スワップポイント向き、トレード向き…それぞれの通貨の特徴を知ろう!
孫子の兵法に曰く「敵を知り己を知れば百戦危うからず」。相手を知りつくし、なおかつ自分を知り尽くしていればどんな戦いであっても危機に陥ることはないという意味です。
そして一度の判断ミスが破産に直結する危険性があるFXにおいて、もっとも意識していなければならない考え方でもあります。
FX取引における敵はさまざまですが、特に通貨ごとの特性は絶対に知っておかなければならない最低限の知識といえます。では、それぞれの通貨にはどのような違いがあるのでしょうか?FXで取引されているメジャーな通貨についてまとめてみました。
世界経済の中心・アメリカドル(米ドル)
サブプライム・リーマンショックと経済的信用の失墜を招く事件が連続したアメリカ。それでもなお依然として米ドルが世界的な信用を持つ通貨であることには変わりありません。しかしながら、景気の低迷は深刻なもので2008年12月からのゼロ金利政策によって、金利が0.25%となっており金利スワップによる利益は期待できません。
では米ドルの特徴は何かというと、「通貨のスタンダードであるという安定感」。これにつきます。アメリカの経済的信用が失墜している一方でなお、世界の経済市場を動かす共通通貨としての地位は健在なのです。
それに、超円高ドル安が続いている今なら円売りドル買いポジションを立ててドル売りからほかの通貨の買いポジションを立てるという手法も可能です。
FX初心者から上級者まで、間口が広い通貨であるといえます。
ギリシャ・スペインの財政危機でピンチ…ヨーロッパユーロ
1999年から導入された、欧州圏23か国の共通通貨であるユーロ。通貨利用範囲が大きく、米ドルに並ぶ第二の基軸通貨とも呼ばれています。
しかし、ユーロ参加国であるギリシャ、そしてスペインの財政危機によって米ドルと同じくユーロ安が進んでいます。また金利の方も財政危機の余波を受けてゼロ金利に、そして国債と同じようにマイナス金利を導入するのではないかという見方が強まっています。
つまり、通常なら売りポジションでスワップ金利がもらえるのが、逆にスワップ金利を払わなければならなくなる可能性があるということなのです。
少し前まではユーロも十分な勝ち目が見えていた通貨であったといえますが、ギリシャ・スペインの財政危機に脱出の見通しが立たない限り、手を出さない方が無難であるかと思われます。
政府の介入で価値を維持するスイスフラン
永世中立国として知られるスイスは、「アルプスの少女ハイジ」から牧歌的なイメージを持っている人も多いでしょうが、実際は世界でも屈指の強国です。特に経済面では顧客の守秘性がきわめて高いスイス銀行の存在が大きく、通貨であるスイスフランは「金よりも硬い」と言われ、米ドル・ユーロ・日本円などに次ぐ国際通貨としての地位を確立しています。
スイスフランの特徴は、「為替価値の維持のための政府介入」が頻繁にあることです。2011年9月に行われた介入では「1スイスフラン=1.20ユーロの水準以下は容認しない、外貨を無制限購入する用意がある」という声明を発表さえしています。
このことからもわかるように、スイスフランは独自基準による価値の維持が強いのが特徴です。金利については「ユーロ危機の影響から身を守る」ために、完全に0%になっています。
歴史ある国際通貨・イギリスポンド(英ポンド)
かつて世界屈指の強国として君臨していたイギリス。アメリカの発展によってその勢いは衰えていますが、EU加盟国ながらユーロから独立した通貨・ポンド(英ポンド)を使い続けていることからもわかるようにその威信には揺るぎはありません。
EXで取引される通貨としての英ポンドの特徴は、「相場の乱高下」ということにつきます。
英ポンドの乱高下の原因にはアイルランドの独立問題など地政学的な理由などが絡んでいるといわれていますが、そのふり幅はベテラン投資家でも読み切れないほど激しく動きます。
そのため、ハイリスク・ハイリターンな通貨であるといえます。
金利の高さが魅力のオーストラリアドル(豪ドル)
豊かな自然と南国の気風を併せ持ち、観光先としても人気が高いオーストラリア。オーストラリアの通貨であるオーストラリアドル(豪ドル)は、FXで人気のある通貨の一つです。
豪ドルの魅力は何と言っても高金利によるスワップ金利の高さにあります。現在、オーストラリアの金利は3.5%で日本の金利が0.1%なので差額3.4%の金利スワップが受け取れます。
最低取引単位である1万通貨だと10000×0.034=340円が毎日もらえる計算になります。1年間365日に換算すると340×365=124100円と結構バカにならない金額ですね。
豪ドルを上回る高金利通貨・南アフリカランド
アフリカ大陸の南端に位置し2010年のワールドカップ開催国となった南アフリカ共和国。
南アフリカ共和国の通貨であるランドは国際通貨ではないにも関わらずFXにおいて高い人気を誇っています。
その理由は2012年7月現在で5.00%という高金利にあります。2008年の時点だと12%だったのでずいぶんと低金利化してはいますがそれでも1万通貨で1日500円の金利スワップという、豪ドル以上のスワップ金利が発生するということは確かです。
しかし、南アフリカランドの価値は採掘されるダイヤモンド・金によって支えられているため、ダイヤモンド・金の市場価格が暴落すると影響を受けてしまうという特性があります。
「スワップ狙いでポジションを維持していたらいつの間にか相場が暴落して、損害で今までの金利スワップが吹き飛んでしまった」なんて話もあるので、取扱いが難しい通貨でもあるのです。