言語聴覚士をご存知ですか?
言語聴覚士って、一般的にはあまり馴染みのない職業ですよね?
“言語や聴覚に関する仕事”という、漠然としたイメージを持たれる方は多いでしょう。
ここでは、言語聴覚士の仕事について詳しくご紹介します。
コミュニケーションを円滑にするための支援
人が日常生活を送る上で、とても重要なコミュニケーションツールといえるのが「言葉」「聴覚」「発音」「発声」です。
そして、生まれつきの問題やケガ・病気などによってそのツールが使いにくくなった、もしくは使えなくなった場合に支援をするのが言語聴覚士なのです。
支援の対象となるコミュニケーションの問題は、主に以下の4つに分けられます。
言葉に関わる問題
失語症
病気やケガの後遺症として、話す・聞くなどの言語機能や、読み書き・計算などの文字に関わる機能に障害が起こる状態。
言語発達遅滞
成長段階において、一般的な成長の時期に比べて言語の発達に遅延が見られる状態。
言語発達障害
何らかの身体的な障害によって言語の発達に問題が生じる状態。
聴覚に関わる問題
先天性聴覚障害
生まれつきの聴覚障害で、聞き取りができないため正確な発音が困難になりますが、補聴器の使用や聴覚障害児教育によって、日常に必要な読み書きは可能になります。
中途失聴
事故や病気によって聴力を失った状態をさします。
ある程度、言葉を覚えた後で発症した場合は発音などへの影響はないといわれています。
老人性聴覚障害
感音性の難聴の一種で、加齢により、いわゆる「耳が遠くなった」状態をさします。
発音に関わる問題
構音障害
発音がはっきりせず、言葉が不明瞭になります。
吃音
「どもり」とも呼ばれ、単語の初めの言葉を連続したり無音状態が続くことで、言葉を円滑に話すことができなくなる、コミュニケーション障害の一種です。
発声に関わる問題
音声障害
声が小さくなったり、声がかすれるなど、声に問題がある状態をさします。
失声症
心因性の原因から声が出なくなる状態。
おいしくご飯を食べるための支援
食べ物や飲み物を口に入れて、飲み込んで胃に送り込むという、一連の流れに問題が生じる「摂食・嚥下障害」を支援するのも言語聴覚士の仕事です。
摂食・嚥下障害は、飲食物が通る道の構造や動きに問題がある場合や、心因性の原因で摂食・嚥下が困難になる場合があります。
言語聴覚士になるためには?
言語聴覚士は、定められた教育課程を経て、厚生労働省が認定する国家試験「言語聴覚士国家試験」に合格すると、厚生労働大臣の免許を受けることができます。
定められた教育課程は大きく3つに分けられます。
まず、高等学校を卒業後、厚生労働大臣が指定する言語聴覚士の養成所(3~4年制専修学校)か、文部科学大臣が指定する大学(3年制短大または4年制)を卒業するパターンです。
そして、一般の4年制大学を卒業した場合は、専修学校で2年間、必要な知識や技能を勉強し、卒業する必要があります。
また、外国の大学で言語聴覚士の課程を修めて卒業した場合は、厚生労働大臣の審査・認定を受ける必要があります。
試験は、毎年2月に行われ、3月下旬に合否が発表されます。
言語聴覚士の活躍の場所とは
言語聴覚士は、仕事の内容が多岐にわたり、さらに、小児から高齢者まで幅広い年齢層が支援の対象となるため、さまざまな場所で働くことができます。
言語聴覚士は、以下のような場所で活躍しています。
医療機関
病院、診療所、療育センターなど
保健機関
介護老人保健施設、保健センター、保健所など
福祉機関
身体障害者福祉センター、指定介護老人福祉施設など
教育機関
ろう学校、養護学校、通級指導教室(きこえの教室、ことばの教室)など