海外通販はメリット一杯、危険も一杯?
円安ドル高になれば輸出が有利になり、円高ドル安になれば輸入が有利になるというのは常識と言っても差し支えない外国為替の基本です。
円高が進めば進むほど日本の輸出業は後退しますが、輸入は非常に有利になるので海外の有名ブランド品や高級食材などが安く手に入るチャンスとなります。
しかし、海外の通販サイトを利用して個人輸入を行う海外通販にはさまざまなトラブルが待ち構えているのです。
関税が掛かって国内で買うより高くつくことも
海外通販は、輸入の一形態であるため商品が国内に入ってきた時点で関税の課税対象となります。
関税はアパレル用品以外で商品代金・手数料・送料の合計金額が一万円以下なら免除になりますが、それ以外は「商品代金の60%×商品種類ごとの関税率」が関税額として計上されます。
通販サイトによっては商品価格が大幅値下げされていることも珍しくはないのですが、値下げ前の価格に対して関税がかけられてしまう場合があるため、「安い!」と思っていても国内通販で買った方が安くつくケースも少なくないのです。
日本は発送対象になっていないことも
海外通販サイトは全世界からアクセスできますが、それはアクセスのあったすべての地域に商品を発送できるという保証があるという意味ではありません。あらかじめ「アメリカ国内に限り商品発送」などの注意文を乗せた上でサイトを運営しています。
つまり、高級品が手ごろな価格に値下がりしていて円高還元でさらに安く買えるとしても、日本への発送が出来なければまったくの無駄になってしまいます。
海外製品が日本国内で利用できないことも
海外通販で人気の商品には、アニメ・映画などのDVDボックスやパソコンなどがあります。
特にDVDは日本では考えられないほど安く、日本だと4話収録のDVD1枚5,000円以上するところが全26話収録のDVDボックスが5,000円前後、しかも日本語音声収録というお得感満載です。
パソコンの場合、日本未発売の機種や部品を先行入手せんと熱烈なファンが先を競って個人輸入を行っていることがあります。
しかし、海外通販で入手した製品は日本で使えないケースが意外と多いものです。
例えばDVDの場合、地域ごとに設定されているリージョンコードがDVD・プレイヤー双方で合致しなければ視聴できないようになっているためリージョンフリープレイヤーが必須になります。また、日本語音声が英語吹き替えに差し替えられているケースもあります。
パソコンなどの電化製品は、電源が日本の100Vに対応していない場合があるため変換アダプターやコンバーターを用意するなどしなければ日本国内で使えません。
商品発送・金銭取引がルーズ
日本の通販サイトは大体「5営業日以内に商品発送・到着」が基本になっていて、お金のやり取りもクレジットカードや振り込みを利用して手早くできるのが特徴です。しかし、海外サイトの場合は日本のように迅速・確実とは言えません。
海外通販では商品の発送が遅れることはザラにあることです。取引が完了した日から発送に1か月かかるのは良い方で、下手すると半年や1年掛かることさえあるくらいです。
金銭面のやり取りもルーズで、引き落としはともかく返金が発生した場合は時間が掛かってしまうことさえ珍しくありません。返金処理が遅れている内に円安が進んで支払ったお金が目減りすることさえあるのです。
また、入金処理に使ったクレジットカード番号が盗まれるというケースも多いのが海外通販のリスクの一つといえます。