投資にリスクはつきもの
リスクのない投資など存在しない、と言っても過言ではないでしょう。
もちろんFXも例外ではありません。複数のリスクが存在します。
いったい、どんなリスクがあるのか・・・。
今回は、FXの代表的なリスクをご紹介します。
為替相場変動によるリスク
為替相場は、短時間で激しい値動きが生じたりすることもあります。自分が想定した値動きとは違う変動があり、保有しているポジションと逆の値動きとなれば損失を被ることになります。
つまり、自分が保有している通貨が買った時より高くなっていれば利益(為替差益)を得ることができます。しかし、逆に安くなっていれば損失(為替差損)を被ることになるのです。
たとえば、為替レートが1米ドル100円のときに、10万円分米ドル(1,000米ドル)を買って円を売ったとします。
しかし、その後に米ドルを売って円を買い戻す際に、為替レートが1米ドル90円に変動していた場合、取引しても戻ってくるのは9万円にしかならず、1万円分の為替差損が生じてしまうのです。
レバレッジによるリスク
レバレッジとは、「てこの原理」を意味しており、一定の資金を証拠金として預け入れることで、その何倍もの取引ができる仕組みです。少額の資本金(証拠金)で始める場合でも、数倍~数百倍(個人口座では最大25倍)のレバレッジをかけて大きな取引をすることができるのが、FXの魅力のひとつです。
レバレッジを利用することで、為替差益が生じた場合はレバレッジ分、利益が増えます。
しかし一方で、為替差損が生じた場合も、同じようにレバレッジ分、損失が増えていってしまいます。
たとえば、10万円の証拠金を使って10倍のレバレッジをかけて、100万円として取引を行ったとします。
1米ドル100円のレートで円を売って米ドルを買い、1万米ドルの買いポジションを持ちます。
その後、円安で1米ドルが95円となり、そのタイミングで持っていた1万米ドルを売ると、100万円として取引したものが95万円になり、レバレッジを10倍に設定して取引したがために、5万円の為替差損を被ったことになってしまいます。
このように、レバレッジを利用して取引をすると、何倍もの利益が望める一方で、何倍もの損失を出してしまうこともあるのです。
ロスカットルールによるリスク
前述のとおり、外国為替レートの値動きは気まぐれなものであり、小さな値動きで推移していた相場が突如として予想以上に大きな値動きに変わったりもするため、思惑と反対のトレンドに向かった場合には巨額の損失を被ることになります。そういった場面に備えて、FXでは証拠金を上回る損失を防ぐために、マージンコールやロスカットというルールが存在します。
証拠金が目減りしたり、取引に必要な証拠金をなくしてしまった場合に、FX取引業者は、投資家に対して損失が一定の基準を上回ったという警告、「マージンコール」を発します。
これは、現在の含み損(現在の為替レートで決済した場合の損失)を証拠金から差し引いた証拠金残高が、ある基準まで減ると投資家に連絡がいくというシステムです。
マージンコールがあったにも関わらず証拠金の状況が改善されなかったり、あらかじめ設定された必要証拠金維持率(業者による)を割り込んだ場合は、証拠金がマイナスになるのを防ぐため、現在の保有ポジションが強制的に決済されます。
含み損をかかえていた保有ポジションが自動的に強制決済されるため、結果的には証拠金の大半を失うことになります。
金利の変動によるスワップポイントのリスク
FXの特徴の一つに、「スワップポイント」というルールがあります。通貨の交換を行なうのと同時に金利の交換も行なわれ、金利差調整分の受け払いが日々発生します。
この金利差調整分をスワップポイントといい、各国通貨の金利差を受け取ったり支払ったりする仕組みとなります。
スワップポイントの受け払いは、保有ポジションを決済するまで継続して発生し、金利の低い通貨で金利の高い通貨を買った場合は、その金利差がもらえます。
しかし、金利が変動して高金利だったはずの通貨の金利が低くなると、スワップポイントは少なくなったり、最悪の場合マイナスに転じてしまうこともあります。
各国の政情や財政状況によるリスク
FXは各国の通貨を対象とする投資のため、保有している通貨の国の政情や財政状況が投資リスクに深く関わっています。金利が高く魅力的な通貨だとしても、その国の信用度が低かったり、政情や財政状況が不安定だったりすると、債務不履行や通貨価値の大幅な下落などのリスクがあります。これをカントリーリスクといいます。
またテロや戦争、政策の変更など、ある特定の地域が抱えている政治的・軍事的な問題の高まりにより先行きが不透明になり、為替レートが短期間のうちに激しく動くことがあります。これを地政学的リスクといいます。
決済ができなくなるリスク
取引量が極端に少なく流動性が低いマイナー通貨の場合、取引をしたくても取引相手がおらず、希望するタイミングで決済できないということがあります。これを流動性のリスクといいます。
流動性の低い状態では、希望のレートで売買が成立しなかったり、スプレッド(売値と買値の差)が通常よりも広がって取引条件が不利になるなどのリスクがあります。
インターネット取引によるリスク
インターネットを使用した取引の場合、売買注文の入力ミスなどによる誤発注や、ネット環境の不具合による失注など、思い通りの取引が出来なくなってしまうことがあります。その間に為替レートが大きく変動し、利益機会を逃したり、逆に損失を被るといったようなリスクがあります。
それでもFXは魅力的!
以上、ここでご紹介したリスク以外にも、FX取引業者の倒産リスクや、FXにより発生した利益の税務リスクなどが存在します。
しかし、冒頭で申し上げたとおり、リスクがない投資など存在しません。
なによりも重要なことは、リスク要因を事前に調べて知っておくことで、これらのリスクに的確に対処し、損失を最小限に食い止め、損小利大を目指して投資効率の向上に繋げていくということです。
上記のリスクにしっかりと対処することが出来れば、FXは非常に魅力的な投資となります。
リスクとリターンは表裏一体の関係です。
為替相場の変動は、利益を生み出すチャンスです。
レバレッジの仕組みは、少ない資本金でも大きな利益を得られる要素です。
ネットによる取引は、24時間変動している為替相場にいつでも誰でも参加出来る機会の獲得です。