売上安定のためのリピーター獲得術
消費者相手の客商売をする企業にとって、定期的に来店・買い物をするリピーターは大事なお客様であるといえます。宣伝をしなくても向こうからやってきて何か買い物をしていってくれるのだから、経費節約効果と売り上げアップ効果を併せ持っているといえます。
しかし、どんな商売にもリピーターはつくものですが、必ずしもすべての客がリピーターになってくれるというわけではないのが難しいところです。
どのようなポイントに気を付けた経営をすればリピーターを増やせるのでしょうか?
「お客様全て」のマス・マーケティングから脱却する
客商売の基本は全てのお客様に同品質のサービスを提供するマス(大衆)・マーケティングですが、客である消費者側からすればマス・マーケティング式の接客は不十分さを感じる物です。
どういうことかというと、購入金額の多寡に関わらず「これだけ買い物をするのだから自分をもっと優遇するべき」という気持ちを消費者は大なり小なり抱いていて、特別扱いされないマス・マーケティング式接客には不満を感じているのです。
マス・マーケティングは顧客が成熟していない市場では有効に働く経営戦略といえましたが、顧客が成熟しきった市場では逆効果に働きやすくなるのです。
顧客一人一人に合わせたワン・トゥ・ワン・マーケティングへ
商売において特別感を持たせることは売り上げアップにつながる有効なテクニックの一つです。たとえば生産数を絞るとか、有名人を起用してブランドイメージをアップさせるというように、ありふれた商品でもちょっとの工夫で従来品に見向きもしなかった人が飛びつくものです。
それと同じように、接客サービスにも特別感を出す工夫をすることでリピーターを増やすことが可能です。そのためには、全ての客に均一化した接客サービスを提供するマス・マーケティングからワン・トゥ・ワン(1対1)・マーケティングへ移行することが欠かせません。
顧客の中には、店員がぴったり張り付いて1から10まで手に手を取り合ってもらわなければ買い物が進まない人も居れば、店員が話しかけてくることさえ不快に思う人もいるものです。
そういった顧客ごとに異なる嗜好に合わせた接客とサービスをきめ細かく提供することがワン・トゥ・ワン・マーケティングの肝なのです。
客の顔と名前を一致させて覚えるのは基本
ワン・トゥ・ワン・マーケティングを導入するにあたって大事なのは、「顧客一人一人の顔と名前を一致させて覚える」ということです。
例えば荷物を抱えた店員を従えて店内を練り歩くのが好きな顧客Aと清算時以外は店員に干渉されたくない顧客Bが居たとします。それぞれに合わせた接客サービスを用意していて、顧客AにB用の、顧客BにA用の接客サービスを提供したら二人はどのような気持ちを店に抱くことになるかは説明するまでもありません。
これはいささか極端な例ですが、毎日のように店に訪れる客の顔と名前を一致させて覚えて店員間で情報を共有してサービスの向上につなげるのがリピーター獲得に繋がります。
ポイントカード・スタンプカードは再来店を促す最強のツール
客が一度でも訪れたことのある店を再来店する理由には「接客が気持ちよかった」「品揃えが良い」「安い」など様々にありますが、「貯まったポイント・スタンプがもったいない」ということも再来店の理由として大きい物といえます。
買い物金額や来店数に応じて蓄積され、数に応じて割引・キャッシュバックなどのサービスを受けられるポイント・スタンプを導入することは、売り上げアップに効果がありますが店に費用負担を強いることにもなってしまいます。
しかし、リピーターを作るという意味ではこの上なく頼りになるツールであると言っていいでしょう。
ポイントカード・スタンプカードを作った客は、ポイント・スタンプが有効になる一定数が貯まるまで再来店と買い物を繰り返してくれるので、リピーターになる可能性がグンと上がります。
安さに釣られてやってくる客はリピーターとは言えない
集客率アップのために利益をギリギリまで削った安売りセールを開くことは経営戦略として有効な手立てであるといえますが、リピーターを獲得する上では下策になりやすいと言わざるを得ません。
なぜなら、彼らは安さに釣られているだけで店や企業に対して何の思い入れも持っていないからです。
安売りは劇的な集客力を発揮する手段ですが集まった客全てに合わせた、きめ細かいサービスを提供することが難しくなってしまいます。
それに、安売りの時だけに来る客は一度の買い物金額が大きくても利益が低いし、安売りをしていない時には来店しないので、リピーターとして勘定するにはやや不足が目立つのです。
顧客満足度を高めるにはまず従業員から
リピーターを増やすためには店・会社への顧客満足度を高めることが欠かせません。そのためには、従業員教育を徹底して行うことが大事です。
この場合の従業員教育とは、接客態度やマナーだけを言うのではなく、店・企業への愛着心を高め「自分が客の立場だったら何度でも利用したい」と思えるような雰囲気とサービスを考えさせることも含んでいます。
「己の欲せざるところは人に施すなかれ」というように、自分が不満や不快感を抱くクオリティのサービスを他人に提供しても満足してもらえるわけがありません。自分自身がサービスを受ける立場になった時に満足できるクオリティのサービスを顧客に提供出来て初めて満足してもらえるのです。
そして、「満足できるクオリティ」を実現するためには従業員自身が自ら考え、身をもって体験することが重要になのです。