沖縄が最も熱くなる時期 “冬”
沖縄旅行に最適の時期はいつでしょうか?
やはり、夏と答える人が多いかも知れません。もしくは少し時期をずらして春や秋頃が良いと言う人もいるでしょう。しかし、沖縄が一番熱くなる時期は冬です。これは気温が高くなるという訳ではありません。丁度冬の時期(1~3月)にしか経験できない事が沖縄で起こるからです。と言っても、場所は沖縄本島ではありませんし、周辺の島々でもありません。それが起こるのは伊江島周辺と慶良間諸島周辺の海域です。沖縄本島から西に向かっていった海で見る事が出来ます。
それは『ホエールウォッチング』です。冬の時期にしか見られないクジラを、海まで行って遭って来ようというものです。クジラたちの圧倒的な大きさと力強さを目の当たりにする事ができます。
感動して胸が“熱くなる”時期は冬しかないのです。
冬にしかクジラが見られないのは何故?
ホエールウォッチングを楽しむ前に、なぜ冬の時期に沖縄近海でクジラとご対面できるか知っておくと、よりクジラを身近に感じられるでしょう。
沖縄近海で見られるクジラは『ザトウクジラ〈クジラ目ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科〉』と言います。
このクジラは普段“極”に近い冷たい海域に生息しています。北半球であればアリューシャン列島やアラスカ近海で生活をしています。この海域は夏になると、ザトウクジラの食料であるプランクトンが大量に繁殖します。クジラたちはそれを狙って北上を開始します。その為夏場の生活は“極”に近い海域になります。その後出産を行なうために遥々沖縄近海まで旅をしに来ているのです。その到着時期が1~3月頃になります。その移動距離は、目安として『アラスカのアンカレッジから東京まで約5550㎞。東京から沖縄まで1600㎞。合計して7150㎞※。』(※これはあくまでも飛行機で移動した際の直線距離を基準にして考えています。)
直線で来ることは無いので、軽く計算しても7200㎞以上は旅をしてきている事になります。
これはとてつもなく長い距離です。
こういう背景を考えると、クジラたちに出会えた時の喜びは深まります。
沖縄近海で見られる躍動するクジラたち
さらにホエールウォッチングを楽しむために、クジラの行動を知っておくと良いでしょう。
ザトウクジラの行動にはいくつかパターンがあります。それを紹介していきます。
ブロウ
いわゆる『潮吹き』です。クジラは哺乳類なので呼吸は肺です。そして呼吸するための鼻孔は頭にあります。そこで呼吸をするため、海水が霧状になり噴水をあげたように見られます。
これはクジラをいち早く見つけるためのポイントになります。
ヘッドスラップ
頭の部分から胸あたりまでを水面に出し、そのまま体全体で水面をたたきつける行為です。相手を威嚇するための行動です。
スパイホップ
体を垂直にして目元くらいまでを水面から出す行動です。周りを見渡すために行なうようです。
ペックスラップ
胸びれを水面に出してそのまま水面をたたきつける行為です。特に攻撃的なものではなく上機嫌の時に良くとる行動です。
ブリーチ
『潮吹き』に次ぐクジラの代名詞ではないでしょうか。大きく跳ね上がり回転をさせながら着水。体についている寄生虫や小魚を振るい落とすための行動です。実に豪快なジャンプです。
テイルスラップ
テイル、つまり尾びれを水面から突出し、一気に水面を叩きつける行為です。ものスゴイ水しぶきがあがります。
ベダンクルアーチ
潜水を開始する際に見られます。丸まった背中や背びれを見る事ができます。
似たものでベダンクルスラップというものがあります。これは潜水行動ではなく水面を叩きつける行為や相手への直接的な攻撃ともいえる行為です。
フルークアップダイブ/フルークダウンダイブ
こちらも潜水する時に起こすアクションです。腹部の模様が見える時はフルークアップダイブと言い、見えない時はフルークダウンダイブと言います。
クジラの到着で感動体験ができる沖縄~冬の海~
遥か遠い地からやってきたクジラ達の行動を見る事で、心の奥深い所からの感動が湧き上がってくるでしょう。その感動を覚えられる時期は、クジラたちの出産がはじまる1~3月の短い期間だけです。沖縄といえども冬なのでそれ相応の服装や格好をしなくてはなりませんが、そこまでして行く価値は大いにあるでしょう。クジラ達のとる躍動的な姿や沖縄まで来てくれたという事を考えると、貴重な思い出が心のファインダーに深く焼き付けられはずです。
また、クジラ達から何千㎞も泳ぎ続けるだけの力強さや生命の尊さも学べるでしょう。
沖縄に行くのであれば、一年で最も暑くなる時期『夏』よりも、一番熱くなれる時期『冬』に訪れると良いかも知れません。