ヨガの始まりって?
ヨガの歴史には、さまざまな説があるのですが、いまから4000年~5000年ほど前に始まったと言われています。ヨガを始めた人々に関しては、現在のペルシャあたりに住んでいたアーリア人がインドに持ち込んだという説や、アーリア人がインドに来る以前からあったという説があり、何時、誰が始めたのかという明確な歴史がないのです。ヨガのポーズの名前や、ポーズ自体の形も、流派によって違いますし、“正しいヨガはこれだ!”というものもなく、“ヨガの歴史はこれだ!”という確かなものもないのです。
「ヨガ」ってどんな意味?
「ヨガ」という言葉は、サンスクリット語で「結ぶ」という意味です。これは、人の心は荒馬のように暴れるものだから、馬具をつけてコントロールできるようにする、という意味だと言われています。”yoke”という英単語には、牛をくびきにつなぐことや、二つのものをつなぎ合わせるという意味があります。なんとなく“ヨガ”と似た雰囲気を持つ言葉ですよね。
そもそも「ヨガ」って何するもの?
ヨガの目的は、一言で言うと「解脱」です。身近な言葉ではないですが、“欲望”“執着心”“怒り”など、人間が持っている煩悩や悪い行いから逃れることを意味しています。「悟りを開く」とも言いますね。解脱するために瞑想を深める訓練をしましょう、というのが「ヨガ」です。ヨガには「ヨガ・スートラ」と呼ばれる経典があり、「煩悩から逃れ、瞑想を深めるためのライフハック」のような、基本指針8つ(八支則)が記載されています。例えば、「やってはいけないこと(ヤマ)」「行うべきこと(ニヤマ)」「正しい姿勢や動作の訓練方法(アーサナ)」「呼吸の仕方(プラーナヤマ)」など。
現在、私たちになじみのある「ヨガ」は、身体を動かすことがメインだと思われていますが、ヨガは主に心の動きをコントロールすることを目的としています。そのため、身体を動かすことよりも、瞑想を深めることがメインであり、身体を動かすことは、瞑想を深めるために必要な筋肉や適切な姿勢を身につけるために行っているに過ぎないのです。
身体を動かす「ヨガ」が主流になった理由は?
今、私たちが行っているヨガは、「ハタ・ヨガ」と呼ばれる、身体を動かすことがメインのヨガが、ヨガの大元と言われています。現在のヨガのブームは、マドンナを筆頭に、健康志向のアメリカのセレブが火付け役と言われていますね。元来、身体を動かすヨガは、瞑想を深めるために必要な肉体を手に入れることが目的でした。しかし今では、身体を動かすことで、ざわついている心を落ち着かせる、というような形になっています。
身体を動かすことで、肉体的な健康面への効果が期待できるだけでなく、精神的な面にもアプローチできるという部分が、現代人のニーズに合ったのでしょうね。
「ヨガ」と「ストレッチ」の違いは?
「身体を動かすだけなら、スポーツやストレッチも同じなのでは?」「なぜ精神面にも効果があるの?」と疑問に思われる方がいらっしゃると思います。もちろん、スポーツやストレッチでも、心を元気にする作用はあります。では、ヨガは何が違うのか?それは「意識のあり方」です。
スポーツやストレッチを行っている最中に、「右足のふくらはぎの筋肉が張っているなあ。」「前屈すると呼吸が止まるなあ。」などと意識したことがあるでしょうか。
特にスポーツでは、誰かと比較したり、勝ち負けを気にしたり、自分の外側に意識が行くことが多いのではないでしょうか。
ヨガを行っている時は「隣の人、身体柔らかいなあ。負けてられないな。」などという他人との比較は必要ありません。ひたすら自分の身体と向き合い、自分が快適な状態を探って行きます。
「今日は右足のふくらはぎの筋肉がいつもより伸びない感じがするなあ」
「ここまで前屈すると呼吸が止まるから、呼吸が自然にできる位置まで身体を起こそう」
など、現在の自分の身体の状態や呼吸に意識を向けるのです。
ヨガでは、自分自身の肉体を通して、呼吸や心の状態といった、自分の内側を見つめ、自分自身と向き合います。
そうして、落ち着いた心の状態を探し出し、快適な心と身体の状態を取り戻し、おのずと心と身体を健康にしていくのです。
心も身体も酷使している現代人のみなさん、一度ヨガを試されてみてはいかがでしょうか。
自分自身と向き合うことで、今まで感じたことのない充実感や、目の前がぱっと明るくなる感じを体験できるかもしれません。