美しさのために『人の胎盤』を食べる人
美容や産後回復を早めるために、出産後に胎盤を食べる人がいるそうです。
お刺身のように「生食」、煮込み料理で「加熱」するなど、食べ方は様々…。
『プラセンタ成分』が配合された商品を、健康や美容のためにサプリメントや化粧品で使用されていることは知っていても、初めて聞く人には少なからず衝撃的なことではないでしょうか。
哺乳動物が妊娠したときだけ作られる『胎盤』のことを、英語で『プラセンタ』と言います。
細胞の分裂を促す働きがあり、美容分野ではアンチエイジング効果(老化の進行を遅らせる)があるという事で化粧品やサプリメント、医療用としては更年期障害や肝臓、不眠やうつ病などの疾患治療に使われています。
『プラセンタ』は馬、豚、羊、植物、ヒト(人間)、などから抽出されます。
平成15年の薬事法改正により、ヒト由来プラセンタは医療用注射以外に使用できなくなりました。
人間の胎盤から抽出される『ヒト由来プラセンタ』
メルスモン
授乳分泌不全、更年期障害などの治療
エンネック
肝機能障害の治療
現在、使われているヒト由来プラセンタにはこの2種類あり、人が妊娠、出産してはじめて抽出できるという貴重なものであり、品薄状態になることも多い。
体内で赤ちゃんに栄養を与え守る、という役目を終えた胎盤は出産後、数分で母体から娩出されます。
美容や健康効果があるとされるプラセンタパワーを求め、『食する』ことを希望するママさんに、血抜きなどの下処理をして食べさせてくれる産院があるそうです。
(主に個人病院や自宅出産で対応してくれる所が多い傾向)
問題視されていること
「感染症」
注射(ヒト由来プラセンタ)でさえ、接種した人は『輸血・献血』などが禁止されています。
厚生労働省の定めにより検査、加熱処理を行い、HIV、ヤコブ病、クロイツフェルト、肝炎ウイルス等に関しては対策をとっていても、未知の病原体に関す予防や発見には保障がない為、使用するにあたり以下のことが義務付けられています。
- 医師より「インフォームド・コンセプト」を受け、同意書への署名と捺印
- 最低20年以上のカルテ保存、追跡調査
徹底的に衛生管理されているものでさえ、この様な危険があります。
「モラル」
胎盤を目的に妊娠し堕胎を繰り返す女性も中には居たそうです。
また、カニバリズム(食人)として強い嫌悪感をもつ人が多い。
胎盤処理に関する法律
日本看護協会監修の「助産師業務要覧」、191ページ~
危険を知らずに(知っても)『他人の胎盤』食べますか?
この様に、医療機関に定められている法律があり、感染症など健康に関する不安要素がありますが、もし、自分が出産後に胎盤を食することを希望するのなら、病院等にしっかりと確認する必要があります。
近頃では日本の芸能人で自宅出産後に家族で胎盤を食べたことを公表した人がいます。
- 「美しくなれる」
- 「産後のお乳の出が良くなる」
- 「胎盤を触っている助産婦さんのお肌はプラセンタ効果でツルツルして白い」
といった、「らしい情報」を信じて、出産時しかお目に掛れない「胎盤」を何の躊躇いもなく、美容などの目的の為に、友人の胎盤を食べる『胎盤パーティー』、まであるそうです。
美をつくる方法や産後に母乳の出を良くするための食べ物や方法は他にもあります。
健康を左右する問題ですから、良い効果が見込めそうであっても、熟考が必要でしょう。