うつ病を発症する人は親子関係に問題があるパターンが多いのはなぜ?|トピックスファロー

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2015年8月17日
うつ病を発症する人は親子関係に問題があるパターンが多いのはなぜ?

うつ病を発症する人は、親との関係に問題があり、大人になってからも悩んでいる人が多いようです。それはなぜなのでしょうか?実際に私自身、うつ病の経験があり、やはり親との関係に悩んでいる背景がありましたので、それをもとにお話をしたいと思います。

WEBライター
  

心当たりがある人は「アダルトチルドレン」がキーワード

うつ病になった人の中には、子どもの頃からずっと親との関係が良くなく、それがうつ病の一因になっているという人が多いようです。自分もそうだな、と気づいた人は、「アダルトチルドレン」という言葉がキーワードになります。頭文字で「AC」とも言われます。 アダルトチルドレン

アダルトチルドレンとは?

アダルトチルドレンという言葉からは、大人だけど子どもというような意味を想像しますよね?

でも実は、「機能不全家庭で育った子どもで、その時の心の傷を大人になってからも抱えている人」ということを意味しています。この記事では、この心の傷がもとでうつ病を発症したと思われる人に焦点を当てています。

なお、機能不全家庭とは、外国で多かったアルコール依存症の親がいる家庭をはじめとして、呼び名の通り、健全に機能していない家庭のことを指し、DVや虐待があるなど様々な問題を抱える家庭のことです。

このようにハッキリとしたことがなくても、子どもの気持ちに添えず、しょっちゅう子どもを傷つけてしまう親の元で育った人、というのも、広義ではアダルトチルドレンと捉えています。

うつ病の人に多い、子ども時代の親への感情は?

うつ病の人が、子どもの頃に親に対して抱いた良くない感情とは、どのようなものなのでしょうか?人それぞれに違った背景や思いがあると思いますが、中でも多くの人に共通していると思われる例を見ていきましょう。

親に対して抱いている思い

怖い

怖いという感情を抱くのは、「親はいつ怒るか分からない。また、どんなことで怒るのかが読めない」というような背景があることが多く、同じことでもある時は怒られないのに、別の時は突然怒り出すなどということもたくさん経験しています。

他にも、特に悪いことではないのに親の機嫌によって八つ当たりして怒ってくるということも。暴力があるような家庭であれば、さらに恐怖心を強く抱いています。この恐怖心は、大人になってからも変わっていないことが多くあります。

自分の気持ちを分かってくれない

子どもの気持ちを理解しようとすることはほとんど見られず、まず楽しく会話をすることも少ないという背景が浮かび上がります。身勝手で常に自分中心な親など、子どもの話に聞く耳を持たず、何を言っても否定されたりバカにされたりという経験をしている人も多いようです。そうして徐々に、親との意思疎通を諦め、心を閉ざして行きます。

ウソつき

一貫性がなく、言ったことがコロコロ変わるなどということが多い親で、子どもには「ウソをつかれた」という感情が残ります。また、親はそこまでウソをつくつもりがなかったとしても、子ども側の感受性が強く、信じていたことが成し遂げられなかったなどでわだかまりを抱いている場合もあります。

愛されていない、自分は邪魔なのでは?

常に不機嫌、怒っている、無関心、横暴などの親の態度から、自分は愛されておらず、邪魔な存在ではないかと思うようになります。親の方に本当にそういった気持ちがあったわけではなく、忙しいなどで余裕がなかっただけということもあり得ますが、子どもの頃にそのような疑惑の感情を抱いてしまった場合、かなり後まで尾を引くことが多いでしょう。

なぜここに生まれてきたのか

親との健全な関係を築くことが出来ず、周りの友達の家庭の様子が自分と対照的であった場合、「なぜ自分の親がこの人たちなのか」「なぜここに生まれてきたのか」と、子どもながらに自分の運命を呪うような感情を抱きます。

くすぶり続ける寂しさと悲しみ、親との関係性の根深さ

このような感情を抱いたまま、心理的な解決が出来ないまま大人になった場合、その親へのマイナスな感情は心の中でくすぶり続けています。親に対して持っていたはずの感情が、人生全体に増幅していくため、何をしていても、どこか寂しげで悲しげ。

たとえ人には気付かれなくても、自分自身は、心にかかるモヤのような、あるいは厚い雨雲のようなものにいつも付きまとわれている、覆われているというような感覚があります。

好きでしていることであったとしても、どこか、クリアに物事を楽しめないのです。

親への思いと、うつとの関係性とは?

