バイヤーにとって重要なミニマムを知ろう
展示会場やバイヤーとの会話で出てくる用語のひとつが「ミニマム」です。実は、普段お店で服を買う時とは違う、まとめて販売をする卸売り独特の条件があり、そのひとつがミニマムです。
バイヤー側も、新しく取引を始めるかどうかのブランドとは、ミニマムの条件が重要な選考基準になります。
これから展示会に参加するなど、バイヤーと会話する際にミニマムについて聞かれることがあるので、しっかりと準備をしておきましょう。
そもそもミニマムとは?
ミニマムの意味は、その名前の通り「最小」を指します。簡単に言えば、発注してもらうバイヤーに対して、最小でもこれぐらいは発注してくださいとボーダーラインを決めるルールのことです。
もちろん、売る側のこちらが決めることができます。
いくらバイヤーが発注をしてくれても、Tシャツ1着のみ、アクセサリー1つのみであれば、送料や手間を考えれば赤字になってしまいます。
また、1〜2着しか取り扱いをしていないにも関わらず、取り扱いブランドとして大々的に宣伝をされることは、ブランド名をうまく利用されているだけのようになります。
このような少数の発注を避ける為に決められていることがミニマムと言われる取引条件です。
ブランド全体で、10着以上の発注にしてもらうことや、10万円以上の発注金額にしてもらうことなど、こちらから取引の条件を提示することができます。
また、工場を押さえるなど、生産の都合で生産数にある程度の数が必要な場合や、5000円以下などの小額のアイテムであれば、1点2点の少ない発注数では、利益が出ない場合があります。
その際にも、アイテムごとに5点以上の発注からお願いするなどのミニマムを設定することも可能です。
卸売りの場合は、ある程度まとまった発注がなければ、しっかりとした利益が確保できません。
そのため、バイヤーには、はっきりとこちらの取引条件であるミニマムを伝える必要があります。
売れているブランドの強気な設定例
ミニマムに関しては、国内外を問わず、ほとんどのファッションブランドが設定していると言えます。たくさん発注してもらうことや、安定した発注をキープすることが目的ではあるのですが、ファッションブランドに重要なブランドイメージを守るためにミニマムを設定しているところもあります。
特に、セレクトショップから注目されている人気ブランドであれば、ミニマム金額を高めに設定しているところも多いです。
50〜100万円や、高いところで200万円以上のミニマムを設定しているブランドもあります。
狙いは、取引するショップを絞ることや、よりたくさんのアイテムを並べてもらうことにあります。
人気のあるブランドであれば、取引依頼がたくさん来ることになりますが、全てのショップと取引することは難しいです。
そこでブランド側としては、ある程度の取引条件で、取引を始めるハードルを上げておくことが重要になります。
また、セレクトショップなどであれば、数点だけ取り扱われているブランドよりも大々的にブランドのコーナーがあり、特集を組まれているブランドの方が注目されやすくなります。
ミニマムを高く設定することで、扱っている商品数も多くなることから、たくさんの集客を見込むことができ、ショップにとっても売りやすいブランドとなります。
このように、ブランド側がショップ毎の取り扱い点数を増やしてブランドイメージをしっかりと固められるようにするなど、取引先を篩にかける材料として、ミニマムを設定することもあります。
小さな個人オーナーなお店であれば、このミニマムの条件を超えることが厳しく、取り扱いをしたくても実現しないブランドが出てくることもあります。
ブランドプロデュースによって変えたいミニマムの条件
高いミニマム設定例をご紹介しましたが、人気ブランドが行うことであり、始めたばかりのブランドであれば、高いミニマム設定をすればバイヤーから発注をもらうことはできなくなります。まずは、低いミニマムを設定して、取り扱い店舗を増やすことをオススメします。
ただ、あまりにも低いミニマム設定であれば、利益が出なくなるので、生産条件や、値段設定などのバランスを見ながら決めていきましょう。
Tシャツのブランドであれば、10着からや、アクセサリーブランドであれば、20点から、などの点数で決める方法でも、10万円以上の発注金額から引き受けるなど、値段で決めることも安定した発注に繋がります。
そこから、取引先は増えて行くようであれば、徐々にミニマムを高くしていきましょう。
また、ミニマムを高くせず、あえて低く設定したままにして、よりたくさんのショップで取り扱いしてもらえるように広げるブランドもあります。
自分が理想とするブランドイメージと、ショップとの付き合い方を考えながら決めていくことが重要です。
少ない発注は断るべき場合も
数や金額が少ない発注は、依頼を受けてもお断りすることも大切です。生産から、発送、その他の連絡など、長く取り扱いをするのであれば、手間がかかるだけで、利益に繋がりません。
長期的な取引を考えながら、ミニマムを決めてみましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方