北海道はワイン用ぶどう生産日本一!小樽・十勝以外のワインも続々|トピックスファロー

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2015年4月24日
北海道はワイン用ぶどう生産日本一!小樽・十勝以外のワインも続々

北海道のワインといえば、余市、小樽、十勝ワインなどが有名だが、近年は小さいワイナリーも高品質の製品を造り出している。ワイン用ぶどうの生産量は今では北海道が日本一。山梨や長野産のワインに負けないワイン王国として、評価も急上昇している。

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温暖化の影響でぶどう栽培が盛んに

かつてワイン用ぶどうを栽培するには、寒すぎると言われた北海道ですが、近年は地球温暖化により北海道の気温が高くなり、ぶどう栽培が可能となってきた。

ワイングラス 花が咲く時期に梅雨がないことや、収穫時期に台風に襲われないことがメリットとなり、ヨーロッパ系品種を中心に栽培が盛んになってきた。

ぶどうの生産が盛んになると14ヶ所のワイナリーが誕生し、高い評価を得ているワインが作られるようになった。

4代続く豪雪地帯のワイナリー

北海道の中でも、豪雪地帯となる空知地方の三笠市にあるのが、「山崎ワイナリー」だ。山崎ワイナリーは4代に渡ってワイナリーを守ってきた。

map ⇒ 山崎ワイナリー

ワイナリーから見渡せる一枚畑で栽培したぶどうのみを使ってワインを造っている。山崎ワイナリーが目指すものは地域に根付いた農業を行い、農産物に高付加価値化を付けることによる、農家の自立だ。

ワイン事業によって、消費者がこの北海道という地域の自然や、豊富な農産物、地域文化に触れることを願っている。さらに、この地の産業が刺激されることで、新しい農業文化が生まれることを目標としているのだ。

山崎ワイナリーが生産している赤ワインは、フランス・ボルドー地方を発祥とするメルロー種のぶどうから作られる。発酵終了後にオーク樽で8ヶ月間熟成させると、酸味とタンニンが時間とともにサクランボやイチゴの香りに包まれたような味となってバランスが取れてくる。

ぶどう

白ワインになるケルナーのぶどうは、トロリンガーとリースリングの交配種を使う。遅摘みで糖度を上昇させ、比較的低温で長時間じっくり発酵させているので、果実味が凝縮して香りが引き立つ。

山崎ワイナリーのラベルには、野の花のような5枚の花びらが描かれている。これは山崎夫妻と3人の子供たちの指紋を花びらのように押したもの。家族の強いきずなの象徴なのだ。

2014年に公開された映画「ぶどううのなみだ」(出演:大泉洋、染谷将太)のモデルとなったのが山崎ワイナリー。実際に映画のロケも行われた。

岩見沢の土地が生むワイン

同じく空知地方の岩見沢にあるのが、「宝水ワイナリー」だ。積雪2mを超える雪国でのワイナリーは、世界中を探してもほとんど例がない。

map ⇒ 宝水ワイナリー

宝水ワイナリーでは遅い春と早い冬の間の短い期間に、情熱を集中させてその年のワインになるぶどうを育てる。厳しい自然に耐えた果実を摘み、冬の寒さの中でていねいに醸造する。そんな岩見沢の風土だからこそ味わえる風味を大事にする。

丹念に手をかけることがワインの品質を向上させると信じて、ステンレスタンクやプレス機などの醸造機器は小規模なものを使う。そうしたことで生まれるワインの小さな変化に人が気付いてくれるようにと考えている。

自社農園で収穫されたぶどうを100%使用した「雪の系譜」シリーズは、宝水ワイナリーのプレミアムシリーズ。

ぶどうの収穫時期を遅らせ、特別な醸造方法を採用するなど、丹念な製法を用いている。

同じく100%自社農園産ぶどうを使った「RICCAシリーズ」は、雪の大地、岩見沢の風土を表現することを目標として作られた。

宝水ワイナリーでも、映画「ぶどうのなみだ」のロケが行われた。

石炭露天掘り跡地のワイナリー

かつて、石炭を露天掘りで採掘していた場所にあるのが、「歌志内太陽ファーム」だ。この地は、トンネルを掘って石炭を採掘するのではなく、地表近くにある石炭の山を採掘していた。そのため、今でもぶどう畑には黒い石炭が混ざっている。

手摘みのぶどうで作られるワインにも、黒いダイヤ=石炭、の名前を冠した「ブラック・ダイヤモンド・テロワール」の名前が付けられている。

map ⇒ 歌志内太陽ファーム

夫婦で営むワイナリー

長沼町の馬追丘陵に2006年、「マオイワイナリー」が誕生した。「マオイ」とは、アイヌ語で「ハマナスの咲く丘」の意味。マオイワイナリーは、夫婦2人だけで年間6キロリットルを醸造する、小さなワイナリーだ。

map ⇒ マオイワイナリー

ヨーロッパのカベルネソービニオンと、日本の山ぶどうを交配した「山ソービニオン」をワインを主体としている。

果樹園

晴れればワイナリーからは、太平洋岸の苫小牧から日本海の積丹半島までの壮大な景観が広がる。広大な石狩平野に沈む夕日は圧巻だ。

雄大な自然の中で、香り、コク、酸味、甘味のバランスのとれたワインを生産している。

ぶどう農家の多い余市でも

漁業と果物作りが盛んな余市町だが、ぶどう栽培農家が40軒、栽培総面積も110ヘクタールある。その余市で、レストランを併設したワイナリーが「OcciGabi」(オチガビ)だ。余市をヨーロッパの世界有数のワイン地帯に育てようと、周囲の農家とともに、町をあげて取り組んでいる。

「美しいぶどう畑から、おいしいワインが生まれる」をモットーにする。2014年9月には自家ワイナリー産ぶどうで初醸造を行い、2015年には第1号が完成する。

観光地ではないワイナリー

もともとワイナリーは観光地ではないので、農園の中に入ることはできない。ショップを併設しているワイナリーでも、観光客の受け入れ体制はできていない。

だが、「北海道ワインツーリズム推進協議会」などは、これらのワイナリーをめぐる、ワインツーリズムを企画している。

ワインツーリズムは、ワイナリー周辺の自然やぶどう畑、もちろんワインや食の生産者たちと触れ合うことができる。

同協議会では、インターネットのホームページでツーリズムを企画するほか、ツアーも推奨している。他にも、インターリンクジャパン社で、ワインツーリズム事業や、道産ワインのイベントも実施しているのでワイン通ならぜひとも、北海道のワイナリーを訪ねて欲しい。

著者:メイフライ

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スポーツ関連や、バイオマス、太陽光などのエネルギー関連で取材、ベンチャー企業の企画室での職務経験があります。