一度食べたらやみつき?!高級和食=ふぐ料理
昔から中毒による身の危険を承知の上で人々を魅了してきた高級魚ふぐ。
地方によって呼び名が違うことも多いのですが、独特の呼び名には“毒にあたれば死”というニュアンスを含んでいるとされています。 その中には“棺桶”を準備してでも食べるべきという意味の方言がもとになったとされる呼び名もあるほど。
ふぐ料理は高級和食料理として知られ、大皿の色や柄が透けて見える程薄く切られた“フグ刺し”や淡白なフグ刺しからは想像できない魅力があるともされるふぐちり鍋などが知られています。 一番高級でおいしいと言われているのは“トラフグ”ですが、数百種の種類のふぐの中で、食べられる種類はわずかに20種類程度なのだそうです。
ふぐ調理師の資格は高級料亭の板前なら持っておくべき
ふぐ調理師はその名の通り、猛毒を持つふぐを捌いたり、調理するための資格。 ふぐを取り扱う店では“ふぐ調理師”を置くことが通常義務付けられています。 また、基本的に有資格者以外がふぐの調理業務を行うと罰せられます。
しかし、都道府県の条例によってはふぐ調理師の指導や監視下であれば免許がなくともふぐの調理業務を行うことができる場合があるだけでなく、免許・資格取得やフグの取扱いの届出に関しても違う事が多くあり、中にはフグの取扱そのものの条例が無いため、簡単にふぐの調理を行えてしまう県もあるほどなのです。
ふぐ調理師免許は都道府県ごとの条例で違う?
ふぐ調理師免許は都道府県が個別に管理していることから資格試験の難易度や受験資格など内容に大きな違いが見られます。
それは試験がなく講習だけで済むケース、講習・筆記・実技とシッカリとした知識や技術を確認してパスするケース等地方によって実に様々。
また特定の定めがない限り、資格を取得した都道府県以外では無効となります。 ふぐ調理師の免許は都道府県が違えば調理師免許を使えないと考えておいたほうが良いでしょう。
超危険なフグの有毒部分を完璧に除去する調理師であること
ふぐの毒の強さは種類や部位によってちがいますが、ふぐの猛毒による中毒は他の食中毒に比べると致死率も高く扱いは非常に難しい魚です。
主なふぐ毒として猛毒のテトロドトキシンが知られていますが、テトロドトキシンは神経毒の一種で、ほんのわずかな量でも急激な筋肉の麻痺や呼吸困難などの症状を引き起こし、死に至る危険性も非常に高い成分です。
ふぐの毒については、まだ全てがわかっていないため血清や解毒剤は開発されていません。 ふぐの毒により中毒となってしまった場合、毒が体から排出され呼吸困難等が回復されるまで人工呼吸器で呼吸をつなぐのが唯一の対処法とされています。
しかし、都道府県によってふぐ調理師免許制度の内容や資格の名称、受験資格、試験の難易度など大きな違いがあり、免許・資格制度を実施しているのは全都道府県のうち約半分だそうです。
ふぐは非常に危険な成分を含む魚であり、現在までにフグの毒による数多くの中毒事故が発生し、死亡例が多いにも関わらず、資格試験だけではなく届出等の規定が定められていない県も存在するなど全国で統一されていない免許制度を危険視する声が多くあがっています。
つまり、危険度の非常に高い猛毒成分を持つふぐの取り扱いに関しては例え条例で厳しい定めが無いことに乗じて楽観視するべきものでは決してありません。 十分な知識や技術が伴わないことが、重大な中毒事故が起こる一番の要因であるのです。
ふぐの年間取扱量が多かったりふぐ料理の店も多くある都道府県では、ふぐ調理師免許の難易度や取得の条件など厳しい傾向にあると言います。 ふぐ調理師の免許資格の規定が曖昧である現在は、もしふぐ料理の店舗を構える県でふぐ調理師などにかかわる条例が無い場合などは規定の厳しい都道府県に合わせ率先して知識・技術習得を目指すなどの対策をするべきなのかもしれません。