受け継がれる島の美しさ
竹富島は、島民の街並や文化を保存しようとする意識が高い島です。
1972(昭和47)年の日本復帰前後に、本土資本の土地買占めに対抗するためにおこった街並みの保存運動がきっかけとなり、竹富島の文化と自然を守るため、1986(昭和61)年に「竹富島憲章」が制定されました。(竹富島憲章 [pdf])
憲章では、島の美しさや秩序を守るための島づくりの理念がうたわれています。
観光業者に対しても、「消灯は23時とする」「マージャン等賭け事はさせない」など、独自のルールが定められています。
1987(昭和62)年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された集落では、伝統的な街並みが守られています。
赤瓦屋根の民家
赤瓦をしっくいで塗り固めた沖縄独特の屋根は、明治時代に台風や火災に弱いかやぶき屋根の代わりに使われるようになりました。
竹富島では、島らしい町の景観を守るため、古い民家から取り外した古瓦を再利用しています。
ふぞろいな形や色が特徴の古瓦が、竹富らしい町並みを作り出しています。
民家を取り囲むグック
集落の建物のほとんどが、グックと呼ばれる琉球石灰岩の塀に囲まれています。
台風の通り道になることが多い竹富島では、グックや屋敷林で建物を暴風から守ります。
フーヤ(母屋)をグックで取り囲み、フーヤの正面にマイヤシと呼ばれる壁を配すのが、竹富の伝統的な民家です。
マイヤシには、建物の中が見えないようにするほかに、悪い風が中に入らないようにする魔よけの役割もあります。
白砂の路地
真っ白な砂が敷き詰められた集落の路地は、竹富島独特の雰囲気を演出しています。
ハブを見つけやすくするために敷き詰めた白砂の正体は、海岸から運んできたサンゴ砂です。
この白砂の美しさは、住民の「朝清掃」で守られています。
竹富島の朝は、砂を掃くホウキの音ではじまります。
守り続けられる精神や文化
竹富島では、祖先から受け継いだ伝統工芸を生かし、祭事行事、芸能などの文化を守ることを大切にしています。
竹富言葉(テードゥンムニ)
竹富言葉は、ユネスコより2009(平成21)年に「消滅の危機に瀕した言語」に認定された八重山諸方言に属していることばで、日本語の古語を残しているのが特徴です。
毎年、竹富小中学校PTAの主催で行われているテードゥンムニ大会(竹富島言葉発表会)には、多くの住民や観光客が訪れます。
保育園児から小・中学校の児童や学校の職員が、慣れないテードゥンムニを使った歌やお話が披露されます。
西塘大主が眠る西塘御嶽 (にしとうおん)
種子取祭(タナドゥイ)
国の重要無形文化財に指定されている、竹富島の中でも最も盛大なお祭りです。
陰暦の9,10月中の甲申(きのえさる)の日から甲午(きのえうま)の日までの10日間に毎年催されます。
7・8日目に行われる奉納芸能には、島を離れて暮らす島出身者や多くの観光客が訪れます。
70を超える奉納芸能は、女性による華やかな踊り(ブドゥイ)と、男性による勇壮またひょうきんな狂言(キョンギン)に分かれます。
竹富島を訪れる前に知っておきたいこと
竹富島には、島で守らなければいけない、いくつかのルールがあります。
部外者の立ち入りが禁止されているエリアや、御嶽 (おん)などの聖域があります。
また、キャンプや野宿、集落を水着で歩くことなどが禁止されているため、訪れる前には確認が必要です。
島のルールを守って、素敵な旅行にしたいですよね。