へそ祭りの起源は
富良野市は、地理的に北海道のほぼ中心に位置する。そこで、富良野は身体でいえば中心、つまり北海道の「へそ」だということで、「へそ」にちなんだ祭りをしようと、始まったのが「北海へそ祭り」。それがどうして今のようなスタイルになったかは不明だが、大人がお腹を出して「へそ」を見せる。しかも、「へそ」を中心にお腹に人の顔を描く。
なんとも不思議な祭りだが、2015年で47回目を迎えるほどの歴史がある。毎年7月28日と29日に開催される。
ユニークさを競う
この時ばかりは、メタボお父さんの独壇場となる。胸から上の顔は、大きな帽子や傘で隠し、お腹だけを見せる。そこに顔があるのだが、実にでっぷりしたお腹が、ちょうど具合がいい「顔」になる。
下腹が膨れている人などは、そこが顔のあごが割れているように見えて、まるで俳優のロバート・デニーロ?立派な顔になる。踊ると、そのたるんだ脂肪が揺れて、いい塩梅に顔の表情が変わるのだ。シェイプアップされたお腹では、なんとも貧相な顔になってしまう。
大きな目や鼻を描き、笑ってる顔、怒ってる顔など表情が様々。歌舞伎風、アニメ風、美人顔、おばけ?など、様々なお腹がある。その面白さを競い、踊る。
観客も思わず指をさして、笑い転げる。参加しても、見ても面白い祭りだ。女性用には、ペイントしたTシャツも用意されているが、最近ではTシャツを胸の下までまくりあげて、直接ペイントする参加者も増えてきた。
団体戦だが、飛び入り歓迎
基本的には団体戦で、各チームが顔を隠す上部分やお腹から下のユニフォームなどを統一して出場する。その揃った服装の団体に、ユーモラスな顔が描かれたお腹とのギャップがまた面白い。
個人の飛び入り参加も歓迎だ。2日間で各先着50名まで受け付け、参加料500円。衣装も貸し出され、お腹に顔を描いて、特別チームとして参加できる。
同時にグルメイベントも
祭り期間中には、グルメイベントも開催される。富良野といえば、わざわざ遠方から食べにくるグルメも多い。
代表的なのが、市内数箇所のレストラン、食堂で提供されるオムカレーだ。オムライスにカレーのルーをかけて食べる。トッピングに自家製ソーセージや、ホワイトカレーなど、各店での工夫がある。
また、人気TVドラマだった「北の国から」にも登場したラーメンも、人気店がいくつかある。観光シーズンでは行列ができる店もある。
北海道土産で有名な六花亭が富良野にもある。「カンパーナ六花亭」は十勝産にこだわった大豆やじゃがいもなどで、オリジナルのスイーツを提供しており、観光客に人気となっている。
他にも地元の新鮮な食材を使った農家レストラン、カフェなど人気スポットがある。今年の祭りのグルメイベントに、何がでるかは当日次第だが、富良野の食材を使ったグルメが出てくるかが楽しみ。
おっぱい祭りは男子禁制
毎年1月17日に知内町・雷公神社で「十七夜講(じゅうしちやこう)」、俗に言う「おっぱい祭り」が開かれる。宮司以外は女性しか参加できない男子禁制だ。由来はお母さんの健康祈願
この雷公神社の創建は1244年。北海道で最古の神社と言われている。1205年からこの地に砂金を求めて甲斐の国(今の山梨県)から来た、荒木大学が賀茂の上社と下社をこの地に立てたのが始まりと伝わる。
同行した山伏の了徳院重一が雷公神社の神主を努めた。重一の妻・玉之江が亡くなる前に、「知内の一番見晴らしのいい場所に埋めてください。乳不足の母親にお乳を授けてあげたいのです」と遺言したという。
玉之江を埋めた小高い丘には1本の杉が植えられ、その後、杉の木には女性の乳房に似た瘤が2箇所に現れた。人々はそこに姥杉社と名付けたお堂を建てた。
お乳の出ない母親が祈願したところ、次第にお乳が出るようになったため「乳母杉」と呼ばれるようになった。
