経営ビジョン(PLAN)を明確に示す
経営者の経営ビジョンが従業員にとっての道標となるため、経営者は出来るだけ具体的な経営ビジョンを持たなければなりません。
自分自身にとってはクリアであっても、それがしっかりと従業員にも伝わっているかを確認する必要があります。
事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法である「PDCAサイクル」は「P」、つまり「Plan」から始まります。
「P」の段取りの善し悪しが、引いてはPDCA全体の成果を規定するため、経営者はこの点を強く認識し、「P」の段取りに全力を挙げて取り組まなければなりません。
成果を出せる経営者は、どうすれば目標を達成できるかの計算力を発揮し、この「P」の段取りをリードしています。
たとえば展開すべき施策を検討し、それぞれの施策に経営資源をいかに配分すれば目標を達成できるのか。この点について幾通りものシミュレーションを行い、その中からベストの方法を選択します。
従業員が働きやすい環境を作り提供する
従業員が仕事をする上で働きやすい環境になっているかどうか。
従業員の立場になって考えてみると、会社の環境が思った以上に仕事をしにくいことに気づかされる事もあります。
知識が必要ならば知識、道具が必要ならば道具、体験が必要ならば体験など、必要とされるナレッジやツール、設備を始め、ガイドライン、上司からの明確な指示と理解、そしてクリエイティブな発想が可能な環境作りをすることが経営者の役割です。
頻繁に密にコミュニケーションを取る
コミュニケーションはリーダーシップの基本です。
会議、電話、メール、チャットなど、様々な方法を活用して従業員の気持ちを理解し、何か不都合があれば即座に対応すべきです。
また、従業員がいつでも経営者に気軽に話しかけやすい環境、上司に相談しやすい環境を作るのも重要です。
頻繁に従業員とコミュニケーションを取る事で、会社の目指す方向性や経営者の従業員に対する期待など、ざっくばらんに話し合う事も出来ます。
PDCAサイクルの「P」の段取りが終わると、次は「D」、つまり「DO」の展開です。「D」においてリーダーに課せられた役割は、組織の持てる力を最大限引き出し、目標を達成することです。
従業員に会社の成長への貢献を実感させる
会社に対してのつながりをあまり感じていない従業員からは、高いパフォーマンスを期待する事は出来ません。
従業員が事業の企画から意思決定までの各プロセスにおいて、十分貢献できる環境を作り、会社の成功に対して貢献している事を感じられる職場作りを行うことが重要です。
それにより、各従業員が自分の任されている仕事が会社の成長に影響する事を意識できるようになり、単純な雑用作業でも、仕事のクオリティー次第で業績に影響する事に気づいてもらえます。
強い組織をつくるには、メンバーひとりひとりが会社や仕事に対して満足感を覚え、ひとりひとりが目標達成に向けて互いに健全な競争意識を燃やしていることが必要です。
臨床心理学者のハーツバーグは動機付け理論で、「人々を真に動機づけるためには、仕事への達成感を味わい、自らの成長が実感できる(=動機付け要因)ように働きかけなければならない」と唱えました。
感謝の気持ちを伝え、優しくフォローする
日常的に従業員に感謝の気持ちを伝える事も重要です。
従業員が正しい事をしているのを見かけたのであれば即座に褒め、困っている事があれば助けを差し伸べる。人間として当然のような事を、当然の事としてオフィス内でも実践するのです。
目標達成過程において成果が出たら誉めます。誉めることによって、従業員は自分が持っている資産(アドバンテージ)を確認でき、モチベーションが沸いてきます。
成果が上がったら、栄誉を表彰します。表彰され大勢の前で讃えられることで、従業員の自信となり、そこで生まれた自信がまた新たな成果へとつながります。
また、これまでのトップダウン型のリーダーシップや、ジャック・ウェルチ、スティーブ・ジョブズなどに象徴されるカリスマ型のリーダーシップが成果を出してきた時代を経て、現在成果を残している組織にみられるリーダーシップのタイプが、「支援型リーダーシップ」です。
支援型リーダーシップとは、組織目標の達成に向けて従業員が主体となることを支援するリーダーシップのことです。
伴走することで成功に導く
誰もが成功を望んでいる中で、多くの従業員が成功へのアドバイスを欲しています。仕事内容に目を向け、より良い結果を導きだす為のフィードバックを与え、結果を出す為のコツを教えます。
部下と一緒に伴走するのです。
常に行動を把握し、現在立てた計画のどこの位置にいるのか、悩んでいるなら何が障害になっているのかを確認し、適切なアドバイスをします。
期待している事を伝える
上司から期待されていれば、従業員のパフォーマンスは自ずと向上するものです。
逆にどんなに分かりやすい指示、ゴール設定をしても、仕事内容に対して期待している事が伝わらなければ、良い結果を望むのは難しいでしょう。
従業員の仕事内容を尊重し、部下を信頼して任せることで、従業員からの信頼も得られます。ときに、ストレス(叱咤激励)を与えることが必要な場面もあるかもしれません。
たとえば、期日までに間に合うかの確認や、怠慢な勤務態度への注意などです。
失敗や過ちを素直に認める
経営者や上司となると、立場上失敗や過ちを素直に認めることが困難に感じる時もあります。
しかし、従業員や部下に対して、自分のミスをしっかりと認め、謝罪する事により、より一層の信頼関係を構築する事が出来るでしょう。
日本における「いい会社」の代表格として、伊那食品工業、未来工業、ネッツトヨタ南国といった企業が挙げられますが、これらの「いい会社」を率いる経営者には、「ある特徴」があります。
それが、「非常に謙虚で自然体、威張っている人がいない」ということです。
これは、世界でビジネス書のバイブルとされる『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』のなかで、著者のジェームズ・C・コリンズが述べている「第5水準のリーダーシップ」と重なるところがあります。
コリンズが提唱する有名な「第5水準のリーダーシップ」は、個人としての謙虚さ(Humility)と、職業人としての意志の強さ(Ambition=野心、志、成功願望)の両面を必要とするものだとしています。
リーダーの手腕次第
会社の組織文化を決めるのは経営者やリーダーです。
そして、その文化次第では会社の経営状況が良くもなり悪くなり、また、優秀な才能を活かすことも殺すこともあります。
リーダーシップによって従業員の士気をアップさせる事さえ出来れば、いかなる困難も乗り越えられる、そんな雰囲気を組織内に作り出すことが出来るはずです。全ては経営者、リーダーの手腕次第なのです。