歯磨きしても歯が溶ける?!子供の歯を奪う【酸蝕歯】の疑問|トピックスファロー

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2012年12月4日
歯磨きしても歯が溶ける?!子供の歯を奪う【酸蝕歯】の疑問

酸蝕歯とは、歯が食べ物の酸によって溶かされている状態の事です。酸蝕歯は歯磨きでは防ぐことはできません。場合によっては悪化させてしまう事もあります。虫歯、歯周病と並ぶ口内トラブルの一つ『酸蝕歯』について紹介しまう。

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歯を溶かす『酸蝕歯』とは

酸蝕歯とは、飲物等の酸によって歯のエナメル質や象牙質や侵食され、溶かされている歯の事。
歯が溶けている状態の事を『酸蝕症』、もしくは『侵蝕症』とも呼びます。

虫歯と酸蝕歯の違い

どちらも歯が溶ける事に違いはなく、一見すると同じように見えますが、両者は分けて考えないと予防は難しいでしょう。

原因が違う

虫歯は、『細菌が増殖し、その細菌が出す酸によって歯が溶かされいている状態(う蝕)』。
対して酸蝕歯は、『口に入れた酸性の飲食物により、直接、歯が溶かされている状態(脱灰)』。
一言でいうと、歯が溶ける原因が細菌か、それ以外かで分ける事ができます。

好発部位が違う

好発部位とは、症状が起きやすい場所の事です。
虫歯の場合は、歯垢が残りやすい歯と歯の間や、歯と歯茎の境目(歯周病ポケット)が虫歯になりやすい。
しかし、酸蝕歯の場合は、酸が触れた場所全てが酸蝕歯になる可能性がある為、好発部位は口の中全部となります。

酸蝕歯は分かり難い

酸蝕歯は、歯全体を均等に溶かしていきます。また虫歯のように変色する事もありません。
その為、象牙質まで酸蝕され、神経に触れるようになって初めて自覚するというケースも少なくありません。

酸蝕歯になる原因

酸蝕歯の原因は、『口の中が酸性になる』事です。

酸蝕歯になりやすい食べ物

酸蝕歯になりやすいかどうかは、その食べ物の酸性度で決まります。

酸性度はpH(ペーハー)であらわされ中性がpH7。それより数値が大きいとアルカリ性。逆に数値が小さくなると酸性になります。
歯のエナメル質が溶け始めるのは、pH5.5~5.7の辺りから。
数値が小さければ小さいほど酸性が強く、酸蝕しやすいという事になります。

「レモン」pH2.1

レモン 酸蝕しやすい食べ物

酸性度が高いものとして思い浮かべるのが『レモン』。
これは、数ある食べ物の中でも、トップクラスの酸性度となっています。
レモンの酸っぱさの元は、クエン酸であり、疲労回復などの健康に良いと言われていますが、取り過ぎには注意が必要になります。

また、一部で『レモンがホワイトニングに効果がある』と言われています。
これは、歯の黄ばみの原因であるステインが、表面のエナメル質ごと溶けているために白く見えるだけであり、歯の健康を考えると大変に危険な行為です。
そのまま続けていると、エナメル質を溶かしつくし、下の象牙質が透けてくるので逆に黄色く見えるでしょう。
また、象牙質はpH6.4と、エナメル質より溶けやすい為、酸蝕歯はさらに加速していきます。

「グレープフルーツ」pH3.2

健康に効果が高いと言われるグレープフルーツ。朝食でそのまま食べたり、ジュースにして飲むことも多いと思います。
確かに健康への効果は期待できますが、酸性度が高いので、その食べ方には注意が必要です。

「オレンジジュース」pH2.8

人気の高いオレンジジュースも、pH2.8とかなり高め。
また、アップルジュースもpH2.9と、グレープフルーツ以上に酸性度が高い飲物です。

「スポーツドリンク」pH3.5

黒酢ドリンクですら、pH3.1という事を考えると、大変に高い数値と言えるでしょう。
スポーツドリンクには疲労回復効果の為にクエン酸が含まれており、これが酸性度を高める原因になっています。
また、クエン酸の酸っぱさを和らげるために多くの砂糖が使われています。
砂糖が多いという事は、それだけ虫歯になる可能性も上がるという事です。

