従来のうつとは、正反対の特徴を持っています
20代~30代の若年社会人に増えている心の病、新型うつ病。
うつという名前が付いているため、混同されたり誤解されたりしやすいですが、従来のうつ病とは正反対の特徴を持っています。従来と新型、それぞれの特徴をまとめると下記の通りになります。
項目 | 従来のうつ病 | 新型うつ病 |
---|---|---|
責める対象 | 自分 | 他者 |
感情の波 | ずっと落ち込んだまま | 起伏が激しい |
症状が表れる場所 | 場所を選ばず | 職場 |
悪化する時間帯 | 朝 | 夕方~夜 |
休日の状態 | 変わらない | 活動的になる |
新型うつにかかると、出社拒否の状態になることも
新型うつ病の特徴に注目すると、おそらく殆どの方が「子供っぽい性格」「自己中心的なだけ」という感想を抱くでしょう。しかしそれだけでは、決して片付けられないものがあります。
なぜならば日々の業務に大きく差し障る、出社拒否の状態に陥る、それによって周囲からひんしゅくを買うなど、さまざまな問題が発生するからです。
新型うつ病の人は悪い言い方をすれば、プライドが高く忍耐力がありません。
非常に打たれ弱く、ごく軽い注意を受けただけでも過剰なまでに傷つきます。他者が蚊に刺される程度と感じることでも、新型うつ病の人は、まるで猛獣にでも攻撃されたかのように感じてしまいます。
そしてPTSDにも似た強い心理的ショックが原因となり、出社拒否などの問題を引き起こしてしまうのです。
第三者の目には、仮病を使って逃げているように映る
新型うつ病の人は、病気を同情してもらえないどころか、批判や非難の対象になることが多々あります。自宅や旅行先など、会社以外の場所に行くと、手の平を返したように活動的になるためです。また本人に都合の良いことが起こった途端に気分が回復するのも、周囲の信頼を損ねる原因になります。
リゾート地でツイッターに「話題の海でダイビングなう」などと発言したのを上司に発見されて、後に厳しい叱責を受けたり評価を下げられたりする…こんな冗談のような話も現実にあります。
本人に悪気がなくとも、第三者の目には、仮病を使って責任や仕事から逃げているようにしか映りません。それがこの病の厄介なところです。
過保護に育てられた、挫折を知らない…こんな人は危険
自己愛の強い人は、新型うつ病を発症しやすいと言われています。
周囲の目に余るほど過保護に育てられた、幼い頃から優秀で挫折を知らない。自己愛の強い性格は、このような環境に長期さらされることで形成されていきます。
原因の根が深く、未だ特効薬と言えるものもないため、新型うつ病の治療は容易ではありません。
従来のうつ病ほど理解が進んでおらず、職場の協力を得られない、そもそも本人に病気の自覚や治そうという意識がないことも、治療の障害になります。
しかし全く何の手立てもないというわけではなく、カウンセリングやEMDRなどの心理療法に大きな期待が寄せられています。この病には、内面の成長を促すような心理的アプローチが有効ということでしょう。