悪化するマナー…撮り鉄が嫌われているその理由|トピックスファロー

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2013年3月22日
悪化するマナー…撮り鉄が嫌われているその理由

携帯・スマホで誰もがカメラを持っているこの時代、写真撮影に関するトラブルは日本中のあちこちで毎日のように起こっています。中でも鉄道を被写体とするいわゆる「撮り鉄」は、個人の諍いから鉄道会社の営業妨害レベルまで幅広い範囲でのトラブルを引き起こす原因となっているのです。

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運行妨害・器物損壊も…悪化するマナー違反者「撮り鉄」

東京を走る電車風景

趣味というものは、他人に迷惑の掛からない範囲であれば咎められること無く続けるべきであるといえます。逆に言えば、他人に迷惑が掛かる趣味は咎められたならすぐにでも改めるか辞めるべきものなのです。
しかし、世の中には人に迷惑を掛けても自分の趣味が優先されると思っている人もいるのです。
そういった人たちが多いといわれる趣味が「撮り鉄」なのです。

列車の写真撮影を専門とする撮り鉄はなぜ迷惑?

「撮り鉄」とは、列車が走っている姿などを撮影するのが好きな鉄道ファンの事を指します。
懐かしのSL列車や最新の列車・新幹線、廃止される路線や廃車となる列車などその被写体は様々です。

普通に写真撮影するだけならば、それこそ友達や家族を見送りに来た人や旅行先の記念撮影をする人などもいるのですが、撮り鉄が特別に嫌われているのにはそれなりの理由があるのです。

撮影場所の占拠

撮り鉄が嫌われる理由の一つが、「駅構内の撮影に適した場所を長時間占拠」する事です。
どんな被写体にも、ベストショットの取れる位置・角度というものがあります。鉄道写真の出来栄えは、いかに列車が格好良く見えるベストショットを捕えられるかで決まるのですが、その為にプラットホームに三脚や脚立を設置して長時間粘る撮り鉄が多いのです。

プラットホームは、列車の乗客が乗降する場所なので撮り鉄が溜まれば溜まるほど足の踏み場がなくなっていき、迷惑が掛かってしまうのです。

一般乗客への罵声

一番格好良く列車を撮影するには、止まっている時よりも動いている時の列車を撮影する事が大事です。列車は動いている方が躍動感が感じられて、いかにも速くて力強そうに映り込むからです。
しかし、折角のシャッターチャンスが来てもファインダーを覆うようにして歩行者が映り込むと台無しになってしまいます。

その為か、撮り鉄はファインダーに映り込む前から一般乗客に罵声を浴びせて近づけさせないようにする事が多く、駅や鉄道会社に苦情が寄せられてしまう事がたびたびあるのです。

線路内への侵入・保守設備の破損

写真撮影で難しいのは、「最高の構図を撮影できる場所の確保」です。
例えば大人数の集合写真を撮る際には全員がファインダーに収まる場所を確保しやすい広場に行くように、撮影する被写体にあった場所取りが大事です。
しかし、撮影に適した場所というのは基本的に同じなので多くのカメラマンが雲霞のごとく押し寄せてしまうのが難点なのです。

しかし、一部の撮り鉄は撮影場所を確保するためには立ち入り禁止区域や線路内に侵入するというマナー以前の違反を行うものも少なくありません。
酷い時には、線路の保守・修理に欠かせない「タイガーロープ」という柵を引き抜いてしまう者さえいます。最近では、線路脇に植樹されていた桜の木が何者かに切り取られるという、撮り鉄が犯人ではないかとみられる事件も起こっています。

私有地への侵入・田畑の損壊

鉄道写真は何も駅だけで撮るものではありません。
遠景から列車を撮影し風景の一部として撮影した写真も人気があります。
しかし、そういった風景写真的な鉄道写真を取るためには、やはり場所取りが関わってきます。
この際、私有地となっている場所や田んぼや畑に陣取って踏み荒らしたり、ゴミを埋めたりして捨てていく撮り鉄があちこちに出没するのです。
踏み荒らされた作物は元通りには育たないし、ゴミが埋められた畑は生育が悪くなるしで農家にとってまさに招かざる客なのです。

撮り鉄の自浄作用は期待できない?

このような、他者に迷惑を掛ける同好の士が居た場合、普通ならば趣味コミュニティ内部で反省と糾弾が行われ、行いを改める自浄作用が働くものです。
しかし、撮り鉄のコミュニティではこのような迷惑行為が咎められるどころか、咎めた方を批判し仲間を擁護しようとする動きがみられる事が少なくありません。

鉄道会社による撮り鉄の排斥、始まる

このような撮り鉄による様々な事件が後を絶たない事から、各鉄道会社では撮り鉄の排斥が進められています。
東急電鉄では「駅構内での三脚・脚立を使用しての撮影を禁止」という明らかに撮り鉄に向けた布告が発表されています。
また、線路内侵入および保守設備の破損は器物損壊罪・往来危険罪などで警察に被害届が提出されるケースも増えてきています。
このように、趣味の範疇ならば全てが許されるという考えは一般常識に馴染まない、重大なマナー違反行為なのです。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。