急増している高齢者による交通事故、その原因とは?|トピックスファロー

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2012年10月24日
急増している高齢者による交通事故、その原因とは?

高齢社会に突入しつつある現代では、高齢者による交通事故が後を絶ちません。それも高齢者が歩行者側の事故ではなく運転手側の事故です。自身の子・孫を巻き込んだ大事故を起こしてしまうケースも少なくありません。高齢者の交通事故について解説していきます。

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高齢者による事故の多発は何が原因?

どんなに道路の整備が進んでも、どんなに自動車の性能が上がっても、なかなか交通事故は根絶されません。
たとえどんなに運転の自動化が進んだとしても最終的な判断は運転手にゆだねられているからです。

そして、その一方で運転歴の長い高齢者による交通事故も後を絶ちません。
高齢者が歩行者側での事故もですが、高齢者が運転手側での事故も年々目立ってきています。
なぜ、高齢者が絡む交通事故は起こるのでしょうか?

老化は交通安全の大敵

高齢者の交通事故の原因として大きいのは、「老化による能力の低下」です。

老化現象は残酷なほどに身体に現れてきます。
特に運動能力や思考能力などに与える影響は大きく、若い頃はピンと背筋を伸ばして歩き、当意即妙の呼吸で返答できたのに年老いた今となっては杖をピンと伸ばして歩き、ゆっくりたっぷり間を空けて返答しなければならなくなってしまうという始末。

この能力の低下は自動車運転においては致命的なマイナス要因となってしまいます。

アクセルとブレーキの踏み間違い

ニュースで報道される高齢者の交通事故では、よく「アクセルとブレーキを踏み間違い…」というフレーズが出てきます。
例えば、コンビニの駐車場などに留めるときにブレーキだと思ってアクセルを目いっぱい踏み込んで暴走してしまったり、前方車両が赤信号で停車するのに合わせようとしてアクセルを踏み込んでしまったりするというような踏み間違い事故は意外に多いものです。

パニックを起こさない状況であっても、瞬間的に「今自分が踏み込んでいるペダルはアクセルなのか、ブレーキなのか」を判断できなくなってしまうことが、高齢者には多いようです。

高速逆走事故の七割は高齢者の運転

判断ミスで起こる交通事故の一つには、「高速道路の逆走」があります。
時速80㎞以上で走行する車両が多い高速道路を逆走して、正面衝突を起こす為に死傷事故につながるケースが多いのが特徴です。
警察庁の調べでは、400件近い高速逆走事故の7割は高齢者が運転していたことによって起こっていることが明らかになっています。

高速逆走事故はパーキングエリア・サービスエリアから出るとき右折で発進するという、ある意味で単純なミスを原因として起こります。
高齢者の場合、「どちらに曲がるのか」自体を忘れがちになるために高速逆走事故を引き起こしてしまうようです。

反応の遅れによる事故

どんなに気が若くて、「若い者には負けん!」と思っている高齢者であっても若い世代に比べれば、反応が遅れてしまうものです。
この反応の遅れは自動車事故の原因になってしまうのです。
例えば交差点で右折しようとしたとき、対向車線の直進車が来たらブレーキを掛けてやり過ごそうとするものですが、高齢者の場合だとブレーキに足を移すのが遅れてそのまま右折を続行してしまい直進車と衝突するというケースがあります。

高齢者になると周囲の状況に対する反応の遅れ、脳から手足に指令が伝わる速度の遅れ、筋力低下によるアクセル・ブレーキが十分に機能する踏み込みに達するまでの時間の遅れなどが加わって、ブレーキが間に合わなくなってしまうことが多いのです。

高齢者は免許返納すべきか?

度重なる高齢者ドライバーによる交通事故の多発は、お上である警察にとっても頭の痛い問題といえます。
その為、現在では免許更新期間満了の際に70歳以上のドライバーに対しては、免許更新の際に「高齢者講習」を受けなければならないというようになっています。
また、自分の運転技術に不安のある高齢者は自主的に免許返納できる制度が設けられています。

しかし、免許の返納はドライバーの主体性に任せられているため、自分の運転技術を過信している高齢者ドライバーが残ってしまうというデメリットがあります。
場合によっては事故で免許を没収されていても構わずに自動車運転したり、車を処分しても家族の車を勝手に使ってしまうというケースも少なからずあるのです。

交通事故件数の減少には、高齢者ドライバーにどう対処していくかが大きな課題となっているのです。

著者:佐久間和夫

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WEBライターです。型にはまらず様々な情報を発信していきます。好きなものは酒、おつまみ、自転車。