うつ病によって引き起こされる不眠症…その怖さとは?
人は誰でも失敗したり悪いニュースを聞いたりすれば気持ちがズシンと重くなってしまうもの。しかし、そうした気持ちは一過性の物なので一晩寝れば、だいぶ気持ちも軽くなっているものです。
このような落ち込んだ気持ちが続いてしまうと、何事にもやる気が出せなくなるし生きている事自体に疑問さえ抱くようになってしまいます。これこそがうつ病の恐ろしい所です。
うつ病は脳内物質の変化で起こる
うつ病が発症する要因は昔からあれこれと考えられてきましたが、近年は脳内物質の分泌量の変化が原因と考えられています。
感情というものは外界からの刺激に対して脳が反応して分泌する脳内物質によって起こるものです。
普段なら頭に来ることがあれば興奮作用のある脳内物質、楽しい事があれば快を感じる脳内物質というように状況に応じた脳内物質が分泌されています。
しかし、何らかの原因で脳内物質の分泌が攪乱されてしまうと抑うつ気分が慢性的に起こるようになってしまい、うつ病を発症してしまうのです。
うつ病は身体にも影響する
このようにうつ病は精神的な症状が強くでるものと考えられがちですが、身体的な症状も出てくるものです。
うつ病による身体的な症状としては、食欲不振、頭痛、吐き気、身体の痛み、そして不眠症が挙げられます。
不安と緊張で眠れなくなるうつ病型不眠症
うつ病の症状として起こる不眠症は、完全に眠られないというよりもすぐに目が覚めてしまう浅い眠りがずっと続いて寝たり覚醒したりを繰り返すものです。
うつ病からの不眠症は、遠足や修学旅行の前日と同じような不安と緊張が入り混じった気持ちによって起こるものです。その為、ウトウトしだしてもすぐに目が覚めてしまうし、眠ってもすぐに目が覚めてしまいます。
うつ病型不眠症は脳が休まらない
そもそも睡眠の目的は身体を休めることではなく、脳を休めることです。
睡眠中に脳はその日の記憶を整理してから休息に入ります。
この記憶の整理は浅い眠りであるレム睡眠の際に行われ、その間に私たちは夢を見ているのです。
レム睡眠での記憶整理が終わると、深い眠りであるノンレム睡眠に移行して脳を休めるのです。
しかし、うつ病での不眠症ではノンレム睡眠に移行する前に意識が覚醒してしまうか、そのままレム睡眠状態が続いてしまうので脳を休める暇がありません。
脳を休める事は脳の働きを正常化するために重要な役割を持っているので、うつ病で不眠症を引き起こすと脳が休められないためさらにうつ病が進行してしまうという悪循環に陥りやすいのです。
うつ病は医者に診てもらうのが一番
うつ病はその内容とは裏腹に、周囲からは「うつ病は甘え」とばかりに仮病扱いされてしまうことが多いのが悩みです。
それどころか「精神科に罹るのは恥ずかしい事」と適切な治療を受ける機会さえも阻害されてしまうのです。
うつ病を治すためにはちゃんと医者に診てもらい、脳内物質のバランスを取るための抗鬱作用がある処方薬を指示通り服用する事が欠かせません。
うつ病患者や家族は、病状が好転してくると自己判断で薬の服用量を減らして元の木阿弥にしてしまうケースが少なくないので、医師の指示に従った治療を行う事が大事なのです。