製造業に就職したい!そんな時はどうする
日本人は手先が器用と言われており、工芸や芸術の分野では世界的にも高く評価されています。その手先の器用さを活かした製造業は、宇宙開発などの最先端分野を支える柱の一つとさえなっているのです。
しかし、「若者のブルーカラー離れ」というか最近は汗水たらして手を動かす仕事よりも、机に座って行う仕事の方に就職希望者が流れているのが実情です。
製造業へ就職することのメリットとデメリット、就職のためにはどのような技能が必要になるのでしょうか?
製造業に就くメリットとは
いわゆる「ものづくり」に分類される製造業は、手先の器用さだけでなく問題を解決するアイデアを出せる柔軟な頭や期日通りに仕事を仕上げる遂行力が求められます。これらの能力はホワイトカラーにも求められるもので、製造業とは単純な肉体労働ではないのです。
自分で物を作る喜び
製造業の魅力は、何と言っても自分でいろいろなものを作れるということでしょう。それも旋盤や溶接トーチなどの本格的な道具を使った、高度なものづくりです。
何の変哲もない鉄板が見る見るうちにさまざまなものへと姿が変わっていく過程に関われる楽しさや、自分の思い通りに加工できる面白さといった、「ものづくりをする」ということの根本的な楽しさを何度でも味わえるのです。
資格があれば食うに困らない
製造業に関連する資格には、旋盤・ボール盤など様々ありますが、一つでも資格を取っていればそれこそ一生食べていけるほどの有益な資格となっています。
ホワイトカラー系の職業は再就職が困難ですが、製造業の資格持ち経験者だと即採用・月給30万円以上という話も珍しくないのです。
また、製造業はその気になれば70・80歳になっても現役で関われるので、定年退職とは無縁と言っても過言ではありません。
給料が良い
製造業は「作る量=仕事量」なので、毎日何かを作っている仕事があればそれが収入に繋がります。しかも技能職なので、資格を持っていれば手当も付いて同世代の会社員よりもより多くの給与を得られます。それに製造業は「残業=工場の稼働時間が伸びて経費増加」に繋がるので、出来るだけ定時の内に仕事を終わらせることを旨としていて、万が一残業が必要になった場合は残業代もちゃんとつくようになっているのです。
製造業のデメリット
製造業は高収入を得たいと思っている人にとっては好都合な職業であるといえますが、その一方でデメリットがあることも確かなことです。
製造業に就くことにはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
休みたくても休めない
日本の製造業の主体は中小規模の町工場と言われており、大企業のように余剰人員を雇い入れてシフト制を導入する余裕がないというのが現状です。
そのため、日曜日以外は毎日出勤という労働形態になっている会社はそう多くないのです。このように、全従業員が毎日のように働くことを会社運営の前提としている場合、労働者の権利である「有給休暇を取って休む」ということがほとんど不可能になってしまうのが難点です。
海外移転の影響を受けやすい
日本の企業は労働力を国内から人件費の安い海外に移転してコスト削減と新規市場開拓を図る傾向にあります。この方針の影響を大きく受けるのが製造業で、生産拠点の海外移転で倒産・廃業する下請け業者は未だ少なくないのです。
企業によっては、技能者を海外に送り込んで現地雇用者の指導をさせることがあり、日本の技術流出による生産力の低下が懸念されています。
技能者不要の現場が増えている
最初に自動車の生産にオートメーションを導入したフォード社は「熟練工が高い給与を取っているのが自動車高騰の原因」と考え、全体の作業を分割し一人に一つの作業だけをやらせるという方法で大量生産と労働者の大量確保を両立しています。
逆に言えば、オートメーション化出来れば専門知識や技術を学んだ技能者は必要なくなるため、期間工や派遣社員で労働力を賄うことが出来るようになります。つまり、大企業化した製造業ほど正社員としての就職の口はないものと言えるのです。
製造業に就職するには
このように、製造業への就職は多くのメリットとデメリットがあります。しかし、多くのデメリットを乗り越えてでも製造業に従事したいという情熱を持った人も確かに存在しています。
製造業への就職を決めるのは何が大事なのでしょうか?
関連資格の取得
製造業は昔のように徒弟制度で新入社員を取っているのではなく、学校で技術や知識を学んだ技能者の卵を優先的に取っています。つまり、工業高校・高専に通っていることは製造職への就職の前提条件となるわけです。
そして、工業高校・高専に通っていただけでは就職に有利とは言えません。最低でも関連資格の一つはとっておかなければなりません。
製造業で有利になる資格は、旋盤・ボール盤・マシニングセンタなどの金属加工に関連する技能士資格、ガソリン・灯油などの燃料や危険物指定された化学薬品を扱う危険物取扱者資格などがあります。
どんな志望動機が有利なのか
資格を持っているだけでは製造業に確実に就職できるというわけではありません。
「なぜ数ある職業の中から製造業を選んだのか」という志望動機を明確にしなければ書類選考や面接で落とされてしまいます。
製造業を志す動機として、まず大事なのが「自分は製造業を一生の職にしたい」と思っていることをしっかりと表すことです。腰かけのつもりで就職しようとする人と、一生を捧げる覚悟と決意が出来ている人が面接を受けに来たのだったら会社側は後者を選んで当然です。
そして、製造業を志望した理由として「ものづくりが好き」ということを前面に押し出すことも大事です。製造業はものづくりそのものであり、嫌いなものを仕事だからと嫌々作る人と、仕事にするほど好きで楽しく作る人を比べると、製品の質から違ってくるものなのです。
つまり、「大好きなものづくりがしたいからこの職業を選んだ」ということを念頭に置いた上で動機を履歴書に記入し、面接で説明できるようにすることが大事なのです。