以外と知られていない日本神話のエピソード
日本神話と聞いて、真っ先に思い浮かぶエピソードは何ですか?
ワニをだました仕返しに、毛皮を剥がされてしまったウサギのお話『因幡の白兎』や、太陽神のアマテラスが弟のスサノヲに腹を立て、天岩戸(あまのいわと)に引きこもったせいで世界が真っ暗になってしまった『岩戸隠れ』などが有名かもしれません。
これらのお話しのように、日本神話とよばれるエピソードのほとんどが、奈良時代に編纂された歴史書「古事記」や「日本書紀」に収められています。
そして、古事記と日本書紀の両方で描かれている、宮崎県の高千穂が舞台となったエピソードが『天孫降臨(てんそんこうりん)』なのです。
「天孫降臨」ってどんなお話し?
天孫降臨のエピソードにも、日本列島の島々を産み落とした神であるイザナギとイザナミの子、アマテラスとスサノヲの姉弟が登場します。
エピソード1 『ヤマタノオロチ退治』
『岩戸隠れ』の後、アマテラスを怒らせたせいで、天上界を追放されてしまったスサノヲは、出雲の国に降りる際、偶然、老夫婦に出会います。そして、その老夫婦に頼まれて人々を困らせている八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治し、夫婦の美しい娘クシナダヒメと結婚するのです。
2人の間には女の子が生まれ、その後、スサノヲの孫にあたる大国主神(おおくにぬしのかみ)が、地上界を平定します。
そして、この大国主神が、実は『因幡の白兎』でウサギを助けた大穴牟遲神(おおむなぢのかみ)でもあるのです。
エピソード2 『大国主の国譲り』
大国主神が地上界を平定すると、天上界の神々は「地上界はアマテラスの子孫が統治すべきだ」として、天上界から使いの神を送り、大国主神に国を譲るよう交渉をします。
大国主神は、自分のために立派な宮殿を作ることに条件に、国を譲ることを承諾。そして、この「国譲り」のエピソードの中で、大国主神のために建てられた宮殿が出雲大社のはじまりといわれています。
エピソード3 『天孫降臨』
大国主神から譲り受けた地上界を治めるために、アマテラスの孫の邇邇藝命(ににぎのみこと)が天降りを命じられます。
そして、勾玉・鏡・剣の3種の神器を渡された邇邇藝命は、五伴緒(いつとものお)と呼ばれる5人の神を従えて、地上界に降りるために天上界を出発するのですが、その途中で、行く手を照らす見知らぬ神に出くわします。猿田毘古(さるたひこ)というその神は、邇邇藝命たちが天降りをすると聞きつけて、道案内をするために迎えに来たと言うのです。
そして、邇邇藝命と5人の神は、猿田毘古に先導されて無事、高千穂の地に降り立つのです。