【組織力アップ】強いリーダーに頼らない「強い組織」の作り方|トピックスファロー

  • 署名記事をかけます!ライターの実績を積みたいならフォークラス
2012年6月20日
【組織力アップ】強いリーダーに頼らない「強い組織」の作り方

組織で良い結果を出すためには、メンバーのがんばりやリーダーの的確な指示だけでなく、組織の構造・体制も重要になってきます。急なトラブルにも対応でき、チーム全員の能力を最大限に引き出す組織のあり方・作り方を検証し、解説します。

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
  

リーダーの能力に依存するトップダウン方式

複数の要素が集まってひとつのまとまりができたとき、それをシステム(system)と呼びます。

システムには大きく分けると、リーダーが各メンバーに指示を与えるシステム、リーダーなしでメンバーがやるべきことを実行するシステムの2つがあり、前者をトップダウン方式、後者をボトムアップ方式といいます。

人間が作る組織では歴史的にもトップダウン方式のものが多く、権力の大きいリーダーがいて、組織を構成するメンバーはリーダーの言うとおりに働くということになります。
企業や団体など大勢のメンバーで構成される組織はトップダウン方式が定番で、ボトムアップの組織というのはあまりありません。

しかし近年、リーダーの能力に極度に依存し、組織全体のパフォーマンスがリーダーの決断に大きく左右されるシステムのあり方を見直し、新しい組織の形を模索する企業が増えてきています。

自然界のシステムに多いボトムアップ方式

リーダーなしでシステムを維持していける組織とはいったいどういうものでしょう?

トップダウン方式が当たり前の人間社会ではなかなかイメージできませんが、自然界では多くのシステムがボトムアップ方式で成り立っています。

リーダーがいない「アリの集団生活」

リーダーなしで集団行動をする生物として有名なのが社会性昆虫と呼ばれる「アリ」です。

「リーダーなしって、女王アリがいるじゃないか!」と思う方も多いと思いますが、実は女王アリはアリたちに指示を与える女王様ではなく、卵を産む係のアリに過ぎません。アリのコロニーでは、個々のアリがDNAに刻まれた役割にしたがって、自分のなすべきことを各自の判断で実行するのです。

そこでまた疑問が生まれます。
「各々がバラバラに動いていたら組織が機能しないじゃないか!」
「全体を見渡して指示を与えるリーダーがいないと組織が間違った方向にいくんじゃないか?」と。

しかしアリはそんなことにはなりません。
リーダーがいなくてもアリたちは「強い組織」を実現しているのです。

メンバーのローカルな情報交換でシステム全体が強くなる

アリといえば、長い列をなして皆で仲良くえさを巣に運んでいる行列行動の場面が思い浮かびますね。

しかし、リーダーがいなくて言葉も話せないアリが、どうやってあんな高度な共同作業を実現しているのでしょう?

人間であれば、

メンバーA 「リーダー、あそこにすごい量の食料を見つけました!」
リーダー 「よし、よくやったA!おーいみんなー!あそこに食料があるから、手分けして巣に運んでくれー」
他のメンバー 「了解しました!」

という感じで協力してえさを巣に運ぶことでしょう。

一方のアリたちは、各アリが次のシンプルなルールに従うだけでこの共同作業をリーダーなしで実現します。

  1. えさを適当に探しに行く
  2. 巣の場所は覚えておく
  3. えさを見つけたら、フェロモンという香り物質を地面に置きながら巣にえさを運ぶ
  4. フェロモンを嗅ぎつけたらフェロモンのルートを探し、フェロモンルートをたどってえさを見つける
  5. えさを見つけたら、フェロモンルートを強化しながら巣にえさを運ぶ

これだけのルールです。
このルールによって、だれかがえさを見つけたらフェロモンで他のアリを呼び寄せ、それと同時にフェロモンルートでえさの場所も伝え、他のアリもそのルートをフェロモンで強化することでより遠くのアリを呼び寄せることができます。

これをアリのフェロモンコミュニケーションと呼び、これがアリの食料運搬行列のメカニズムの全てです。

そして、この組織の注目すべき点は、状況の変化に対応できる適応的なシステムになっていることです。
上述のルールによって、えさが無くなったとき(全て運び終わったとき)に、アリたちはフェロモンを地面に置かなくなります。フェロモンは揮発性物質のため自然にルートは消失し、アリたちは次の食料源を探すパトロールに出ます。

つまり、個々のアリはどこに仲間たちがいて誰が何をやっているかを意識せず、自分の仕事を自分の判断でこなしているだけにも関わらず組織全体の利益となる働きが全体としてできていることになります。

こうしたシステムは創発型システムと呼ばれ、リーダーのいない組織がどのように変化に強く適応的なシステムを構築するかのモデルとして注目されています。

創発型システムの特徴は、

  • 全てを管理するリーダーがいない
  • メンバーは全体を見渡せない
  • メンバーは自分の周りはよく見える
  • メンバーは近くのメンバーとコミュニケーションできる
  • メンバーは自分の判断で行動する
  • システム全体から見るとメンバーの行動はシステムに良い影響を与えている

となっています。

自然界のこうしたシステムは柔軟で適応的な組織を作る参考になり、組織力強化のために取り入れる企業も増えてきています。

「強い組織」はトップダウンとボトムアップのバランスが大事

完全にリーダーのいない組織を企業で作るのはもちろん難しく、機能させるためにはアリの例のようなエレガントな行動ルールを設定する必要があるでしょう。そしてそれは明らかに難しいことです。

したがって、組織作りで大事なことはトップダウンとボトムアップのバランスといえます。リーダーに依存しすぎず、かつリーダーを無視しすぎない、絶妙なバランスを維持することが「強い組織」につながっていきます。

リーダーはメンバーのコミュニケーションやチームワークの強化を促し、「自分がいなくてもきちんと動いているな」と喜びながらも全体を見渡し、メンバーからは見えていない視点からの指示を与えていく、というのがボトムアップを意識した組織作りの基本となりそうです。

今ある組織がトップダウンとボトムアップのどちらに傾いているかを把握し、組織力を上げるための組織設計を実践していきましょう!

著者:坂下モド

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
アイコン
ペットを飼っている関係上、ペット関連の記事を多く執筆。現在ではジャンルを問わず、政治・経済なども