いろいろあるんだ!保健師の仕事
保健師というよりも、保健婦という呼び名の方がピンとくるという人は多いはず。
保健所や保険センターで行われる検診で見かけるおばちゃん、というイメージが強いのではありませんか?
2001年の法律の改正により、それまで、「女性=保健婦」「男性=保健士」だった呼び名が統一され、2002年から「保健師」と呼ばれるようになったのです。
保健師の仕事は、一言で言えば、保健指導や健康管理によって病気を予防することです。
働く場所は大まかに、地域住民を対象とする「行政機関」と、働く人を対象とする「企業」の2つに分けられ、働く場所によって仕事の内容は大きく異なります。
地域で働く行政保健師の仕事
行政機関で働く保健師の職場は、地域の保健所や保険センターなど。
子供から大人までの幅広い年齢層や、高齢者・乳幼児・妊婦・障害者などの、ケアが必要な住民の健康を守る保健師の仕事には以下のようなものがあります。
健康診断の実施
地域住民に対して健康診断を実施し、結果をその後の保健サービスに反映させます。
保健指導
成人病や認知症、インフルエンザなどの予防や、高齢者向けの体操教室など、地域住民の健康につながるための保健指導を行います。
健康相談
健康に対する不安や疑問のほか、いじめ、不登校、ひきこもりなど、さまざまな地域住民の相談に応じます。
母子保健活動
1歳半検診や3歳児検診などの実施のほか、母親学級・父親学級などを開講し、育児指導を行います。
家庭訪問
一人暮らしの高齢者のお宅や障害者世帯を訪問し、保健指導を行います。
また、乳幼児のいる家庭を訪問し、お母さんの育児の悩みや不安に対するケアを行います。
企業で働く産業保健師の仕事
産業医や衛生管理者とともに、企業で働く従業員の健康を守る保健師の仕事には以下のようなものがあります。
健康診断の実施
企業に義務付けられている健康診断を実施し、その結果や問診などから従業員の健康状態をまとめ、事業者に報告します。
健康相談
従業員の健康に関する相談を受け付け、身体の健康だけではなく、精神面のケアも行い、自殺やうつ病予防につなげます。
労働環境の把握
職場の環境が、安全かつ従業員の健康を損ねていないか、また、規定の労働時間が守られているかなどの面から従業員の健康に注意します。
保健指導
従業員への、成人病やメタボ予防のための保健指導や啓蒙活動、また、個々の体調に合わせた健康管理を行います。
保健師になるためには?
保健師は、毎年2月に行われる、厚生労働省所管の「保健師国家試験」を受験し、合格することによって取得することができる国家資格です。
また、保健師の資格を取得すると、養護教諭2級の資格も、申請すれば取得することができます。
主に、以下の3つのいずれかに該当していれば、受験資格が得られます。
- 文部科学大臣が指定した学校で、1年以上保健師に必要な学科を修めた
- 厚生労働大臣が指定した保健師養成所を卒業した
- 外国の保健師に関する学校・養成所を卒業し、保健師免許に相当する免許を受けた(ただし、厚生労働大臣の認定が必要)
試験科目は、公衆衛生看護学・疫学・保健統計学・保健医療福祉行政論の4科目で、一般問題が75問、状況説明問題が30問の、計105問が出題されます。
合格発表は、毎年3月の下旬に行われ、2012年の合格率は、全体で86%、新卒者のみでは89.2%でした。