独身者は実家暮らしが最強の節約
住居費を抑える究極の方法は、独身なら実家に住むことです。
筆者が資産形成する上で一番助かったのは、実家暮らしのために家賃がかからなかったことです。
とはいえ、筆者も何度か実家を出て、一人暮らしをしたいと思う時はありましたし、実際に不動産屋を通じて物件を見に行ったり、空き家物件を自らの足で周ったりしたこともあります。
不動産業界の養分になる必要はなし
しかし、物件探しをしているうちに違和感をいだくようになりました。一人暮らしをするということは、仲介する不動産屋、賃貸物件を所有している大家に家賃を払うことになります。それがバカバカしいと思うようになったのです。
賃貸の場合は、持ち家と違い、自分の資産になりません。お金を不動産屋と大家というドブに捨てる行為だと言っても過言ではありません。
不動産投資して不労所得を得ている、顔を見たこともない大家や不動産業界の養分になるくらいなら、家賃のかからない実家に住んで資産形成をした方がいいと感じました。
また、筆者の実家は首都圏にあるので、都心やその他の大都市へ出るアクセスが良いこともあり、実家を出るメリットもそれほど感じなかったのです。
子供部屋おじさんも立派な資産戦略
実家に住むことは世間では賛否がありますし、最近では、「子供部屋おじさん」「こどおじ」など揶揄され、風当たりが強い部分があります。
しかし、資産形成を加速させるためには、利用できるものは利用するという、老獪な戦略をとって他人と差別化をはからないといけませんし、世間体というつまらないプライドは捨てるべきです。
そもそも、どのような生活スタイルを送ろうと他人に言われる筋合いもないです。他人がその家賃を払ってくれるわけではありません。
実際に平成以降の30年間で、氷河期世代の影響もあるとは思いますが、実家暮らしの割合が10倍にもなり、欧米の先進国でもインフレによる物価高で、実家暮らしが増えていると言われています。
これは各人の趣向、プライベート空間への考えもありますが、資産形成や親の介護の観点からも、もし独身なら実家暮らしを検討しても良いと思います。実家暮らしも立派な資産形成の戦略の一つです。
結婚後、実家の両親の近くに住むことは資産形成につながる
今度は既婚者の場合を考えていきたいと思います。
現代日本では核家族が進み、既婚者の二世帯住まいというのも特に首都圏ではほとんど見なくなったように感じます。
相方の両親とはいえ、義理の父母は他人には変わりありませんから、同居することには様々な支障があることが影響しているのかもしれません。そのせいか、独身者と違って、結婚した場合は、家賃を払ってアパート暮らし、持ち家としてローンを組んで、マンションや一戸建てを買わざるを得ない状況が多いのだと思います。
この場合は、どのような資産形成をすればいいのか。
筆者なら、どちらかの実家の近くに暮らしことを検討してみることをおすすめします。
なぜなら、それも間接的な資産形成になるからです。
間接的な資産形成となる事例
たとえば、結婚後、子供が生まれた場合、近所に住む両親から保育園の送り迎えや病気なった時など、援助を受けやすくなります。
昨今、女性の産休のみならず、男性の育休がクローズアップされております。それは当然、出産、育児の大変さが上の由縁ではありますが、現在の核家族化にも原因があると思います。
両親の援助を期待できれば、奥さんも産休後も早めに復帰できて、時短勤務ではなくフルタイムで働ける可能性が広がります。結果的に、一家の収入アップにつながり、資産形成へとつながります。
結婚後、親と同居する伝統が消えた日本
筆者の子供時代は、昭和から平成にかけての時期でしたが、同級生の3割弱くらいは祖父母と同居していた記憶があります。団地住まいでも3世代で住んでいた同級生が複数いたことに今考えると驚きます。共働きの両親に代わって、祖父母が面倒を見てもらっていた同級生も多かったと思います。
現在は世代間を超えた同居が激減したため、男性にも育休という概念ができたと思います。
実家の両親の近くに住むことは、子供の面倒を見てもらうだけでなく、両親の介護や面倒も見やすくなり双方にメリットがあると思います。
両親も自分の孫なら喜んで面倒を見てくれるはずなので、間接的に資産形成にもつながる可能性が高い実家の両親の近くに住むということも検討すると良いと思います。
昭和の価値観である幸せや常識で、令和の時代を生き抜くのは厳しい
かつて日本は、長男は結婚しても実家で暮らして家を継ぐ文化がありました。戦後、焼け野原となった日本で、一軒家や集合住宅を建てて、売るために、建設業や不動産屋業界を活性化させたい政府の後押しもあり、核家族化が進んでいきました。その過程で家電や自家用車も売れて、現在大手メーカーと言われる企業は成長していき、昭和の高度経済成長に繋がったと思います。
この時代に形成された一般的な日本人の「幸福」に対する価値観は、結婚して、豪華な結婚式を挙げて、子供を授かり大学まで入れる、マイホームを購入、最新家電を揃えて、マイカーを所用すること。そして、実際にそれらの「幸福」を手にする人は多かったと思います。
しかし、これを現在の令和で再現しようとしても、非常に難しいです。高度経済成長、バブルで給料が上がり続けた昭和から平成初期だからこそできた、余裕がある資産形成はできません。
そこで時代に合わせた工夫をしていくことが大切だと思います。
平成初期からの失われた30年、氷河期世代と言っても、その時代に生産されたインフラ、モノなどの富が溢れているのが現代だと思います。モノがない不況ではなく、モノがある不況という表現が正しいかもしれません。過剰な生産よりそれを消費していく方が大事なのかもしれません。
住まいや相続などで、その時代の恩恵を受けてきた親世代から援助を受けるというのもひとつの生き方ではないかと思うのです。現在の高齢者に比べて、若い世代は年金の受給額が減り、世代間対立が生まれたりしますが、お互いの世代が助け合う発想が今の日本には必要ではないでしょうか。
本シリーズでは、かつての常識、価値観に捉われない資産形成に関する投資、節約の新たな考え方を啓蒙できればと思います。