リサイクルトナーのはじまり
1982年に世界で初めてキャノンが「カートリッジ交換方式」のコピー機を発売しました。
このトナーをカートリッジで交換するという方法は、高品質や小型化の実現や、メンテナンスが容易になったことで、世界中に広まっていきました。
1990年代に入り、資源の有効利用や廃棄物の削減を目的として、各メーカーが自社のトナーの回収と再利用をはじめました。
リサイクルトナーへの切り替えでコストダウン
リサイクルトナーは、新品のトナーに比べて30~60%ほど安く、場合によっては90%も安く購入することができます。
リサイクルの際に使用済みのカートリッジを効率的に使うことにより、価格の低下が実現したのです。
あるメーカーでは、回収されたトナーカートリッジの18%が再使用、67%が他の用途に再利用されています。
全体の85%以上がリユース・リサイクルに当てられているため、リサイクルトナーの価格はおのずと下がるのです。
また、残りの15%は焼却の際に発生する熱エネルギーを利用する「サーマルリサイクル」され、無駄のないリサイクルが行われています。
リサイクルトナーを使うなら純正品か汎用品か
回収されたカートリッジは、分解・洗浄後に部品の交換、トナーの充填、検査を経てリサイクルトナーとして出荷されます。
リサイクルトナーには大きく分けて、メーカーがリサイクルを行った「純正品」、メーカー以外の業者がリサイクルを行った「汎用品」があります。
純正品に比べ、汎用品の方が価格は安くお得感がありますが、汎用品は業者が独自に製造したトナーを充填しているため、純正品とのインク粒子の大きさの違いなどにより、不具合がおこる可能性があります。
メーカーによっては、汎用品の使用によってコピー機やプリンタが故障した際の保証が受けられない場合があるため、汎用品の導入には注意が必要です。
リサイクルトナーがエコな理由
カートリッジのリサイクルによる環境保護を提唱するメーカーが増えています。
トナーカートリッジのリサイクルによる部品や材料の再使用は、リサイクルを行わない場合に比べて、CO2の削減がのぞめます。
また、廃棄物が削減されることによって、大幅にゴミの埋め立て量が減少しました。
最近では、カートリッジの部品や材料を、リサイクルしやすく、環境にやさしい材料で生産することで、さらなる環境保護がすすめられています。
トナーカートリッジを使い終わったら
各メーカーは、独自に使用済みのカートリッジの回収を行っています。
家電量販店や郵便局の店頭に回収箱を設置して回収する形式や、保守・点検の際に回収する形式、専用箱を郵送や宅配便で送る形式などさまざまです。
また、カートリッジ回収を通じて、ベルマーク運動に参加している企業があります。
ベルマーク運動とは、PTAのボランティア活動などで作った資金で、学校運営に必要な設備や教材をそろえて、へき地・被災地・発展途上国などで学ぶ子どもたちに援助の手を差し伸べるという、誰でも気軽に参加できるボランティア活動です。
学校単位で使用済みのカートリッジをまとめて回収することで、ベルマークの点数が与えられます。