上手くいくと思ったのに…アパート経営の失敗例
アパート経営は、ただ部屋を貸せば何事もなく安心安泰で家賃が懐に飛び込んでくるというような甘い話ではありません。すべての入居者が善男善女で、延滞無く家賃を入れてくれて、退去する時は退去前よりも部屋の内部をきれいにしてくれる…そんな幻想は悪いことは言わないので早いうちに捨ててしまうべきです。
アパートの経営は、それこそ寿命をすり減らすような極度のストレスを抱え込む苦難の連続で、大変な損害を被ってしまうことも少なくないのです。アパート経営にまつわる苦難と失敗とはどのようなものなのでしょうか?
折角のアパートに入居者が来ない
アパート経営の魅力は何と言っても入居者が支払う家賃収入でしょう。例えば一棟10部屋で月5万円のアパートがあったとして全室埋まれば一か月50万円、一年で600万円という収入が得られるわけです。
しかし、そんな取らぬ狸の皮算用通りに現実が進むことはなく、空室だらけになっているアパートも少なくないのです。
入居者が居らず空室だらけのアパートには、住む側にとって致命的な欠点を持っていることが多いものです。例えば立地が悪く幹線道路・交通機関へのアクセスが良くないとか、周辺に商店街やコンビニが無いとか、部屋の間取りが悪いとか、家賃が高いといったような入居者の食指が伸びない何かがあるのです。
入居者が増えないということはその分だけ家賃収入が減るということであり、ローン返済にも影響が出るということでもあるため、入居者増加のための対策をしっかりと考えることが重要です。
若い入居者が夜中に騒ぐ
アパートは一か所に多くの人が住めるのが利点と言えますが、多くの人が集まる分だけ周辺住民に迷惑を掛けやすくなるという欠点も併せ持っています。
特に学生向けアパートを経営する際には、周辺への騒音にも気を使わなければなりません。若い人は仲間で集まれば酒が入っていなくても騒ぐもので、その上昼夜の区別なく騒ぐことは珍しくありません。
また、多くのアパートは音が筒抜けになりやすい木造が多く、騒音に強いマンションのような鉄筋コンクリート構造になっている所は少ないものです。その為、アパート経営者は騒音問題には一層の注意を払い、入居者に注意喚起をしっかり行う義務が生じてきます。
逆に騒音問題の解決を積極的に行わず、騒音を訴えてきた人に「あんたが我慢すればそれで済むこと」という木で鼻をくくったような態度を取ってしまう経営者も中には居るものです。
こういう態度で入居者や周辺住民に接して、村八分状態に追い込まれてしまったという経営者も少なくないのです。
家賃滞納者の出没
アパートやマンションを経営していくうえで頭を悩ませるのが、入居者不足と家賃滞納です。支払われるべき家賃が支払われていない家賃滞納は、経営者にとっては収入減少をもたらす厄介な問題です。
賃貸契約の際に「家賃滞納があった場合は退去させる」と約束させていても、居住権で入居者が保護されてしまうためなかなか退去させられないことなど、家主側が不利になりやすい面が強いのです。
家賃滞納者の多くは入居早々から家賃を滞納するわけではなく、他の入居者と同じように家賃を納めていたのにある日突然滞納する、という具合に何の前触れもないことがほとんどです。
その為家主側も、入居者に同情して家賃請求の手を緩めてしまい家賃滞納が続いてしまう…というケースも少なくないのです。
家賃滞納は、「本来ならば回収できる家賃」と、「滞納者の次に入る入居者から得られた家賃」を得られなくし、多大な金銭的な被害をもたらしてしまうのです。
しかし、入居時に家賃滞納者を見分けるなんてことが出来る人はそうそういるわけではないため、家賃滞納は防止すること自体が難しいのです。
近隣のアパートと入居者の食い合いになる
市場経済というものはパイの取り合いに喩えられるように、限られた顧客をいかにして自分の元に呼び込むかが大事になってきます。そして満腹するだけのパイを取ることが出来なければ、倒産・破産へと追い込まれてしまうというわけです。
アパート経営でも同じことで、限られた入居者をいかにして一人でも自分のアパートに呼びこめるかが大事で、同業者との競争に繋がっていくのです。そしてアパートを建てられる住宅地には、同じようなアパートが乱立しているため、どうしても近隣のアパートと入居者を争うことになるのです。
争うと言っても実力行使でどうこうするというわけではなく、部屋の内容や家賃などの面で競い合うことになります。入居者にしてみれば、家賃が安くて設備が整っているアパートの方に住みたいので、もしもあなたが経営しているアパートに魅力を感じなければ入居者の取り合いに負けてしまうのです。