北欧ブームの起源はミッドセンチュリーにあった
ミッドセンチュリーとは、直訳すると「世紀の真ん中」。
1940~60年代に、アメリカを中心に広まったデザインの流れを指し、その時代に活躍したデザイナーやその作品スタイルを総称して、「ミッドセンチュリー・モダン」とも呼ばれています。
シンプルで機能的なデザインや、それまでになかったプラスチックなどのモダンな素材が特徴。さらに、赤やオレンジなどのビビットカラーと、ナチュラルカラーの組み合せが、多く見られます。
アメリカで活躍したイームズ夫妻やイサム・ノズチ、フランスで活躍したル・コルビジェやオリビエ・ムルグなどのデザイナーが有名です。
北欧出身のデザイナーとその作品
北欧デザインが世界的に注目を浴びるようになったきっかけは、1954年から1957年にかけて、アメリカの各都市を巡回した展覧会「デザイン・イン・スカンジナビア」です。
現在は、日本国内でも、H&MやIKEAなどの北欧生まれのデザインが、簡単に手に入るようになりました。
ここでは、そんな北欧出身のミッドセンチュリーのデザインナーと、その代表的な作品をご紹介します。
アルヴァ・アアルト
アルヴァ・アアルト(1898-1976)は、フィンランド出身の建築家兼デザイナー。 20世紀を代表する世界的な建築家でありながら、ガラス食器や家具などの日用品のデザインにも、積極的に取り組みました。 アアルトの数ある作品の中でも、1933年デザインの「スツール60」は、80年もの長きにわたって、当時と同じデザインが、同じ手法で作り続けられる、ロングセラーのイスです。
ハンス・J・ウェグナー
ハンス・J・ウェグナー(1914-2007)は、デンマーク出身の家具デザイナー。 23歳で、コペンハーゲンの美術工芸学校に入学し、卒業後の、1940年から3年間、アルネ・ヤコブセンの事務所で勤務しました。 500種類以上にも及ぶウェグナーの作品の中で、1950年にデザインされた代表作「Yチェア」は、世界で最も売れたイスの一つといわれています。
アルネ・ヤコブセン
アルネ・ヤコブセン(1902-1971)は、デンマーク出身の建築家兼デザイナー。 シルエットがアリに似ていることから名付けられた「アントチェア」(1952)や、「スワンチェア」(1958)、「エッグチェア」(1958)など、数々の世界的に有名な作品の中でも、最も有名なのが、1955年に発表された「セブンチェア」です。 世界中で500万脚以上も販売された、フリッツハンセン社のヒット商品となりました。
エーロ・サーリネン
エーロ・サーリネン(1910-1961)は、フィンランド出身の建築家兼プロダクトデザイナー。 移住先のアメリカ国内で、ジョン・F・ケネディ国際空港のTWAターミナルビルなどの設計などで、建築家として活躍しました。 サーリネンの代表作の、1958年にデザインされた「チューリップチェア」は、当初、ダイニングチェアとしてデザインされたもので、360度回転する1本脚が特徴の一つとなっています。
ヴェルナー・パントン
ヴェルナー・パントン(1926-1998)は、デンマーク出身の建築家兼デザイナー。 1947~1951年に、デンマーク王立アカデミーで建築を学ぶ傍ら、1950年から2年間、アルネ・ヤコブセンのアシスタントとして、アントチェアの開発に携わりました。 独立後の、1960年にデザインした「パントンチェア」の、独特なデザインが話題に。さらに、こんなに複雑な形なのに、スタッキング機能付きというから驚きです。
エーロ・アールニオ
エーロ・アールニオは、1932年フィンランド出身のデザイナー。 1954~1957年に、ヘルシンキの THE INSTITUTE OF INDUSTRIAL ARTSで工業デザイン、インテリアデザインを学んだ後、1962年に自身のデザインスタジオを設立しました。そして、独立直後の、1963年にデザインしたのが、「ボールチェア」です。 イスに座りながらして、周りの音を70%遮断するという独特なデザインは、60年代を代表するイスとなりました。