そのため、関連する行事として毎年1月17日に雷公神社で開催される「十七夜講祭」が「おっぱい祭り」と呼ばれるようになった。参列者は米粉をおっぱいの形に持った乳房(しとぎ)を祭壇に供えて、安産や母乳が出ることを祈願する。
関連グッズやグルメも
知内町には、おっぱい祭りにちなんだ「おっぱい饅頭」や「美乳サブレー」「ちちかみ餅」など、関連グッズがある。ちなみに知内町にある知内温泉は、北海道最古の温泉。というのも、やはり本州から砂金堀りにやってきた人々が川沿いに温泉を発見したから。
知内温泉も1247年に発見され、茶褐色のお湯は鉄鉱泉・炭酸塩類泉からなり、胃腸病、皮膚病、打ち身、火傷、婦人病に効能がある。
来年3月に開通する北海道新幹線は、知内駅の隣の木古内に新駅ができるため、知内へのアクセスは格段に良くなる。
安産祈願、母乳がたくさん出るように祈願したい女性は一度訪れてはどうだろう。
厳寒も祭りにして楽しむ
北海道といえば厳しい冬があるものの、そんな冬を楽しんでしまえ、開き直った真冬の祭りを2つ紹介しよう。十勝地方陸別町の「しばれ祭り」と、北見の「厳寒焼肉祭り」だ。
日本一の寒さ体験
陸別町と言えば、日本一寒い町として知られている。真冬であれば、マイナス30度になることもしばしば。その極低温で立ち木が凍った、とか、駅のキオスクのコーラが凍って缶が爆発した、とか、とても普段ではありえないことが起こる。
よりによって、そんな寒さを体験するって?もはや遊び心もここまでくると、マジ?メーンイベントは「人間耐寒テスト」だ。スタッフがテント地に空気を入れて膨らませ、水をかけて凍りの皮膜を作った、バルーンマンションが祭りのお宿だ。もちろん屋外。
この中に暖房なしで、極寒を耐え見事朝を迎えることができたら「耐寒テスト認定証」を獲得できる。なにが楽しくて、と思うが、過去33回で約5200人がこの認定証を受けとったという。やってみなければ、楽しさは分からない、のだろうか?
寒い外でなぜ焼肉?
北見も冬の寒さにかけては、陸別にもひけを取らない場所。マイナス20度もよくある土地で、どうして夜に屋外で焼肉を食べるのか?まったく謎めいたイベントが、「北見厳寒の焼肉祭り」だ。
そもそも北見は人口約12万5000人に対して、焼肉店が約60店ある焼肉の町。北見市営のと蓄場が近くにあり、新鮮な肉がすぐに手に入ったため、モツ鍋や焼肉が広まった理由とされる。
それが、転勤族の目に止まり、これだけ美味しい北見の焼肉をなんとかアピールする手段はないか、と考えられたのが、厳寒の中で焼肉を食べるイベントだ。毎年2月上旬に開催され、2015年で16回を数える。
主催者からのアドバイスとして、参加者に推薦する格好
足を暖めるために毛糸の2重靴下が必須
長靴やスノーブーツにもカイロは必要
スキーウェアやダウンウェア
焼肉の匂いをスキー場で発散させないためには、ビニールの雨合羽着用を
帽子は必需品。耳までしっかり覆うものを
さらにネックウォーマーやマフラーで首周りを保護を
雪が降る日もあるので、フリースよりは毛糸がおすすめ
とにかく防寒具だらけの丸々とした、まるでヒグマのような生き物がせっせと焼肉をほおばる姿は、壮観といっていいのか、悲壮というべきか。まさに覚悟の姿。
最近、ヘッドライトが流行している。これは、防寒というより肉を食べるときに照らすのに便利だとか。人間、寒さより食欲が勝るという証拠?入場券は1500円で焼酎のお湯割り飲み放題と、豚ホルモン、牛サガリ、豚ロース、北見産タマネギ各1人前付き。
肉は追加オーダーが可能で、中にはビールを飲む輩もいるとか!とにかく、寒さを遊んでやれ!精神たっぷりのイベントだ。
雪まつり以外にも面白い祭りがある
北海道の祭りといえばさっぽろ雪祭りが有名だが、地方創生の時代、面白い祭りが増えている。本州ではなかなか体験できない祭りもあり、一度参加してみてはいかが?