『心理士』という職業
英語で「psychologist」といった場合は、心理学者を指す事もありますが、日本においては『心理カウンセラー』といった方が分かりやすいでしょう。
そんな心理士の仕事とは、「相談者の抱える悩みや精神疾患に対し、知識や技術を使い、コミュニケーションを通して、その治療や改善に努める事」と思う方も多いでしょう。
それも間違いではありませんが、重要とされているのはアドバイスを送る事ではなく、『相談者が本来備えている自己治癒力に気付かせ、問題が解決する方向へ導く事』と言われています。
心理士の資格とは
現在、『心理士』を認める国家資格は存在しません。
一方で、民間の団体による資格は多く、心理士の資格で検索すれば相当の数がヒットします。
その為、例え素人であって心理士を名乗る事ができるのが現状です。
臨床心理士
その中で、最も信頼度の高い資格といえば『臨床心理士』でしょう。
特に医療や福祉の現場で仕事についている人のほとんどは、この臨床心理士の資格を持っています。
ハードルの高い資格取得
その取得への壁は高く、日本臨床心理士資格認定協会認定の大学院を卒業しない事には受験資格すら与えられません。
しかし数は少ないですが、通信教育もありますので、「仕事や家庭との両立が不可能」とは言い切れません。ですが、決して楽な道ではないでしょう。
心理士が国家資格になる可能性
年間3万人を超える若年層の自殺や、家庭における虐待、新型うつの増加など、心理士の重要性が高まるにつれて、「心理士を国家資格に」という動きが高まっています。
2005年に一度、国会にて法案化の直前まで行きましたが凍結。
2008年からふたたび、国家資格認定に向けて「医療心理師国家資格制度推進協議会」と「臨床心理職国家資格推進連絡協議会」、さらに「日本心理学諸学会連合」の3団体が中心になり、法案提出に向けての話し合いがもたれています。
国家資格となった「心理師(仮称)」の資格取得の方法
心理士の資格が国家資格となった場合はの名称はまだ決まっていませんが、
その際の資格取得は、臨床心理士よりもより難しい物になると予想できます。
仕事に従事している人たちへの救済措置
また国家資格が制定されると、それまでの民間資格では仕事を続けることはできないでしょう。
しかし、すでに仕事をし、実績と経験を持っている人たちに対して、「もう一度大学に通い、勉強をし直せ」というのは現実的ではありません。
受験を免除し、臨床心理士の資格が心理士の国家資格にスライドする事は難しいでしょうが、実務経験に応じて受験資格や、受験の一部が免除されることは十分に考えられます。
つまり、心理士として現場での経験があれば、新たに大学院に通う事なく、国家資格を受験できる可能性もあるという事です。
全国で高まる心理士の需要
2001年。文部科学省の補助の下、全国の中学校にスクールカウンセラーが配置されるようになり、2006年には小・中・高と合わせて、10,158校にまでその数を増やしています。
しかし心理士の人数が足りずに一人で複数の学校を掛け持ちしている人も少なくありません。
また企業で働く人を対象にした産業カウンセラーの需要も年々高まりを見せ、これまでほとんどが医療や福祉関係に限定されていた職場が拡大しつつあります。
現在は、給料や待遇面では決して良いとは言えない心理士ですが、数年後、国家資格となり活躍の場が増える事が予想されます。そうなった際には、待遇面も改善される事は間違いありません。
これからの心理士の需要拡大を見越せば、今から準備しても十分に間に合うのではないでしょうか。