進む高齢化で、増えるアルツハイマー患者
国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、日本の高齢者人口は2020年まで急速に増加し続けると予測されています。そんな超高齢社会の現在、アルツハイマー病にかかる人も増えているんだとか。
この“アルツハイマー”という病気、テレビや新聞などで頻繁に見聞きする言葉ですね。けれど、どんな病気なのかよく知らない人も多いのではないでしょうか。この病気は、一般的に45~65歳の年齢層に多く見られ、大脳が委縮していくというものです。高齢者に多い認知症の一つで、ドイツの病理学者アルツハイマーによって報告がなされたことから、その名が付けられました。高齢になればなるほど、発症率は高まると考えられています。
若い人も要注意!
高齢者ほど発病しやすいと言われるアルツハイマーですが、近年では“若年性アルツハイマー病”と言って、18~64歳の若年層での発病も増えています。高齢者、そして若い人が発病するアルツハイマーはどちらも様々な研究が重ねられていますが、一度発病すると、症状の進行を遅らせる治療方法しかない、根本的な治療法のない病気なのです。
アルツハイマーの主な症状
アルツハイマーの初期段階では、軽度の人格変化、情緒不安定、抑うつ状態、不眠、幻視・妄想などの症状が見られます。また、軽い頭痛やめまいといった身体的な症状が出る場合もあります。
このような初期症状はごく軽いため、自覚症状がなく、周囲も気づかないことがほとんど。おかしいと感じても精神的不安や不眠などから、うつ病と勘違いするケースも少なくありません。
アルツハイマーが疑われる場合、特徴的な行動が見受けられます。これから紹介する主な行動が全部見られるのか、それとも1~2つなのかは人によって異なるので、あくまでも目安としてください。
- 同じことを何度も聞く
- すぐ道に迷う(自宅がどこなのが分からなくなる)
- 友人の名前や電話番号が思い出せない
- 新しいことがなかなか覚えられない
- 仕事や家事の段取りが悪くなる
このような行動が日常的に見られる場合は、アルツハイマーかもしれません。早期治療を始めることで、進行を遅らせることができます。一度、精神科(神経内科や脳外科でもOK)を受診してみましょう。
アルツハイマーは予防できる?
進行性疾患のため、完治することはないとされているアルツハイマーにかからないための予防法はあるのでしょうか。
長年の研究によって、アルツハイマーの原因と考えられるものが分かってきました。それは、アミロイドβという老廃物です。脳内で作られて、そのまま溜まっていき、やがては脳細胞を破壊してしまいます。
ですが、通常はインスリン分解酵素というものが、アミロイドβを分解してくれるため、脳細胞が破壊されることはありません。
ところが、インスリンが増えると、インスリン分解酵素がうまく働かなくなるという事態に…。
インスリンが増えすぎる原因の一つは、ご飯や麺類など炭水化物の多い食事。また、塩分や糖分の摂り過ぎにも気をつけましょう。バランスのとれた食生活がアルツハイマーの予防に大いに役立ちます。
適度な運動も必須!
アルツハイマー予防のためには、食事だけではなく適度な運動も重要です。高齢になってくると、どうしても足腰が弱くなりがち。歩くことは、脳の代謝・循環を活発化してくれるので◎。さらに、料理や手芸などで、手を使うこともお勧めですよ。若い頃から手足をよく動かし、適度な運動を心がけながら脳を鍛えるようにしましょう。
飲酒・喫煙はダメ!
アルツハイマー予防というよりも、健康のために飲酒・喫煙は控えましょう。体に悪影響を及ぼすため、当然のことながら、ゆくゆくはアルツハイマーを引き起こす原因にもなり得るので、注意が必要です。