『抵当権』は無視できない言葉
住宅ローンを組む時に時折耳にする『抵当権』という言葉。あまり聞きなれないワードです。
なんとなくのイメージしかないため、商談中に出ていたとしても割とスルーしてしまいがちです。
家に帰って辞書を引いたり、六法全書を調べることはしないと思います。
しかし、この『抵当権』という言葉は、無視できないものです。
ローンを組む人は知っておかないといけない言葉なのです。
特に返済が滞ってしまった時は債務者に重くのしかかる言葉となります。
よく意味を知ってローンのプランに取り組むと良いでしょう。
『抵当権』は確実に債務回収をするための権利
『抵当権』とは一体どう意味なのでしょうか?
ローンを組むという事は、金融機関からお金を借りるという事です。
借りた側は債務者となり、毎月決まった額を返済しなくてはなりません。
貸した側は債権者となるので、毎月確実に返済されるか心配になります。
特に今は不況の波が押し寄せる時代です。『債務者がリストラにあい返済不可能になった。』あるいは『減俸になりボーナス返済が無理になった。』という言葉は耳にしたくないですし、どうしても避けたいです。
そうなってしまった時、金融機関はどこから貸した分の金額を回収すれば良いのでしょうか? そういう時に用いられるのが『抵当権』です。 金融機関は、債務者の住宅を売却してその代金を債務の返済に充てる事ができる権利を持つ事ができます。(民法第369条の中にも制定されています。)
『抵当権』の持つ効力
実際に、ローンを組んだ後に返済が滞ってしまったとしましょう。
すぐに『抵当権』が効力を発揮することはありませんが、何ヶ月も返済を滞納し続けると金融機関は『抵当権』を行使しないといけなくなります。
ローンを組んだ時点で金融機関は債務者の購入対象に抵当権をつけます(書類の記入によって)。
債務者の返済が滞り未回収金が発生すると、金融機関は債務の回収を確実にするために『抵当権を実行』するための申請を裁判所にします。(急に抵当権を行使する事はありません。債務者には事前に督促状や抵当権を行使する旨を何らかの形で知らせてきます。)
『抵当権』が実行されてしまうと、債務者の家は『競売』か『任意売却』という方法で売りにだされます。 競売になると、裁判所が介入します。その際売りに出された住宅は入札という形になるので安く売られてしまいます。残債部分も割りと多く、引き続き債務者が返済していかなくてはなりません。
任意売却の場合は債務者と金融機関の同意のもとに行なわれますので裁判所の介入はありません。一般的な売値で売買されるため、残債部分も少なくなります。それでも債務者は残りの分を返済していかなくてはなりません。
どちらにしても『抵当権』がひとたび牙を剥いてしまえば、購入した家は手放すことになります。
《抵当権が実行され家を手放すまでの略図》
※こうなってしまうと債務者は購入物件を手放すことになる。また残債に関しても返済し続けないといけなくなる
『抵当権』は金融機関の最終手段
『抵当権』に対して恐怖心を抱いてしまうかもしれませんが、金融機関は決して乱用する事はありません。返済が滞り続け債務者からの回収が不可能と判断された時にのみ使うものです。
返済が滞ったその月に金融機関に連絡をするなら、返済しやすい方法を相談できます。まだ修復可能な早い時期に手を打っておくことが必要です。
長期間にわたり滞納をしたり、金融機関からの連絡を無視し続けると後々痛手を負うことになります。 あてのない将来に希望をおいて、何か月分かをまとめて払うとか思い込むのは危険な行為です。信用を失ってしまいます。
『抵当権』が発効されてしまうと、取り返しの事態になるという事を覚えておくと良いでしょう。