こうした親へのわだかまりやマイナスな感情が、どのようにしてうつ病につながっていくのでしょうか?

このような人々の多くに共通するのは、「親にさえも自分は愛されなかった」という思いや、親を信じたり期待したのにことごとく裏切られてきたという、恨みに似たような気持ちです。

悲しみや絶望的な気持ちが一体となったものが、常に自分の心のどこかに居座っています。こうした悲しみや絶望感を抱えて、いつも暗い感情のベールに覆われているような状態でずっと生きて来ているので、やはり人生がつらくなってきます。アダルトチルドレンとはまた、「生きづらさ」もその判断基準となっているのです。

悲しみを抑圧しすぎて無気力になってしまう

子どもの頃からすでに辛かったけれど、大人になって自分の力でその辛さを拭えない、ということに、さらに悲観してしまっている場合も。

日頃、自分の中の悲しみを抑圧することにエネルギーをつぎ込むので、いつも疲れて無気力になります。ついには趣味だと思っていたことすら苦痛になったり、仲の良かった人たちと接するのもおっくうになってしまったり。

こうして、自分の殻に閉じこもる状態になった時には、すでにうつ病の症状を呈しているものです。

うつ病の人が大人になってから抱えやすいトラブル

うつ病の人は、職場や恋愛での人間関係のトラブル・悩みを生みやすく、それがまたさらにうつ病を悪化させやすいという悪循環につながります。具体的には次のようなことが多いと思われます。 人間関係トラブル

1.人の顔色をうかがうクセ

子ども時代から親との関係が良くなかった人は、当時、親をなるべく怒らせないようにするために、常に顔色をうかがって行動することが多かったと思います。こうしたことから、大人になった今でも人の顔色をいつもうかがうクセがあることはめずらしくありません。

また、親のように目の前の人たちも自分を疎ましく思っているのでは?という恐れを持っています。オドオドしたり、言いたいことがハッキリ言えなかったりするために、かえってあらぬ誤解を招いてしまいやすく、そうなるとますます心を閉ざしがちで、人と本音で付き合うことが難しくなります。

2.自信が持てない

子どもの頃から親に愛されなかったとか、認めてくれなかったと認識していて、それをとても嘆いている場合、いつまでも、どこか自分に自信を持つことが出来ません。

「親にすら愛されなかったのだから、他人が自分を愛してくれるはずがない」と考えがちで、それは、職場でも友人関係でも、恋愛でも表れてきます。

恋愛に限らず、自分は愛されるに値するという自信が持てず、ひいては、存在そのものに対する自信すらあやしくなって来るのです。「1」の項目とも重なりますが、そういった自信を持てないために、やはり自分をさらけ出すことを難しくさせています。

3.大きな孤独感

周りの人のように、何かあったら親に頼ったり甘えたりといった温かい親子関係がない場合、孤独感はとても大きくなります。親とは自分のルーツ、すなわちこの世に自分が存在することになった直接の原因であるのに、その人達と、心が通う交流が子どもの頃からに渡って出来ていないというのは、心理的なダメージを生みます。

いざという時、支えになってくれる存在があるという拠り所が持てず、根なし草のような頼りなさやはかなさを感じ、大きな孤独に結びつくのです。

こうした思いが渦巻いていると、なかなか人を信頼することが出来ず、恋愛やその他の人間関係において、深いかかわり合いが出来なくなるということが多くなります。それはもちろん、さらに孤独を感じるという悪循環となります。

どのように克服していけばいいのか

こういった状況を克服したくても、近道というものはないかもしれません。でも、単に薬でうつの症状を軽減させるだけではなく、自分の気持ちと向き合いたいと思えるようになったら、以下のようにしてみてはいかがでしょうか?

