こんな企業理念を掲げる企業はそっぽを向かれている|トピックスファロー

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2012年9月14日
こんな企業理念を掲げる企業はそっぽを向かれている

コンプライアンスが求められる今の時代、企業は社会的通念に反しない活動と崇高な理念が求められます。しかし、口では社会貢献を唱えながらその裏では社員をこき使って健全な社会の構築を妨害する企業も少なくありません。企業とは社会に対してどうあるべきなのでしょうか?

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起業のすべき社会貢献とは何か? 企業理念の本質

会社のあり方を表す言葉である企業理念は企業ごとに異なり、それぞれの特色や考え方が表れてくるものです。つまり企業理念とは経営の方向性や社会に対してどのように企業があるべきかを示すものなのです。
しかし、どんなに仰々しい企業理念を掲げていてもそれを守った企業活動が出来ないのであれば、その会社は存在するべきではありません。企業理念を作るからにはそれを守り抜かなければならないのです。

企業が唱える「社会貢献」の本質とは何か?

どんな企業でも企業理念では必ずと言っていいほど「社会貢献」を唱えているものです。しかし、企業のするべき社会貢献とは何であるかを理解していない企業の方が多く感じられます。

資本主義経済下にある企業がすべき社会貢献とはすなわち、「雇用の創造」と「富の再分配」であると断言できます。
どういうことかというと、企業は人を雇って働かせるだけでなく被雇用者の労働によって形成された財産を被雇用者に分配して、被雇用者の生活を維持し財産を社会経済に還流させることが社会から企業に与えられた役目なのです。

しかし、実際にはリストラと称しての正規雇用者の大量解雇や非正規雇用者の利用による人件費カットを推進する企業や出資者が多く、企業理念を守り切れていないものと断言せざるを得ないのが現状なのです。

「社会貢献」のもう一つの意味

そして社会貢献にはもう一つの意味があります。それは社会への貢献を謳う以上、法令違反などの反社会的行為を行わないといういわゆるコンプライアンス(法令遵守)の徹底です。
この反社会的行為には一般的な犯罪だけでなく、反社会的行為を行う反社会勢力への利益供与、法律的には問題がなくても社会通念上許されないような雇用問題なども含まれます。

しかし、資本主義を拝金主義と履き違えて反社会勢力と結びついて私腹を肥やす経営陣や、一族経営の果てに法律違反を重ねる会社などは後を絶ちません。
正しい意味で社会貢献が出来ていない会社は必ず足をすくわれて、経済市場から総スカンを食らうことになるのです。

「愛」を説く企業理念は薄っぺらい

個人的に企業理念の中で「愛」という言葉を使う企業は、信用できないというか信用したくない気持ちになります。
なぜかというと、「愛」というものの本質にはエゴイスティックな情念が含まれているからです。

古代ギリシアでは愛を、アガペー(無償の愛)・エロース(性愛)・フィリア(隣人愛)・ストルゲー(家族愛)の四つに分けて説いています。このうち、企業が企業理念の中で説いているつもりなのがアガペーなのですが、アガペーは「見返りを求めないが故に無償である」と考えられています。

つまり愛は口にした時点で、暗黙の内に相手に見返りを求めることになるためアガペーではなくなり、「私がこんなにあなたを愛しているのだからあなたも同じくらい愛してくれるよね?」という意味合いが出てくるのです。
だからこそ「愛」は理念の中で説くべきではないといえます。

横文字多用は理解を遠ざける

さまざまな会社の企業理念を見ていくと「ソリューション」「フィデューシャリー」「ブランドステートメント」というように横文字が次から次に飛び出してきますが、何を言いたいのかが全く理解できないことがあります。
横文字を使うことは別段悪いことではないのですが、日本語で十分通じるところを横文字に置き換えて多用すると読む人がとたんに理解しにくくなります。

なぜ日本語で表現せずに横文字を多用したがるのかというと、「頭が良さそうに見える」とか「世間の動きにアンテナを張っていることをアピールしている」といった考えがあるからです。
要するに、「この企業を引っ張っていく経営者はこんなにすごいんですよ」というのを迂遠に言っているだけなのです。

企業理念はマニフェストである

企業理念を政治家・政党のマニフェストのようなもので、どのような理念を持っているかを雄弁に広く知らしめるものです。

しかし「マニフェストなら別に守る必要はないから、大げさに言ってしまおう」というわけにはいきません。
政治も企業も信用が第一の商売で、公表した理念がまるっきり嘘だったらどうなるでしょうか。少なくとも信用はガタ落ちで投票したり仕事を依頼したりしようとは思わなくなります。

掲げた企業理念を守ることのできない会社は、必ず市場原則によって淘汰されます。市場で生き残るための信用を目減りさせる真似を自分からしているのだからそれは仕方のないことなのです。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。