「個人再生」とは?民事再生法に基づく個人債務の整理方法|トピックスファロー

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2012年6月21日
「個人再生」とは?民事再生法に基づく個人債務の整理方法

民事再生法は法人だけでなく個人にも適用されます。個人の民事再生を利用することで借金が大幅に減額され、自己破産のように財産を手放したり、職業の資格制限されることなしに借金地獄からの再生を図ることができます。個人再生のメリットやデメリット、利用条件などを確認してみましょう。

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個人の再生を図る「個人民事再生」

債務整理としてよく話題になるものとして「自己破産」や「過払い金返還請求」などがありますが、自分の債務返済能力を超える債務を整理する方法として個人民事再生というものもあります。

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大きな債務を整理する方法で有名なのは、株式会社の再建を目的とする「会社更生法」や、主に中小企業の再生に用いられる「民事再生法」などの法人に対する制度が多くあり、ニュースなどでよく耳にします。

しかし、「民事再生法」は2001年に改正され、個人にも民事再生が適用されるようになりました。 これは債務の返済が困難な債務者を『破産者』にせずに、再生させる仕組みといえます。

この仕組みを個人民事再生個人再生と呼び、自己破産や任意整理とは違う個人債務の整理方法として知られています。

個人再生とは?

個人再生は、 『債務者が「再生計画案」を作成し、裁判所に再生計画(返済計画)が認可されれば大幅に減額された借金を三年間で分割返済していくことができる』 という制度です。 これによって借金で生活がままならなくなった債務者が自己破産に追い込まれることを防ぎ、借金地獄から抜け出して再生する道が与えられるのです。

Business man and frightened about paying a lot of Debt

個人再生を受けるためにはいくつかの条件があり、それを満たさないと民事再生が適用されません。

個人民事再生の条件

  • 債務が返済不能となる恐れがあること
  • 借金の総額が五千万円以下であること
  • 将来も継続的に安定した収入が見込めること

これらを満たして初めて個人再生の手続を行うことができます。 つまり、経済的な再生可能性を示すことで債務の圧縮を行う仕組みです。

個人再生の特徴と方法

個人再生は自己破産とは大きく違う性質の債務整理方法で、そのメリット・デメリットは以下のようになっています。

個人再生のメリット

  • 住宅ローン以外の借金を大幅に減額できる(5分の1程度)
  • 自己破産のデメリット(財産処分・資格制限)がない
  • 借金の原因は問われない
  • 過払い請求を行う任意整理よりも減額幅が大きい

個人再生のデメリット

  • 自己破産のように全額免除ではない
  • 三年間で返済する
  • 信用情報機関に登録されるため新たな借金やローンが5~7年程度できなくなる
  • 手続が複雑で6ヶ月程の長期間かかってしまう

メリットとデメリットをまとめると、自己破産のように債務が全て免責されるわけではないものの、三年間で借金総額の20%程度を分割返済できれば財産を失わずに債務整理を行うことができるということになります。

ただし、この仕組みは清算価値保障という原則を前提にされていて、土地や家などの財産を手放さなくて良い代わりに所有している財産の価値分は必ず支払わなければなりません。

つまり個人再生は、

  • 全額の返済は難しいが少しずつでも借金を返していくことができそうな場合
  • 「処分されたくない財産がある」「職業が続けられなくなって困る」など自己破産のデメリットが大きい場合

に効果的な債務整理方法といえます。

個人再生には二種類ある

個人民事再生には小規模個人再生と給与所得者等再生があり、それぞれ以下の特徴があります。

小規模個人再生

  • 減額の制限
    最低弁済額(※)か保有財産の合計金額(清算価値)のどちらか多いほうを返済する
  • 再生計画の許可要件 債権者の半数以上の反対がなく、反対した債権者の債権額が全債権額の半分を超えないこと

給与所得者等再生

  • 減額の制限
    最低弁済額・保有財産の合計金額・可処分所得(所得税と生活費以外の所得二年分。生活費は生活保護費が基準)の中で最も多いものを返済する
  • 再生計画の許可要件
    なし

一般的に可処分所得の返済が最大になりやすい給与所得者等再生において返済額が多くなり、小規模個人再生で債権者が反対することはあまりないため、小規模個人再生で手続されることが多くなっています。

実際に、2010年度の司法統計情報では小規模個人再生の手続は18,801件で、給与所得者等再生は1,564件となっています。

※最低弁済額とは最低限支払わなくてはならない金額のことで、基本的には借金の5分の1の金額ですが、借金の総額によって以下のように対応しています。

最低弁済額の対応表
借金の総額 最低弁済額
100万円未満 圧縮されない
100~500万円 100万円
500~1500万円 5分の1まで
1500~3000万円 300万円
3000~5000万円 10分の1まで

個人再生はプロの法律家に相談を

ここでは自己破産や任意整理とはまた違った債務整理方法の「個人民事再生」を簡単に紹介してきました。個人に対する民事再生は、全額免除とはならないものの「財産を失わずに、大幅に減額された借金を三年間で少しずつ返済していく」という人生の再生につながっていけそうな債務整理方法です。

これは、自己破産を行う前に一度検討しておきたい手段ですね。

個人民事再生の手続は非常に複雑で手間がかかるため、弁護士に依頼するのが一般的です。 法律事務所のホームページで料金や手続の流れを確認してみると良いでしょう。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。