風邪にかかるのはいつ?
まず、「風邪のウィルスはどのようにして体内に侵入するのか?」「侵入した後、どのようにして感染するのか?」についてお話ししましょう。
風邪のウィルスは、鼻や口から、呼吸とともに体内に侵入します。実は風邪のウィルスというものは、世の中にあふれかえっているものなのです。「寒いと自然発生で風邪をひく」と思っている方が多いかもしれません。
しかし実は、「寒さで体力・免疫力が低下しているところへ、そこらにあふれている風邪のウィルスが感染してくる」が真相です。体調が整っている状態であれば、同じ環境にいてもウィルスに感染することはありません。
どうして体力・免疫力が低下していると、風邪のウイルスに感染するのでしょうか?
喉が乾燥していると、風邪のウィルスが付着しやすくなります。そして、喉が炎症を起こし、そこからさまざまな症状を引き起こす風邪へと発展するのです。つまり、喉が潤っていれさえすれば炎症を防ぐことができるということです。ウィルスの出鼻をくじいてやりましょう。
のどの乾燥を直接防ぐ保湿
うがい
のどを湿った状態にするには、うがいが最も効率的です。子供の頃、「外から帰ったらうがい・手洗い」と教えられた覚えはありませんか?
マスク
喉の潤いのためには、マスクを着用することも効果的です。「既に風邪に感染した方がウィルスを撒き散らさないため」「周囲から風邪のウィルスをもらわないため」という目的でマスクを使う方が多いかもしれません。
通常のマスクでも十分にその役割ははたしてくれます。しかし、さらに喉の保湿に役立つのが「ぬれマスク」です。市販のぬれマスクには「ポケットつきのマスクとぬれフィルターをセットにして販売している製品」「マスクの特定の部分に専用液を染み込ませて使う製品」などがあります。
「炎症が起きている喉に有効な成分」「鼻づまりに有効な成分」などを含んだ製品もオススメです。また、ぬれマスクは、自分で手作りもできちゃいます。
ぬれマスクの作り方
手作りぬれマスクは2つのパターンがあります。●市販の紙タイプ使い捨てマスクを使う方法
このパターンは、使い捨てマスクを2枚重ねて使います。そして、間に塗らしたガーゼかウェットティシューをはさみこむだけ。ウェットティシューを使う場合には「口元を拭ける」とうたわれている製品を選んでくださいね。
●市販のガーゼマスクを使う方法
鼻に当たる部分を下方向に折り曲げ、鼻を覆わず外に出すようにします。そして、折り曲げた部分だけを濡らして装着しましょう。ちょうど鼻の下に塗れた部分があるので、鼻から湿気を吸い込み、喉を潤します。口も覆われているので乾燥を防いでいるのです。
コップ一杯の水
あなたが風邪をひいたと最初に自覚するのは、どんなときですか?「朝起きたときに喉の痛みを感じて」というケースが多いのではないでしょうか?前述のように、風邪は多くの場合、喉の炎症から始まります。そして人間は、眠っているときに最も喉が乾燥するものです。これは「睡眠中は意識がなく口元が緩んで開いたままになる」「唾液の分泌が十分でない」ことが原因です。「朝起きたら一番にコップ一杯の水を飲みましょう」というのは、医療関係者が語る風邪の予防法のひとつ。
通常の風邪のウィルスは、強い胃酸の中では生きられません。
空気の乾燥を防ぐ加湿
空気が乾燥している環境で呼吸をしていては、喉が乾燥する一方です。特に、寝ている間が最も風邪の感染リスクが高い時間帯であることは前述の通り。ですから、特に寝室の加湿に気を使いましょう。ですが、エアコンや加湿器はあまりオススメできません。うまく調整しなければ、風邪の予防以上に家や家具を傷めるリスクの方が高まります。また、日々節電が叫ばれる中、毎日運転するのは現実的ではありませんよね。
そこで、濡れタオルを一枚干しておくだけでも十分に効果は得られます。
霧吹きで直接空気中に水分を撒くという方法も効果的です。しかし、これはあまり効果が継続しないので、こまめに繰り返す必要があります。
ストーブなどの上にやかん・鍋などを乗せられるなら、常に乗せておきましょう。コンロの火力とは違い、グツグツに沸騰することはありません。しかし、水分はじわじわと蒸発していくので、空焚きにならないよう時々水を足してください。
なるべく口の広い容器に水をはって置いておくだけでも、徐々に蒸発して空気中に放出されます。火にかけているケースとは違い、水の補充を忘れても火事の心配がなく、安全です。しかし、火にかける場合よりは効果は小さくなります。ちなみに前述の「朝起きたらすぐに水を飲む」ための水を枕元に汲み置きすることはあまりオススメしません。
寝ている間に水中で雑菌が繁殖した水を飲みたくはありませんよね?朝一番に飲む水は、汲みたての新鮮な水が一番!加湿のための汲み置きの水とは区別しましょう。
観葉植物は効果ナシ!?
「お部屋の加湿のために観葉植物を置いてはどうか?」と考えたことはありませんか?植物を育てていると、水遣りをしますよね。それに、なんとなく植物は周囲に潤いを与えてくれるようなイメージを抱いてしまう・・・。しかし、最もお部屋を加湿したい冬の季節、観葉植物は水遣りがほとんど必要なくなります。乾燥する季節とはいえ、やはり夏の暑い時期と比較すると、土から水分が奪われることはあまりないのです。観葉植物では、冬の乾燥を乗り越えることはできないでしょう。
体の乾燥を防ぐ水分補給
鼻風邪をひけば、鼻水が24時間体制で休みなく生産され続けてうっとおしいですよね。さらに熱が高くなれば、汗をかくこともあるでしょう。もちろん、汗も「体液」のひとつ。風邪をひいている時とは、体液が常に排出され続けている状態なのです。そこで、失われた水分を補給しなければいけません。
水分補給には、スポーツドリンク「ポカリスエット」が最適です。ポカリスエットは「飲む点滴」をコンセプトに開発されたドリンク。ただし、本物の点滴ほどの即効性はありません。点滴は直接血管に取り込むため、効果が早く得られます。ポカリスエットの場合には、胃腸から吸収した成分を血液に乗せて体中に運ぶまでのタイムラグがあるためです。
スポーツドリンクを飲む時期といえば、夏の暑い時期を想像しますね。そのため、冷やして飲むものという先入観があるかもしれません。しかし、風邪のひきはじめの対処・予防のためには、体の内側から冷やすことは厳禁。
風邪を引かないために乾燥対策を
いかがでしたか?風邪の対処法といえば「温かくして」というのがまず最大の前提条件ですね。しかし、体温が高くなれば「暑い」と感じます。「風邪をひいているのだから温かくしなければ」と頭ではわかっていても、ガマンがきかないこともあるでしょう。
何枚も布団をかぶっても、暑くて寝付けなかったり、眠ったとたんに寝苦しさで無意識に布団をはねのけてしまったり・・・。
医療関係者の意見も「暑いと感じているときには、それ以上無理に体を温める必要はない」「本人が楽でいられることが一番」という傾向に変わってきています。では「温める」以外に、風邪に対してなにができるか?それが「乾燥対策」なのです。