは、税理士を視野に入れています。
税理士の資格があれば、ゆくゆくは独立という夢も広がります。
キャリアアップの為にも簿記を取って損はない
本気で転職やキャリアアップを考えているのであれば、2級にチャレンジするのもいいですが、決して勉強は簡単ではありません。
そこで簿記の経験がないのであれば、まずは3級の試験を受けてみる事をおすすめします。
2級の取得には必要になる知識ですし、試験も午前中に3級を行い、午後から2級を実施するので、自信があれば同時に受験する事も可能となっています。
企業の中で、必要となる知識ですので転職の有無にかかわらず、先を見越して取得するのも一つの手ではないでしょうか。