健康法として注目される「笑い」
「笑い」が治療として注目され始めたのは1970年代の時、アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏が、「強直性脊椎炎」という難病を患ったものの、ビタミン剤による治療と、笑いによる治療を徹底して行った結果、強直性脊椎炎を克服し、それを論文に発表したのがはじめとされています。
笑いに関する研究も盛んで、特に近年は、82~86年間に27件の論文が発表されたのに対し、2007~2001年の間には121件と、4.5倍の数の論文が発表されています。
ストレス解消法としての「笑い」
笑いには様々な健康効果が期待できるとされていますが、その中で注目なのが、「ストレス解消」効果です。
自律神経系の中には、「交感神経系(交感神経)」と、「副交感神経系(副交感神経)」という2つの神経があり、このうちの「交感神経」が優位(活発)な状態が、ストレスが溜まっている状態・両神経のバランスが悪くなっている状態である、とされています。
笑いには、交感神経と副交感神経の切り替えが頻繁に起こり、副交感神経が活発化しバランスが整えられ、その結果、ストレスの解消へと繋がるのです
皆さんも、涙が出るくらい大笑いしたり、楽しい話を笑いながら聞いたりしていると、スッキリした気分になったことはありませんか?そう考えると、確かに「ストレス解消のための笑い」というのは、効果がありそうですね。
その他にも効果
笑うという行為には、ストレス解消以外の健康効果も多数発見されています。そのうちのいくつかを紹介します。
免疫力アップ
笑うことによって免疫力がアップし、軽い病気や癌まで、様々な病気の予防に繋がるのです。
というのも、笑うことによって「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」というリンパ球の1種である細胞が活発化するのです。
このナチュラルキラー細胞はリンパ球の中でも、「T細胞」や「B細胞」と共に免疫機能の中で中心的に働く細胞で、癌細胞を攻撃する役割を持ちます。
この細胞が活発化することよって、免疫力アップ・病気予防に繋がるのです。
筋力アップ
大笑いをしたら腹筋が痛くなった、という経験はありませんか?笑うという行為は、顔周りや腹筋など、意外と様々な筋肉を動かしている状態でもあります。
運動量は軽微なものですが、特に筋力の衰えてくるお年寄りの方などにとっては、貴重な運動手段の1つとなります。
また、笑いによって腹筋・横隔膜が鍛えられると、排便機能がアップして、便秘解消効果も期待できます。便秘に悩みやすい方にはうれしい効果ですね。
脳の活性化
ストレスが高い状態の時は、酸素の消費量も多く、脳細胞が酸素不足になり、脳の働きが低下しやすい状態にあります。
笑うことによって酸素を大量に取り込むことができ、その結果脳細胞の活発化の他、大脳新皮質の血液量が増加するなどの効果があります。
笑うためのトレーニング
笑いの健康効果を手に入れるためには、まずは笑わなければ意味がありません。
そのために日頃からどのように笑っていけばいいのか、上手に笑うためには何をしていけばいいのか、そのための方法をいくつかご紹介します。
顔周りの筋肉を鍛える
素敵な笑顔を作りやすくするためには、表情筋を作ることが大切です。表情筋を鍛えれば、笑顔が作りやすくなる効果があります。
「あ・い・う・え・お」と大げさに口を動かしてみたり、片目ずつ交互に大きく目を開け閉めしてみたり、とにかく顔全体の筋肉をゆっくり・大きく動かしてみましょう。
趣味や楽しい事を見つけて熱中する
やっていると思わず笑顔になるほど楽しい趣味を見つけたり、お笑い番組や漫才など楽しい番組を見るようにしましょう。
面白いと思ったら遠慮せずに笑うことで、自然と笑顔になることができます。
特に何もなくても笑う
特に楽しいことがなくても、楽しい事を考えながら作り笑いするだけでも、ナチュラルキラー細胞は活性化するという実験結果も出ています。
なので、特に楽しい事がない時でも、1分ほど思いっきり大笑いしてみましょう。笑うためのいいトレーニングにもなります。
ポジティブな生活を心がける
十分な睡眠・十分な食事・適度な運動など、毎日規則正しい生活を送るようにしましょう。
毎日の生活が充実していると笑顔にもなりやすいですし、うつ病など健康的にも好影響を与えてくれます。
また、「毎日の単調な生活が退屈で笑う機会が減っている」という人は、積極的に刺激を求めて出歩いてみましょう。