「コーラ」pH2.2

昔から、虫歯の代名詞のように言われてきたコーラ。
実際には、pH2.2とレモンに匹敵するほど高い酸性度という事が分かりました。
また、多くの砂糖が使用させていますので、虫歯リスクも高まります。

酸蝕歯になりやすい食べ方

上記に上げた物を、『酸蝕歯になるから食べてはいけない』と言っている訳ではありません。
中には子供の発育に欠かせない栄養素を持っている物も多いので、食べない方が危険な場合もあります。

問題とするのは、その食べ方にあります。
歯が酸に触れてから溶け始めるまでに、時間がかかります。
つまり、口の中が酸性になっても、歯が溶ける前に中性に戻すことが重要になります。

 チェック1  長時間飲み食いする

食事で酸性になった口は、唾液によって中性になります。
しかし長時間の食事、あるいはスポーツドリンクなどをちびちびと飲み続けていると、いくら唾液を出しても中性には戻りません。

 チェック2  食事のすぐ後に歯磨きをしている

食事の後、酸性になったエナメル質は溶け出さないまでも、柔らかくなっています。
その状態で歯磨きをすると、柔らかいエナメル質を削り取る事になってしまいます。

 チェック3  寝る前に哺乳瓶でジュースを飲ませる

まだうまくジュースを飲めない子供に哺乳瓶でジュースを飲ませる事もあるかと思います。
しかし、上あごに押し付けるように飲む哺乳瓶は、酸性の液体が直接前歯の裏に当るので、その部分が酸蝕歯になりやすくなります。
また、寝ると唾液の分泌が減りますので、一晩中、口の中が酸性になったままという事にもなりかねません。

酸蝕歯の予防法

酸蝕歯と虫歯は似ているため、歯科医の診断を受けるのが確実です。
そのうえで、家庭でもできる予防法はとしては、以下の方法が考えられます。

口の中をゆすぐ

コーラなど、酸性の強いものを飲んだ後、口を『水』でゆすいでください。
これだけで、口内のpHは中性によりますので、酸蝕歯が起こりにくくなります。

おやつは決まった時間に食べさせる

だらだらと長く食べるのはよくありません。きちっと決まった時間に食べさせるようにしましょう。
しかし早食いが良いという訳ではありません。

また、早く食べ終わるようにと、柔らかい物を与え過ぎるのも考え物です。
柔らかいものは歯にくっつきやすく、無視だの原因ともなり、また顎の成長にも関わってきます。

哺乳瓶はやめる

哺乳瓶を使い続ける子供には、前歯が虫歯になったり酸蝕歯になるケースが多いことが分かっています。
早めにコップで飲ませるか、もしくはストローで飲めるようにしてあげた方がいいでしょう。
乳歯でも前歯を失うと、その後の永久歯が曲がって生えてくる危険もあります。

ジュースはほどほどに

糖分と酸性度の高いジュースを毎回飲ませるのもよくありません。虫歯や酸蝕歯のリスクもあがります。
また、糖分の取り過ぎは喉が渇くため、ジュースを飲んでも、またすぐに飲みたくなり、夜中に何度も起きてはぐずる事を繰り返すという事もあります。

すぐに切り替えられない場合は、徐々に水で薄めていくと、美味しくないので飲まなくなります。
それと並行して、お茶を飲ませるようにした方がいいでしょう。

子供の歯を守るのは親の役目

子供の歯は、大人に比べ柔らかく、酸蝕しやすいのが特徴です。
自分でコントロールできない子供の歯を守るのは親しかいません。

また、酸蝕歯は大人にも起こります。
気になる点があるのでしたら、子供と一緒に改善していきましょう。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。