大手セレクトショップのバイヤーはあなたの商品を見ている。
たとえ始めたばかりの小規模なファッションブランドだとしても、大手セレクトショップからオーダーを得るチャンスは十分にあります。ファッションの世界では、常に新しい話題や商品に注目が集まる特徴があり、どんな小さなブランドであっても、デザインや商品が優れているとスポットライトが当たります。
大手セレクトショップのバイヤーは、他の競合ショップとの差別化のために、話題性を求めているので、新しいファッションブランドにとっては、大手セレクトショップこそ、売り込みをするべき相手だといえます。
バイヤーは会社ではなく商品を見ている。
大手セレクトショップのバイヤーは、国内外の展示会を飛び回っているので、毎シーズンたくさんのブランドと商品となるサンプルを見ています。そして、常にたくさんの新しいブランドや商品にも目を向けています。
そのため、仮に始めたばかりの小規模なブランドであっても、商品を気に入ってもらえれば大手セレクトショップとの取引も可能になります。
とにかく連絡を取ってみることです。
ほとんどのセレクトショップは門前払いではなく、資料を事務所に送るように指示されます。
また、大規模な展示会場などであれば、サンプルがバイヤーの目に止まると、名刺などの交換や、後日詳しく商品を紹介するアポイトメントの相談を受けることもあります。
オーダーを受ける際に重要視されていることは、商品のデザインや品質、特徴などです。
また、ブランドのコンセプトや雰囲気も重視されます。
それらがセレクトショップに並べる商品にふさわしいかを吟味されているので、ブランドや会社の規模で判断されることはあまりありません。
会社の規模や信頼性など、納品後の支払いでノーリスク
バイヤーが規模の小さいファッションブランドの商品を気に入って、オーダーをする際には、あまり会社やファッションブランド自体の規模を気にすることはありません。理由は3つあります。
1つ目は、ファッションブランドには小規模なブランドがたくさんあること。
2つ目は、納品後の支払いのため、バイヤー側の金銭的なリスクは少ないこと。
3つ目は、大手セレクトショップ側の、安全面や品質管理をチェックする納品設備がしっかり整っていること。
この3つの理由により、あまりファッションブランドの規模に関して心配されることはありません。
特に大手セレクトショップはたくさんの小規模ファッションブランドとの取引が多いことから、独自の管理体制を整えています。
例えば、生地の混率・原産国の徹底管理、検針・堅牢度チェックの義務付けなどの安全面のチェックから、専用納品倉庫による入荷時期の管理・検品や洗濯表示確認などの品質チェックを行っているところもあります。
このような環境が整っていることからも、大手セレクトショップは小規模なファッションブランドともリスクを感じることなく取引を行っているのです。
その場で意見をもらえる場合や、別注の話がある場合も
展示会に出展していると、大手セレクトショップのバイヤーがサンプルを見てもられる機会があります。この時、オーダーをもらえなくても貴重な意見をもらえることもあります。
オーダーを断られた際などに、バイヤーが担当しているセレクトショップに並べられない理由を聞いてみましょう。
理由は様々な要因が考えられます。
価格帯が合わない、セレクトショップの雰囲気と違う、サイズ感がターゲットとなるお客さんとマッチしていない、などの意見を聞くことができます。
それを参考に、次回のサンプルを作成する時の改善点にすることができます。
また、バイヤーから色や仕様の変更の提案をされることもあります。
大手セレクトショップにとって、毎シーズンのテーマとなるカラーやテイストなどが決まっています。
そのため、デザインはすごくいいのに、カラーがマッチしない場合などに、カラー変更の提案を受けることがあります。
さらに、常にオリジナリティを探し求めるバイヤーにとって、自分達のセレクトショップでしか売られていないカラーやアイテムがあれば、話題性が高くなります。
そのため、少しのデザイン変更やカラー変更の提案が来ることもあります。
このようなセレクトショップ独自の変更を「別注」と呼ばれ、ファッションブランドではよく行われるオーダー方法です。
自分では出なかったアイディアが、バイヤーの提案でより素敵なデザインになることもあるので、お互いにとって嬉しい取引と言えます。
ファッション業界に多い小規模の会社
バイヤーは常に新しいブランドを探している。
大手セレクトショップのバイヤーや個人ショップのバイヤーであっても、常に新しいブランドを探しています。バイヤーにとって、いつも同じブランドばかり買い付けを行っていると、ショップの雰囲気や商品内容に変化がなく、新鮮さが無くなってしまいます。
また、人気のあるブランドや話題性ばかりを追いかけていると、他のショップと似たような商品展開になってしまい、差別化ができなくなってしまいます。
そのため、バイヤーは常に新しいブランドを探しています。
海外の展示会場を回っていたり、国内でも大型の展示会への参加・リサーチなどを行っています。
そこで目に止まるブランドを見つけた場合に買い付けまでを行うのがバイヤーの仕事です。
バイヤーにとって、すでに取引を行っているブランドへのオーダーも仕事ですが、より評価されるのは、目新しいブランドにいち早く注目してショップに取り入れることです。
そのため、初めたばかりの小さいファッションブランドであっても、大手のセレクトショップとの取引をするチャンスは十分にあります。
ファッションブランドは小さい会社でも生産力がある。
ファッションブランドの多くは、受注生産を行う際に縫製工場へ生産を依頼します。そのため、事務所が狭く会社規模が小さくても、たくさんのオーダーに対応することができます。
縫製工場に材料と縫製指示さえしっかりと出せば、あとは全てお任せです。
仕上がりまで、次のシーズンのデザインなどに集中できます。
また、洋服や小物であれば、出来上がった商品も場所を取ることなく保管ができるので、小さい事務所であっても問題がありません。
このように、自社で大掛かりな設備や工場を持たないで、外部の工場へ生産を依頼するスタイルがファッションブランドの基本となっています。
ファッションブランドからの依頼が多い縫製工場も国内外にたくさんあり、工場選びに困らないことも、理由のひとつです。
マンションに一室で活動しているブランドはたくさんある。
ファッションブランドの多くは小さい規模が多く、マンションに一室に事務所を設けて仕事を行っているブランドがたくさんあります。理由が様々ですが、特に影響している要因が、小スペースで始めることができるメリットと、多くのブランドが賃貸価格の高い東京で活動している点が挙げられます。
そのため、できるだけ小さい必要最低限のスペースに事務所を構えているファッションブランドがたくさんあります。
大手セレクトショップの本社は東京に構えていることが多く、展示会などもほとんどが東京で行われます。
全国の個人ショップのバイヤーも東京へ買い付けに訪れるので、ファッションビジネスは東京を中心となっています。
このことも、東京で小規模の事務所からファッションブランドを始める方が多い理由になっています。
ファッションブランドを始めるメリットを活かそう
小規模な場所や設備で始められるファッションブランドは、お店を始めるなど、他の業種よりもお手軽なメリットがあります。このメリットを最大限に活かしながら、セールスを行っていきましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方