『調剤報酬請求事務専門士』の仕事
主な業務は、調剤薬局などで受け付けや会計、レセプト(調剤報酬明細書)処理など。
いわば、調剤現場における医療事務。
調剤事務の中では最も古くからあり、唯一国に『専門士』として登録されている資格です。
調剤事務管理士との違い
通信講座で、医療事務と並ぶほど人気となっているのが『調剤事務管理士』。
実は作業内容に関しては、ほとんど違いはありません。
しかし、二つを比較すると、いくつか違いが見えてきます。
(1)調剤報酬請求事務専門士は難易度が高い。
調剤事務管理士の合格率は、約60%。(技能認定振興協会発表)
試験会場へ計算機、テキストの持ち込みが許可されています。
一方、調剤報酬請求事務専門士の合格率は1級が15%~20%。2級が45%~55%。(日本医療総合支援評議会発表)
調剤事務系の資格では最難関と言われており、2級でさえ調剤事務管理士の合格率を下回っています。
(2)正式に履歴書に記入できる
調剤報酬請求事務専門士は、調剤系の資格としては唯一『専門士』として、国の登録を受けています。
その為、正式な資格として履歴書へ記載する事が出来ます。
もちろん、他の資格も履歴書へ記入する事に何の問題もありませんが、正式に『専門士』として認められているのは、調剤報酬請求事務専門士だけです。
(3)2年に1度更新が必要
診療報酬や調剤報酬は2年に1度のサイクルで改定が行われています。
つまり、資格を取得の為に勉強したとしても、2年でその内容が古くなるという事です。
調剤事務には、常に”今の”法律を理解し、現場で活かさなければなりません。
その為、改定と同じ2年というタイミングで免許の更新を行い、有資格者のスキルを一定以上に保っています。
(4)現場の評価が高く、資格手当がつく
合格率の低い難しい試験を突破し、免許の更新により常に最新の情報を入手している調剤報酬事務専門士。
その分だけ現場での評価は高いと言えるでしょう。
それは調剤薬局や病院で、調剤報酬事務専門士に『資格手当』を付けている所が、決して少なくない事からも見て取れます。
(5)就職サポートがある
調剤報酬請求事務専門士を認定している日本医療総合支援評議会には、独自の就職支援センターがあり、検定合格者の就職サポートを行っています。
求人の窓口が増える事で、自分の条件に合った職場が探しやすくなります。
資格取得の方法
受験資格はなく、独学で受験に臨むことも可能です。
ただし受験する級によって『会場受験』か『通信受験』かに分けられるので注意が必要です。
- 1級-会場受験のみ。受験料5,800円(会場)。
- 2級-会場、通信で受験可能。受験料4,800円(会場)、8,800円(通信)
- 3級-通信受験のみ。受験料7,800円(通信)
また、1級と2級。2級と3級の併願受験も可能。
その場合、1・2級は会場受験のみ。2・3級は通信受験のみとなります。
受験料は、どちらの場合でも個別に受けるより500円安く受験できます。
自分のライフスタイルに合わせて受験
難易度としては、受験回数も多い調剤事務管理士が低く、資格は取りやすいと言えます。
一方、調剤報酬請求事務専門士は、資格取得は難しいが、手当がつく可能性もあり、取得後に就職支援を受けられるというメリットがあります。
ただし、どちらの資格を取ったとしても、即就職決定となるのは難しいかもしれません。
しかし、就職支援のない他の調剤事務や、人気が集中し合格者が急増した医療事務よりは就職の幅は広いと言えるでしょう。
資格取得は、自分の勉強に掛けられる時間とライフスタイルに合わせて選ぶのが賢い選択です。