会社に止めを刺してしまうかもしれない経営ミスとは?
世間では、新しい事業に挑戦すること・既存の固定観念を打ち破ることが素晴らしい会社の条件のように言われている事がしばしばあります。そういった会社の経営者は「麒麟児」だの「風雲児」だのと持ち上げられますが、一人の風雲児的経営者の影には多くの経営に失敗した経営者がいるのです。
では、どのような原因によって会社経営に失敗してしまうのでしょうか?
従業員を増やしすぎる
会社や企業には『雇用を支え経済を円滑に回す』という役割を担うことを社会から求められているものです。つまり、人を雇って給料を支払うことで社会経済を盛り立てることが社会における会社の役割なのです。それに世間的な会社の規模も、雇い入れている従業員の数で決まっているものです。
だからといって闇雲に従業員を雇い入れるのは逆にマイナスになります。会社には適正な従業員の数というものがあり、それを越えると増大した人件費などの経費が会社の経営を圧迫し倒産の原因になってしまうことさえあるのです。
また従業員を増やすということは人件費の増大だけでなく、設備投資の面でも多大な負担を余儀なくされるものです。例えば現従業員50人全員が作業できる社屋を持つ会社に50人の新入社員が入ったなら、会社は直ちに100人が作業できる社屋に引っ越さなければならないし、50人分の机やパソコンを用意しなければなりません。このように、会社の許容量も考えて従業員の雇用を行わなければならないのです。
新分野開拓事業への着手
市場経済はパイの取り合いに例えられるように、限られたシェアを市場に参入している会社同士で奪い合う競争が続けられるものです。つまり、ライバル会社のシェアを奪えるような魅力がないとシェアはそれ以上伸びないし、ライバル会社に奪われるかもしれないということなのです。
その為シェア争奪戦に見切りをつけて新分野の開拓を進めようという会社・経営者も少なくありません。新分野への参入は上手くいけば増収が見込めますし、株価の高騰のきっかけにもなるからです。
しかし、必ずしも新分野への参入がプラスに働くというわけではありません。参入した分野で得られたシェアが小さく、初期投資を回収できるだけの利益を上げられない可能性もあります。また、新規事業は軌道に乗るまで数か月から数年かかることもあるため、十分な企業体力がない時に新分野に参入して倒れてしまう会社も少なくないのです。
熟練者のリストラ
日本は「技術立国」と謳われるほど高い技術力を持っていますが、世界的な技術である金属加工などは長年に渡って勘を磨き経験を積んできた熟練工によって成り立っているものです。その熟練工も若い頃は先輩から学び受け継ぐことで、技術を身に付けてきた経緯があるのです。
しかし、熟練の技術者は年功序列で人件費が高くなるのが難点と言えます。その為、社内リストラの際に熟練工が真っ先に解雇されていったことで日本全体の技術力の低下と技術流出を招いたことは記憶に新しい所です。
このように人件費削減だけを考えて熟練者をリストラすることは会社全体の技術力の低下だけでなく、リストラされた社員とその家族からの反感を買っての売上低下につながってしまいます。