返済滞納が長引けば起こる差し押さえ
借金は自分で返済できる範囲でする分には問題ないのですが、人によっては「自分で返済できる範囲」を過信しすぎたり、見誤ったりしてしまうことで収入を上回る債務超過に陥ってしまうことがあります。
債務超過に陥ってしまうとどんなに返済しても全額返済には長い時間が掛かってしまうし、返済で家計が圧迫されるのは自明の理というもの。
その為返済できなくなった途端に、債務整理も行わず返済義務を自主放棄する債務者も少なくありません。
返済が滞ったままだと、さすがに債権者も鬼にならざるを得ません。返済滞納や債務超過による返済不能が発生した際に行われる差し押さえとはどのようなものなのでしょうか?
法的に認められた債権に対して行われる強制執行
俗に「差し押さえ」と呼ばれる強制執行は、法律に基づいて認められた債権を裁判所が債権者の代わりに債務者の財産等を差し押さえて、債権回収を行うものです。
強制執行が行える条件がそろっていれば、債務者が「無い袖は振れない、返せないものは返せない」と開き直っていても債務者の意志とは無関係に財産や給料、銀行口座の差し押さえが行われます。
差し押さえられる給与・財産の範囲
映画やドラマなどで登場人物が差し押さえを受けると、それこそ赤貧を洗うがごとき生活に陥り食事もままならないように描かれますが、現代の差し押さえはそこまで酷くはありません。
強制執行で差し押さえられる給与の額は、所得税・住民税・健康保険料を天引きした額の4分の1までとされています。
残りの4分の3は家賃・光熱費・食費等として債務者の生活を保障するものとされるので債権者であっても手を付けられないのです。
一方、給与以外の財産は土地・家などの不動産、車・家具やゲームソフト・おもちゃ・本などの動産が対象となります。
これらの差し押さえられた動産・不動産は競売に掛けられて利益が債権者に支払われますが、不動産類を競売に掛けるには手続きに時間が掛かるのが難点です。
強制執行による差し押さえを行う条件とは?
強制執行による差し押さえは、債権者にとってまさに切り札と言える存在です。しかし、法律の元に行われる以上は発動できる条件はある程度厳しい物にしておかなければならないものです。
そのため、強制執行による差し押さえを実行するためには「民事訴訟を起こし債務履行を債務者に求める」か「借用書を貸し付けの段階から公正証書として作成し、返済滞納が続いた時に強制執行を行うという一文を付記しておく」ことが条件となります。
民事訴訟からの強制執行は、裁判に時間が掛かること、裁判所側から和解を申し付けられる可能性があることなど、債権者側にとって都合のよくない方法になりがちです。
一方、公正証書の場合は手続きが複雑になるため貸金業者などではあまり好まれません。
差し押さえをどうにか防ぐ方法はないの??
強制執行による差し押さえは裁判所によって行われる為、裁判所が許可した時点で防ぐ術はないと言っても過言ではないでしょう。
では、どのようにして差し押さえを防げばいいかというと「身の丈以上の借金をしない」ということに尽きます。
強制執行が入るということは、借金に対しての意識が低く「返済しなくてもいい」という気持ちのまま借金を重ねてきた結果と言えます。
自分の収入と毎月の生活費を鑑みて、毎月の返済額が幾らまでなら無理なく返せるかを考えて借金していくようにしなければならないのです。