思いを書き出す(吐き出す)

書き出す

私自身が、アダルトチルドレン問題を扱っている先生にカウンセリングしていただいた時は、親への感情、嫌だったことを思い出して紙に書き出すように言われました。

実際、子どもの頃に嫌な思いをした時のことや、その時の気持ちを心の中で再現することになりますので、気軽には出来ません。

でも、そのとおりにしてみたことで、自分が長い間心に溜め込んできた親への感情を「カタチ」にすることが出来たのだと思います。書き出す作業は、まさに、心の声を吐き出すことにつながっていました。

これは実は、「アダルトチルドレン」に関連するキーワードである「インナーチャイルド」と呼ばれるものに関係があります。インナーチャイルドとはまさに、子どもの頃に傷ついたまま、ずっと心の中に寂しそうに住み着いている感情そのものとも言えます。

どうして欲しかったのか

親への感情にくわえて、それなら自分は、親にどうして欲しかったのか?どんなふうであったら満足だったのか?ということも考えて書いてみます。

私の場合、実際普通のことばかりで、特別なことを望んでいたわけではないことが分かりました。

しかし、アダルトチルドレンとは、先に述べたように「機能不全家庭」で育った子どもということであり、充分に親の役割を果たすことが出来ない性質の人たちが親であったので、普通と思われることすらも、叶えてくれるのは無理だったのです。

親とどのように対峙するべきなのか

ここのところを理解した上で自分の気持ちと向き合えば、自分自身が特にワガママすぎたのでもなければ、極端に傷つきやすかったわけでもないということが分かります。

親はといえば、確かに親として望ましい人物ではありませんでした。でも、それが彼らの精一杯だったのだと、いったんはその事実を受け入れることがスタートになりそうです。許さなければならないと思う必要はありません。

心の中で自分を抱きしめてあげる

このような親へのわだかまりの克服方法のワークとして、直接その思いを親に伝える(会ったり、手紙や電話など)ということが提示されていることがあります。

それはもちろん、そう出来るのであればしてみると良いと思います。でも、無理に行う必要はありません。直接伝えるのは出来そうにない、という場合は、瞑想の中で行うだけでも効果はあるそうです。

抑えてきた自分の気持ちを、そのような形ででも解放していく意味があるのでしょう。そして、望みが叶わずに辛い思いをしていたインナーチャイルドを、「あなたは悪くない」「もう大丈夫」というような気持ちで、心の中で抱きしめてあげることも効果があります。気が済むまで、いつでも何度でも繰り返すと良いですよ。

親との関係性を悲観する自分から脱却できるといい

なお、親と、今自分のまわりにいる他の人たちとは別の人間です。ですから、まわりの人たちもまた、親と同じように自分を邪魔に思っているだろうとか、理解し合えないだろうという思い込みがないか、心の中をよくチェックしてみてください。そんな思い込みを少しずつ手放して行くことが出来れば、少なくとも、まわりの人たちとの関係性は改善されて来るはずです。

私自身、「親とうまく行かなかった過去」というフィルターを通して世界を見ていたと思います。そのため、いつも自分では分からない何かを恐れていたり、人が信頼出来なかったりと、とかく「悲観の色」をしたフィルターが常にありました。

今、それらがキレイさっぱりと晴れたわけではありませんが、まわりの人との関係の中で、親との関係を重ねて勝手に悲観してしまう自分に気付けるようになり、捉え方を軌道修正出来るようになってきました。

少なくとも、子どもの頃の嫌な思い出、親への恨みといった感情を持ち続けていても、損するのは自分なのだな、ということは確信しています。そして、もう大人になった今は、そんな「損」は選ばずに違う道を歩いて行くことも出来るのだと考えています。

著者:nekomania

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だめんずばかりに寄って来られていた過去や、離婚経験などから学んだ、自分なりの「脱・だめんず論」を織り込んだ記事を書いています!