「アナと雪の女王」の世界が目の前に
偶然のコラボレーション
札幌方面から国道12号線を走らせると、旭川市内入口の左手の小高い丘に、「雪の美術館」がある。
「優佳良織工芸館」「国際染色美術館」がある「北海道伝統美術工芸村」に、雪の自然の美しさを表現する美術館として、1991年にオープンした。
外見はビザンチンの建築様式を取り入れた中世ヨーロッパの佇まい。内装はすべて雪の結晶など雪をモチーフにデザインされた。彫刻や柱、壁、天井画やクリスタルのシャンデリアが豪華な雰囲気をかもし出している。
map ⇒ 北海道旭川市南が丘3丁目1-1(国道12号線沿い)
らせん階段はまさしく映画の世界
美術館の入口に入るとホール中心にはらせん階段が備わっている。階段は地下18mの部屋まで62段あり、回りながら地下へと降りる。
この階段がまさしく「アナと雪の女王」のシーンそっくりなのだ。
もちろん美術館の方が映画より古いので、まったくの偶然だが「雪」「らせん階段」と、まるで映画に合わせて作られたかの美術館になっている。
雪の美しさがいたるところに
地下にある「氷の回廊」には、200個の雪の結晶が壁に装飾された「結晶の部屋」がある。
廊下のガラスの向こう側はマイナス30度の世界になっており、部屋の中から氷の姿が刻々と変わる様子が楽しめる。
スノークリスタルミュージアムでは、雪の結晶を顕微鏡写真や映像で見ることができる。
白と青の色調で統一された室内は、まさに「雪の女王」が暮らしているかのような世界だ。
もともと結婚式場としても活用されていた
美術館の中央は音楽堂がある。
7人の画家の共同制作によって、天井に描かれた「北の空」の青さがまぶしい。
雪のステージでは音楽会や講演もできるようになっており、結婚式場としても利用されていた。
SNSへの書き込みから人気に
大人気となった映画「アナと雪の女王」を見た人が美術館を来場して話題になった。
「アナ雪と同じ世界がある」「らせん階段からエルサが降りてくるシーンとまったく同じ」など、ネットやSNSへの書き込みから人気が沸騰している。
アナ雪ファンが結婚式場を申し込んだり、来場者も映画以前と比べると約10倍以上となっている。
ドレスレンタルも開始
まるでアナとエルサになれる体験も
美術館側も人気に応えようと、本来ウェディング用に用意していたドレスをレンタルするサービスを始めた。
昨年6月から始め、館内で記念撮影ができる。
らせん階段を降りる姿、結晶の間で、など、青や白のドレスを身にまとい満足気な女性が多くなっている。
さらにティアラなどの小物もレンタルできる。
氷の美術館「アイスパピリオン」も
隣町では極寒の体験も可能
「雪の美術館」のある旭川市の隣町、上川町に「アイスパピリオン」がある。旭川市内からは車で約50分の距離にある。
日本最大級の規模となる館内はマイナス20度に保たれ、氷の鍾乳洞や大きな氷柱に驚く。
600平方メートルあるアイスホールには、美術館ができてから25年の歳月で形成された大氷柱群や氷壁が並ぶ。その氷の量はなんと1000トン!
あたり一面、氷の世界だ。
心配しなくても、見学者用に無料で防寒着を貸し出している。
極寒のメインは、マイナス41度の世界体験。これは、明治35年に記録した日本最低記録温度で、10秒間だけその寒さの中に入る。
防寒着を着ているとはいえ、さすがに寒さが体にしみ込んでくる感覚を味わえる。
map ⇒ 北海道上川郡上川町栄町40番地
ダイヤモンドダストも見学できる
北海道厳冬期の朝方、空気中の水分が凍り、結晶が太陽に当たってキラキラと光り輝くダイヤモンドダストも体験できる。
北海道でもなかなか見られない神秘的な光景だ。
テーマは氷だが、映画「アナと雪の女王」の世界をほうふつとさせる世界になっている。
日常では味わえない体験も
マイナス20度の世界でしかできない
非日常の低温でしか体験できない実験もできる。
・タオルを濡らして振っているとそのまま凍ってしまう。
・凍ったバナナで釘打ち。
・シャボン玉が空中で凍ってしまい、消えない、など。
寒い場所にいると、筋肉が収縮してしまうのか、不思議に疲労を感じる。このアイスパビリオンでも、ぐるっと施設を回って防寒着を脱ぐと、なぜか肩が凝ったような疲労感に襲われた。
雪と氷の異次元の世界
映画「アナと雪の女王」の世界を体験できる、「雪の美術館」と「アイスパピリオン」。
夏も極寒体験が可能なので、アナ雪ファンは避暑も兼ねて両美術館をはしごするのはいかがだろう。