土地・家屋などの不動産に掛かる相続税の根拠
不動産の資産価値は、株式のように一夜で大暴落することは滅多に無く、なおかつ常に需要があるため物価が下がる不景気でも目減りしない、まさに「一生の買物」にふさわしいものです。
しかし、資産価値が高いということは遺産相続での争いの原因にもなるだけでなく、相続後に支払うことになる相続税も高くつくということ。
不動産の相続税はどのような根拠で計算されているのでしょうか?
土地の価値を決める路線価と評価倍率
遺産として相続した土地に掛かる相続税は、土地の評価額によって算出されます。
土地の評価額を決めるのは、税金を取り扱う国税庁によって決められた「路線価」または「評価倍率」です。
路線価とは、道路・バス・電車などの路線に面している土地の1平方メートル当たりの評価額のことです。路線価は「主要駅に近い」「幹線道路に近い」「坂などの高低差が無い」「区画が大きい」「高台に位置している」などの利便性が高ければ高いほど値上がりします。
評価倍率は路線価が設定されていない市外や農地・山林などに設定された倍率で、その場所ごとに設定されている固定資産税評価額に倍率をかけて評価額を算出します。
路線価・評価倍率は毎年1月1日の評価額を基にして算出され、7~8月ごろに発表されます。
家屋の評価額はどうやって決める?
家屋に対する相続税は、家屋に対しての固定資産税評価額から算出されます。
家屋に対する固定資産税評価額は、「同じ建物を再現するといくら掛かるか」という再建築費と建築から何年経過しているかという経年劣化による減額を考慮して算出されます。つまり、築年数が古ければ古いほど固定資産税評価額は低くなっていくというわけです。
アパートがあると税金対策になる?
土地の相続でよく言われるのが、「アパートを建てれば減税になる」ということ。
実際、更地の状態よりも何か建物がある土地の方が評価額は低くなりますし、アパートなら家賃収入も期待できます。建物に掛かる固定資産税も、建築費から算出されるので木造・トイレ共同などにして建築費を抑えればアパートがあっても更地のまま相続するよりも安くなるようです。
しかし、「相続税の減免狙いでアパートを安普請で建築する」という手法は、国税庁でも把握していると思っていた方が良いでしょう。
実勢価格が評価額より安い場合もある?
国税庁で算出される土地・建物の評価額は、街の不動産屋などで取り扱われている時の実勢価格よりも安く設定されています。これは、単純に言えば「(実勢価格-評価額)=売買契約による利益」となるからです。
そして実勢価格は市場の需要やボーナスや引越しなどの時季の変化に応じて高低します。評価額は毎年1月1日の時点でデータを下にしているので1年間は変動しません。
そのため、時期や場所によっては実勢価格が評価額を下回っている物件も中には見受けられます。